39歳自営業、糖尿病になる #2 2日目 | 恋しくて、肉
06:15 ~色気のない朝チュン~
病院の規定起床時間は6時のはずだが、自然光で目覚めたのはこの時間。
にしても普段の生活からしてみれば相当早い。早朝会議とかロケの移動とかでもない限りまずもってなかった感じ。
そも消灯の21時から起床6時までトイレ以外の不要な出歩きをせず、読書灯も点けるなっていうことね。
体温を測って歯を磨き、顔を洗って部屋に戻る。
やることはない。おうちに帰りたい。
07:40 ~今まで食ったパンの数~
朝食前の血糖値検査に呼ばれ、196とか数字が見える。
400から見れば大した改善値だが、許容値100からみれば病気である。
もう針を刺すのも慣れた。痛いのはまぁまぁ平気だけど、針が刺さる瞬間や刺さってるところは怖くて見られない。
あぁ、これが終わったら痔の手術だからケツ穴に指突っ込まれるんだろなと思いだした。あっちは我慢できないくらい痛い。思い出さなきゃよかった。
尻の記憶を深層にしまったところで朝食が運ばれてきた。
朝飯のラインナップはこちら。
白米
豆とニンジンと筍と肉
白菜にゆかりん
キャベツの味噌汁(2食連続2回目)
茶
牛乳
王国民としてやはり興味を引いたのは白菜のアレンジレシピだ。
なるほど少しの塩分と紫蘇の香り、塩分はおろか、すべてが"薄い"中に感じる"味"の要素。なるほど味覚が敏感になるわけだ。味蕾もビンビンになっているんだろう。
ここでBGMの田村ゆかりの乙女モードに変更。いたずら黒うさぎのアーカイブとか残ってればよかったのに。
主菜となる豆とニンジンと筍と肉だが、肉の比率が明らかにおかしい。
これでメニューに"肉"の文字が入っていたら大いに交尾する。それは違うんじゃないかと。しかしそれを抜くとこの食事でタンパク質の取りどころがなくなる。豆か。きっとそうだな。何でもねぇや。落ち着こう。
キャベツの味噌汁は可もなく不可もなく。まぁ、慣れた。ここの常連メニューなんだろう。
ワイフが作るなめこの味噌汁(大根おろしたっぷり)が飲みたい。
09:10 ~あんた、新顔かい?~
どうやら病棟に新人が来たようだ。昨日自分が受けた説明と同様のワードが聞こえてくる。そしてあっちもワイフ連れらしい。
「ご家族の方はこちらまでで・・・」とか言われてる。
お互い気丈にふるまっているだろうが、いつまで続くかな?
泣くぞ、絶対泣くぞ、すぐ泣くぞ、ほら、泣くぞ。
あ、違う大部屋か。残念。
11:30 ~パンツと水~
実はIT用品やらはしっかり準備したものの、パンツの替えを忘れてしまった。ここぞとばかりに昨夜ワイフに懇願し、持ってきてもらえることになった。
ついでに、水が合わないので買ってきてもらうことに。
病院はウォーターサーバとかが標準装備されているもんだと思っていたらそんなものはなかったので、飲料水は水道水でどうぞと言われたがイマイチ合わない。
っぱ南アルプスの天然水、これよ
ところでこちらの病院まだ面会ができない。
厳密にいうと、物品の差し入れは看護師経由で可能、ただし飲食物はダメ
エレベータで病室フロアまでは来れるが、そこまで。
基本的に入院患者と外部の一般人は面会も接触もさせない方針のようだ。
しかしこの馬の耳を持つ男、目も口も頭も悪いが耳はいい。かすかに遠くで看護師とワイフの会話が聞こえ、これは何の空耳アワーか幻聴なら幻聴のフリしてそのままトイレ行くかとのんのんのんのん出ていったら当人がいたというミラクルを引き起こす。看護師も「まぁ、たまたま会ってしまったってことでほんの少しだけ」一言二言の会話が許可される。
「グララーガァ、グララーガァ」
「じゃ帰るわ」
リクエストしたワイフのパンツは入っていなかった。
12:00 ~単価調整にマン〇ーかよ~
昼前の血糖は249。何もしなくても上がったり下がったりするもんなんだなと思いつつ、やはり運動したいので午後の眼科検診を待つ。
その前に本日もやってきたきたキタキツネ。
ランチの時間である。
白米
焼き鮭(2日連続2回目)とパプリカ(2日連続2回目)
ひじきと厚揚げ
ほうれん草のあまり浸ってなさそうなお浸し
カボチャ
ほうれん草には小さなエビが混入している。混入って表現は違うかもしれんが、これでほぼ決まりだ。この病院食、塩分は海由来の食材パッシブを使って摂取させている。
エビにしろ、シャケにしろ、ひじきもそうだ。
調味料からまとまった塩分を使っているケースは味噌汁の味噌くらいしか無いんじゃないか。
分析しているとJ仲間から札幌パークホテル近辺でランチのおすすめを聞かれたので、パークの中華を紹介した。ホームページを開いて公開したのは言うまでもない。
甘味分はカボチャとかどこの戦時中だよと思ってよく見るとこれマンゴーじゃないか。しかもアップルマンゴーじゃなくてペリカンマンゴーだ。単価300円を簡単に超えてくるフルーツだぞ、ぜいたく品だ。
量的におよそ実の半分くらいはある。あぁ、どうせ中央の種部分はあっさり捨てられてるんだろうな。
あそこにベッチョベッチョしゃぶりつきながら繊維を前歯に絡めるのが至高なのに。
しかし満足度は高い。おそらく初めて嬉しかったメニューである。
これで午後の検査を通過して運動が解禁になることを望む。
15:20 ~晴れときどき検査~
昨日渡された検査予定表により、午後はいくつか検査が予定されていた。
枕元の通信機が鳴って、「〇〇検査なので〇Fのどこどこに行ってね」と言われるので、それに対応したカードを持って院内を徘徊する。
眼科はよくある視力検査と、道路と気球が見えるやつをのぞき込んで空気銃を打たれるやつ。なお明日も検査が続きから今日の運動許可は出なかった。
ガッカリ。
皮膚科は足を見せてくれっていうオーダーだったけど、おそらく末端の壊死とかが起きてないかとか見るんじゃないだろうか。
あとオスゆえにあまり詳しくないんだけど、足につけたらペディキュアっていうんじゃなかったっけ。どうでもいいな。モテないし。
心電図はドラマで見る電気コードみたいなやつを上半身と手首足首につながれてピクンピクンなるやつ。
X線は健康診断でありがちな、まな板のお化けみたいのを抱え込んで息吸って止めてる間に撮られるやつ。
そういえば商工会か健保協会から40歳前の健康診断セットの案内来てたから退院したらついでに申し込もうと思ってたけど、実質ここで全部済んじゃってるんじゃないかな。いやダメだ、バリウムとかいうのあるんじゃろ、アレまだやったことないんだよね。
17:50 ~やったねケンちゃん、薬がふえたよ!~
一連の検査を終えて部屋に戻り、少しすると医者がやってきた。
「検査も特に問題ないし、数値も下がってきているので、もっと下げるために薬を増やしましょう」
インスリンを4単位打っていたところが6単位になるよってことらしいけど、よくわからんのでコイツ修練に耐えられるからもうちょっと負荷を与えようみたいなそんなJ理論で納得する。
そして食前血糖を測定し、158の数値を確認。まぁ下がってきてるのは素人目にもわかる。そして400がいかに突き抜けていた数値だったのかも改めてわかる。スゴいね、人体。
そして本日のディナー()
白米
ポークステーキとカリフラワー
大根とニンジン煮たやつ
アスパラ玉ねぎトマトのサラダ
とろろ昆布のお吸い物
茶
昼食の反省かとばかり肉が出てくる。皿カバーを開いたときにお肉がコンニチワしていたときには久しく失った光が瞳に宿った。
が、箸でつまみあげるとそれはたちまち平常心に戻る。
なんだこの薄さは。マックのパティでもまだマトモじゃねぇか。
文句言って没収されても困るので、肉の悦びを噛み締める。
端っこには脂身がついているではないか。前歯で脂を楽しむ。ひと噛みするごとにジュクジュクと溶け溢れる脂を全口腔内で楽しむ。舌の上に乗せ、右の頬から左の頬へ。まんべんなく分け与えよう。
これが、脂だ。忘れるなよ。美味しいものだ。肉欲!違うわ。
なおそういう気分にはまるでならない。どうした身体。
夕食を終えると昨日同様、やることはなくなる。
2日連続快晴の札幌、日が暮れていく。
病室内の照明は中央通路にしかないので、ナワバリの中もだんだん暗くなっていく。これがなかなか精神的に刺さるが、明るくする手段は無い。読書灯を点けるにはベッドを倒さなければならないので、そうするとPC操作はできなくなる。
要は暗くなったら寝ろってこった。昔の農民と一緒だな。ワイフの実家も農民だった。
昼間の差し入れに入っていた子供からの手紙を読む。
今宵も枕は涙に濡れた。
次回予告
・風呂は自分で入れるのかよ
・運動解禁できるかな
・ラーメンが食べたい
の3本です(じゃないかもしれない)
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