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向日葵の協会と長い夏休み 共通&ルカ√読了

八月ももう下旬、オットセイエロゲレビューのお時間でございます。
前回時計仕掛けのレイライン1作目を読了したきりですが、そちらは一旦棚に上げておいてですね…ちゃんと進めてますよ。
本当はレイライン終わらせてからこっちに行きたかったんですけどね。
APEXとかにうつつを抜かしてたらそうはいかなくなってしまいまして。アハハ。

季節を大きなテーマに持つエロゲはたくさんあります。
有名なはつゆきさくらなんかは、サガプラの四季シリーズのうち一つですし。
やっぱり季節が明確に設定された作品はその季節にやりたいんですよ。
サクラノ詩を時間があったからという理由で秋にやってしまってから、激しく後悔してこだわるようにしてます。
良い作品はより良い環境、より良い状態で楽しみ、最高の状態で記憶に残しておきたいので。

この夏にやるために温め続けてきた夏ゲー、それが『向日葵の協会と長い夏休み』通称ひまなつです。
枕より2013年に出た作品でございます。これをずっとやりたかった。
この作品を知ったきっかけは先ほども名前を出しましたサクラノ詩の同ブランド繋がりが最初です。
そこからやってみたいなという気持ちはありましたが、サクラノ詩・素晴らしき日々がシナリオ重視の作品に対して雰囲気ゲーの側面が強いとか、上記2作品のシナリオを担当されているすかぢ氏がシナリオを担当しておらずプロデューサーに留まってるとかで、優先順位はそれなりに低めでした。

が、僕はある楽曲と出会います。
それはひまなつの劇中歌の一つで、2人生で出会ったすべての楽曲の中で僕が一番好きな曲です。
ド鬱病だった時には狂ったように聞き続け、今でも辛いこと悲しいことがあると自然と脳内に流れてきます。そんな心の支えになている曲。
今となっては、あれこれと並べたプレイ理由が全部塗り替えられるほどその楽曲が購入した理由の全てです。

その楽曲と作品内で会えるのはまだまだまだまだ先ですが、そこへ向かってどんどこ進めていきましょう。
あらすじはこちら。公式サイトより引用。

――雲間に隠れていた太陽が姿を見せると、夏覆いかぶさってきた。明日葉陽介(あしたば・ようすけ)は、8年ぶりに帰ってきた。
彼の人生で恐らく最も重要な日々を過ごしたであろうその場所に。地に咲く太陽をほこらしげに立つ小さな建物・朧白(おぼしろ)教会、あるいは向日葵の教会に。
「よーーくんっっ‼‼」「ほんとに、本当によーくん⁉」「ああ、ただいま」8年前と変わらずに彼を迎えてくれる少女・詠(よみ)
会いに来る少女・金剛石(だいや)
待っていた少女・ルカ
そして、新しく出会う少女・ヒナ
取り壊されてしまう教会を前に、ボロボロになっていた思い出の場所を再生していく、ノスタルジックな海辺の教会を舞台にした、明るく爽やかで、しかし切ない、ひと夏の物語――

主人公がかつて育った田舎で過ごす夏休みの物語。
先述の通り雰囲気ゲー・夏ゲーとして評価が高く有名です。

ヒロインは詠・金剛石・ルカ・ヒナの4人。
ヒナ√は最後にやると決めているのでさあ誰から手を付けたもんかと悩んだ結果ルカから入ることにしました。
理由、かわしまりのさんの声が好きだから。以上。
かわしまりのさん、すば日々に触れたその日からずっと好きなんですけれど、ルカの声も担当されていることに気づくのは時間がかかりました。
よくよく聞いてみれば声質が確かに…といった次第でして。こういう演技もできるんだなぁ。すこ。

でも。でも本当は。
月子ちゃんを攻略したかったッ…!
朗らかかつ活発的で年下の少女らしい部分がありながら、どこか大人びていて冷静に周りの気配りができる月子ちゃんッ…!とにかく良い子ッ…!

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中身も見た目もドストライクのそれだったのですが、彼女がヒロイン昇格したのはCS移植版のみ。
僕の手元にあるPC版では誠に誠に誠に残念ながらサブキャラ止まりです。かなしきかな。

ネタバレコーナーに入る前に先に言っておきます。
共通・ルカしかやっていない身ですが、シナリオ凄く良くできています。かなり面白いです。

日常シーンはダレないしテンポいいしでノンストレス。
キャラも可愛く見せながらクスっと笑えるシーンもかなりの頻度でありましたし。
特に主人公の育ての親である神父が良いキャラしてましてね。彼が関わるシーンはだいたい面白いんです。
なんたって声優が子〇ですしね〇安。あの声で面白いこと言われたら笑っちゃいますよ。

共通では会話で楽しませてもらえましたが、ルカ個別に入ってからは展開が純粋に気になって読み進めが止まりませんでした。
回想を使ったキャラの掘り下げ、ヒロインの感情描写、世界観を存分に生かした面白く綺麗な展開の流れ。
そこにケロQ枕特有の文学的なシーンもあったりしまして。まあこれはルカがそういうキャラだからかもしれませんがね。

前情報では、ひまなつはあくまで雰囲気ゲーでありシナリオが楽しめるのは詠√だけどか、ひまなつは詠ゲーだとかよく聞いていたのでルカ√はあまり期待していなかったのですが。
めちゃくちゃ楽しめる内容でした。完全に嬉しい誤算ですね。
休みだったとはいえルカ√を一日で終わらせたのが立派な証明になるでしょう。
こうなると期待してなかった金剛石とヒナも期待できますし、前情報から人気の高い詠√にはさらなる期待を持たざるを得ません。楽しみだ。

以下ネタバレ注意です。












まずは共通√について。
上記の通りアンストレスかつ笑える内容も織り交ざるかなり内容に満足できるものでした。
基本陽介とヒロイン4人+月子の話…というかそれしかないのですが。
ヒナを中心に陽介たちが、そしてこの6人を中心に朧白の街の人達が、ただただ優しい空間を構築してくれる。
その世界観で流れていく何ら変哲もない彼ら彼女らの日常はいつまででも見ていられそうです。
そんな中身の無い共通√の中にもきちんと個別の伏線が少しずつあったりして。
内容には本当に文句のつけようがありません。

ひまなつのシナリオライターである紺野アスタ氏が同じくシナリオを担当するATRIをこの前プレイし終わったのですが、ATRIの日常シーンよりもこっちの方が僕は断然好きですね。
ATRIの日常シーンも全然良いんですけど、ひまなつの方がギャグが良い感じで笑える所が凄く多かった。
やっぱ個性的というか、尖っているキャラの有無がギャグシーンには欠かせませんからここが大きな違いでしょう。
それか、ひまなつは多くのライターさんが担当されているのでギャグシーンは別の人だったのかもしれません。

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同世代ヒロインズの魅力はもちろんですが、幼少期ヒナの小動物的な可愛さに心が安らぎ続けます。


ただ不満点が二つ。
まず一つ目が、女モブに声がついてるのに男モブにはないのが違和感ありました。
せっかく街の人達との交流がシナリオ上で良い要因になっているのに、街中のおばさんおばあさんは声が聞こえてきておっさんおじいさんからは聞こえてこないとん?と世界観から少し現実に引き戻されてしまいます。
欲を言えば両方欲しかったし、つけられないなら女性モブもなしで良かったんじゃないかなぁ…
CS版なら後からフルボイスになったりしたりしたんですかねぇ。

二つ目。共通短くない?
これが個人的にかなりもったいないなと感じていまして。
エロゲの作品形式として結構よくある、共通→OP→個別入りという形式をひまなつはとっているのですが。
この形式だと必然的に共通は短めになりがちになりますよね。
これが他のキャラゲーとかなら全然問題なかったんですけれど、ひまなつにおいてはもう少しボリュームが欲しかったです。
別にべらぼうに短かったわけではないんですよ。ただどうしても物足りない。
こうした雰囲気ゲーにおいては、世界観に厚みを持たせる必要はなくとも世界観に溶け込む時間が他の作品より重要だと思っているものですから。

友人たちとの夏休みの日常を共通で、女の子と恋人として過ごす夏休みを個別でと、前後半で分けているのは分かりますが。
もっとこのグループの日常を見ていたかった。
陽介たちが協力して、なんてことないちょっとしたことを成し遂げる姿を眺めていたかった。
別に既存の共通と似たような話でも、余程中身がなかったりダレなければそれでよかったんですけどね。
その方がもっと夏を、夏休みをこの作品から感じ取れたのかなと。

あとこれはルカ√の場合だけかもしれませんが。
共通+個別をしても、結構話の長さ自体は長くない、なんなら気持ち短めの内容なんですよ。
別に個別も起承転結があるし掘り下げも感情描写もしっかりされているんです。そこに無駄がなくてきれいにまとまっているものですから、短めになる。いいことなんです。
だったら。だったら共通のかさ増しをしてもよかったんじゃないかって。
美しい向日葵の協会はあっても、“長い”夏休みではなかったかなあ。
ま、僕がどんな話にもすぐシナリオ量とと厚みを求めたがる人間なのでこう思ってしまっているだけな気がします。


田舎の夏ゲーとくると去年の夏にプレイしたサマポケをところどころ思い出したのですが、ひまなつの共通とサマポケの共通では違った良さがあります。
サマポケでは、日にちを追うごとにマップからキャラを選択し最終的にどのヒロインをどれだけ選択したかで√が決まる方式。
なので、個別入り前のヒロインとのエピソードも主人公とヒロインの一対一がほとんどでそれも個別みたいなもんです。
男友達とのシナリオが用意されていたり、蒼としろはでは人数的には結構集まって楽しくワイワイするシーンがあったり、紬√での3人の関係もひまなつに近い優しい世界だと捉えられるかもしれませんが。

鳥白島において羽依里は外部者である所から始まるんです。ここが違う。
ひまなつでの陽介は八年前に育った地に帰ってきたわけであって、ヒロイン達ともヒナ以外気の知れた友人達だし、町の人との面識だってもちろんある。
初めから無条件で、田舎の中で仲の良い人たちの優しいコミュニティというものが始まっているんです。
なんなら、サマポケでいう羽依里の立場はひまなつではヒナにあたるでしょう。
ヒナが不安を抱えながら新しく来た朧白で楽しく過ごしてもらおうと動く陽介は、良一や天善側と言えるかもしれませんね。


続いてルカ√の感想。
いや~~~~~~~~~~~~~~~普通に面白かった。
エロゲの個別ルートとして純粋によくできている。この一言に尽きます。
6人の集団として動いていた中、盗撮メールという動機で2人になり続ける環境を作り出し。
その状況下でルカと陽介の距離が接近していって。
ルカの抱える想いや不安の感情描写をしては、回想での掘り下げも入りルカへの感情移入を増幅させる。
そして、最後にはそれを乗り越えて無事に結ばれる、と。
なんと綺麗で中身の詰まっている起承転結でしょうか。
うおおおおおおこの展開が泣ける!とか、うおおおおおおこの展開が熱い!となるお話ではありませんが、鷺月ルカという女性を好きになり恋をするに申し分ない良い物語でした。

盗撮メールに関しては犯人が分からなくてマジのガチで推理をしてて、それが気になってクリックが止まらなかった部分が結構あったんですけど。
犯人が霊ときたらそりゃわかりませんわな。
正直犯人が分かった最初は「は?」となりましたけど、田舎を舞台にしている以上伝奇とはやはり切っても切れない関係ですから、そういうもんでしょう。

これが街に昔から住み着くよくわかんない地縛霊の仕業~とかだったらルカ√に対するこの評価は逆転していたでしょうね。
やりたい放題風呂敷を広げておいて、最後に実は超常現象の仕業でした~と都合よく投げがちなところが僕が伝奇モノが嫌いな理由だったので。
青バラという存在をきちんと回想で裏付け、ルカが八年前に抱えて抱え続けた気持ちを見せられてやっと、この展開に納得がいき腑に落ちるというものです。
ルカが消えた後の青バラの演出はゾッとしましたが、結局はポジティブな動機で幸せな結末だったわけですし。
いや別に、ここ本当にネガティブな動機で最悪な結末でも良かったんですけどね(鬱展開すきすきおじさん)

結ばれてからは消化試合です。
枕史上最もエロいと公式が謳っているだけあって、エロシーンがかなりあります。
一つ一つのエロシーンも相当長いですし。ここはサクラノ詩の時も同じことを感じましたが。
まあ僕はエロシーン飛ばすんで関係な…これ以上は謎の勢力に消されそうなので静かにしておきましょう。

声をはじめに普通にキャラが好きで入ったルカ√でしたが、付き合い始めてからはルカ抑え込んで取り繕っていた部分が完全に取れてま~~~~かわいくてですね。

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ツインテありえん似合うし。

タイトルなpknijbl

性癖の塊としか思えないパジャマはえっちすぎるし。

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美少女のジト目は世界に平和をもたらすんですよね。
ルカ√の話が面白いと思ったのは本当のことなんですけれど、ここまで楽しめたのはこの女がただ好きだったからってのは正直あると思います。
ただ、今のところですが思ったより雰囲気ゲーではないなという印象です。
雰囲気が良くて読んでて楽しい!というよりは、日常シーンは会話が楽しい!個別√は話の展開が楽しい!って感じですし。
想像してた雰囲気ゲーとは違ったかなぁ。僕が考える雰囲気ゲーはカタハネのような作品をイメージしているので。


以上共通&ルカ√感想でした。
ルカ視点での回想はがっつりあれども、陽介の過去や掘り下げには触れられなかったのでそこが気になる次第です。
次は金剛石√ですかね。この調子だとどんどん読み進められそうな気がします。


オットセイに課金してもガチャは回せません。