Xデザイン学校2021ベーシックコース#10(22/02/18)

昨年の5月から始まったXデザイン学校を修了しました。(寂しい)
最終日は、課題提供企業の方へチームで取り組んだアイデアの成果発表を行いました。
成果発表を終えての振り返りと、全10回の講義の中で学んだこと、印象に残っていることを書いていきます。

ユーザー視点とビジネス視点

Xデザイン学校受講前を振り返ってみると、これまで自社の製品・サービスを意識してビジネス視点で見ることはほとんど無かった気がする。(キャンバスで情報を整理するぐらい?)また、ユーザー視点も実は開発者としてのユーザー視点(≒開発者視点)から漠然と見ている事が多かった。(そもそも誰が使っているのかもよく分からないサービスの開発に携わっていたこともあった)

そんな酷い状況から、スタートアップとして新規事業のサービスを考える中で、"ユーザーの欲求を満たしているか?"、"なぜこの企業でやる意味があるのか?"、"企業のアセットを正しく使えているか?"、"社会的に意義があるのか?"など、サービスデザインのプロセスを通してさまざまな視点から問いを立て、行ったり来たりする体験は自分にとって凄く新鮮だった。

3回目の講義ぐらいから、普段の業務でも様々な視点から物事を見れるようになってきた実感があり、今まで見えていなかったものが見える感覚が凄く楽しい。

その一方で、講評中に「ユーザーとビジネスの視点をバランス良く持つ」という話があったが、ユーザーに寄りすぎず、離れすぎずのバランスを身に着けるには、もっと多くの経験を積まないといけないと感じている。

外化して思考を整理する

年末からずっと体調を崩していたこともあり、後半は継続する事ができなかったが、講義の学びや印象に残ったことをnoteに書いてリフレクションをすることは、講義中のモヤモヤや、グルグルとした思考を整理するのに凄く役に立った。noteへの投稿はそれなりに時間もかかるし、最初は多少抵抗感もあったが、学びの定着という面でもやって良かったと思う。

また、オンラインでのチーム活動において、個人の意見や考え、チームでの決定事項などをmiroに書いて外化することは、チーム内での考えや認識の解像度を上げる効果があったと思う。miroをチームの共通の脳にすることで、活動が停滞した時、行き詰まった時に過去の事象をすぐに振り返る事ができたのが良かった。
リモートワークへ移行してから業務でも毎日のようにmiroを使うようになったが、打合せ中の何気ない一言までとにかく外化するようになったのは、外化することの重要性を身をもって体感したからだと思う。

外化して思考を整理することは、これからも意識して続けていきたい習慣になった。

パーパスドリブンでサービスを考える

初回の講義から常に問われ続けた「なぜこのサービスをこの企業がやるのか?」

これは社会が会社に"意義"を問う時代が到来し、これまでのユーザーが喜ぶ製品・サービスを提供するという考え方だけでは不十分になったからだと認識している。そのため、企業としてビジョンを提示し、自分たちがやるべき存在意義を示さないとビジネスとして弱くなってしまう。(存在意義がないと思いつきのアイデアになってしまう)

チームではパーパスを言語化することに最後まで苦労したが、「自分たちってこういう人の集まりだよね」とリーダーがメンバーの共通項を共有してくれたおかげで最終発表の表現に落ち着いた。

パーパスは社外の多様なステークホルダーに共感してもらうものでもあるが、まず社員(チームメンバー)全員が納得し、同じ理念やビジョンと一緒に共有することで、進むべき旗印になり、様々な判断の指針にもなると感じた。

普遍性と雑味を併せ持つ体験価値

一連の講義を通して、"普遍性と雑味を併せ持つ体験価値を作る"ことが、UXの肝となる一部分ではないかと考えるようになった。(この行為にはパーパスやエスノグラフィ、ペルソナ/シナリオ法など様々な要素が含まれている)

企業とユーザーが共創してサービスを作っていく時代において、”自分起点の内発的な熱い思い”を多様なステークホルダーを巻き込みながらスケールさせるためには、普遍性と雑味が必要になる。(普遍性がないとユーザーに受け入れられないし、雑味がないと他のサービスで良くなってしまう)
ユーザー調査で明らかにする本質的な欲求や暗黙的な価値観は普遍性があるものでないといけないし、パーパスは雑味の一つと言える。

また、体験価値を作るためにはモノ起点ではなくコト起点でなければいけない。開発者はどうしてもモノ起点で考えがちだが、まずユーザーのコンテクストは何か?ユーザーは何をしたいのか?を先に考える必要がある。
つまり、体験価値を作るためにはまず人間のことをより深く知る必要がある。講義の中盤ぐらいから、UXデザインの理論やプロセスを学ぶだけではダメだという感覚を掴むことができたのは良かったが、そもそも人間というものを理解しようという行為自体奥が深すぎて途方もないことに足を突っ込んでいるのでは?という感覚になっている。

幸いなことに、先生から人間を理解するためのヒントのようなものをたくさんいただいた。"人間ってそういうもんだよ"という感覚を理解するためにも、ナラティブなものに少しでも触れていきたいし、何より体験設計に携わる機会をもっともっと作りたいと思うようになった。

変化を捉える

時代の変化に伴い、人々の生活や思考、価値観、世の中のニーズ、社会状況、技術動向、マーケット、競合動向などが刻一刻と変化しており、現代のビジネスはこれら様々な変数が絡み合って年々複雑化している。講評でも触れられていたが、多様であることが当たり前の世界で育ってきて、地球中心・社会善を重視するZ世代の購買活動の変化など、これからは色々な場所にアンテナを張り敏感にならなければいけない。

システム開発の現場でアジャイル開発が主流になってきたのも、不確実な状況で、変更に柔軟で、動くモノの出来あがるスピードを求めるという開発手法の特性が、こういった時代背景に合っているからだと思う。

このように変化するものがある一方で、人間の本質的な欲求は時代の移り変わりでも変化しない。(美味しいご飯を食べたいという欲求はどの時代でも変わらないし、コロナ禍においても、人は密な場所で人と接したいと思っている)

これからは、ユーザーの利用シーンの変化を捉えた時代に合ったサービスに、変化しないものをいかに体験として落とし込めるかが重要になっていくと感じた。

行動変容

この10ヶ月で多くのことを学び、たくさんの刺激をもらったが、その過程で自分の意識と行動が変化したことが自分にとって一番大きいと思う。

普段の業務で今までスルーしていたところに自分から提案をするようになったり、ユーザー調査・評価を行う機会も目に見えて増えてきた。
業務以外でも、今まで読んでこなかったジャンルの本を手にとったり、今まで立ち寄ったことのない場所にふらっと立ち寄ってみるなど、これら一つ一つは凄く些細で小さな事かもしれないが、自分にとっては大きな変化だと思う。

上記でも書いたように、UXデザインの理論を一生懸命学んでも新規事業の製品・サービスが生まれる特効薬にはならない。様々なことを包括的に学び、体験する必要がある。自分のやりたいこと、自分にとって役に立つこと、メリットがあることだけではなく、無駄だと思っていることも含めて何でもやってみること、机上で考えてないで実際に行動をしてみることが重要だと感じるようになった。

最後に

Xデザイン学校では、会社の中に閉じこもっているだけでは決して学ぶことができない、大切なことを多く学ぶことができました。また、人の欲求やサービスの価値など、本来目に見えないものを形にすることの楽しさに気づくことができたことが新たな発見でした。
これからも自分なりに色々な経験と失敗、リフレクションを繰り返して学び続けます。

先生、ベーシックコースの皆さま、同じチームの皆さまには大変感謝しています。
1年間、本当にありがとうございました。

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