劇場版オーバーロード聖王国編を観た感想
劇場版オーバーロード聖王国編を観てきた。目当てだった原作者書き下ろし特典小説も上下巻無事に入手する事ができた。
全体的な感想としては尺の関係上ところどころ端折られたと感じる部分がありもっと尺があればなあとも思うがこればかりは仕方がないとも思う。その上で聖王国騎士団とアインズの最初の謁見でネイアが独断専行で発言するシーンはカットしなくても良かった気がした。あとは間違った事を言っていないが故にネイアの布教活動を止める事ができないとカスポンドが批評する部分が個人的には見たかった。ただ、そんな尺が厳しい中でもシズとネイアの絡みはしっかりと時間を取ってくれたのは嬉しかった。アインズ信奉でスムーズに絆を育む二人は見てて微笑ましく聖王国編で特に好きなシーンだったので映像化は素直に嬉しい。
戦闘シーンはネイア視点ということで魔法が空中に荒れ狂う花火大会の様相を呈している。戦闘における細かい駆け引きもオーバーロードの魅力なので残念と言えば残念だが元より作中の心理描写をアニメで完全に再現する事は無理があるように思うので尺の都合もあり思い切って端折ったのだろう。
あとはルーン武器関連が原作未読勢に不親切だったようにも感じた。ルーン武器の宣伝効果を狙ってアインズはネイアにルーン武器を渡し、憤怒の魔将やサークレットにルーン武器の性能の高さを営業させるもネイアによって悉く空振りにされるのが今作の大きな笑いどころであった。しかし今作は全体的にネイア視点で進行しており、その関係からかナザリック側の事情が殆ど説明されていない。予め原作を読んでいる層は問題無く笑わせてくれるが、未読勢はナザリックがルーン武器の宣伝をしたがっているという背景が説明されていない状態で物語が進む為、何やら妙に大仰でわざとらしいシュールな雰囲気を感じ取ることはできると思うが状況を理解できずに困惑すると思われる。最後の最後、エンドロール後にアインズがシズにルーン武器の宣伝の成果を尋ねるシーンがあるが笑いどころとしては既に手遅れなので、この部分の背景は理解できるようにした方が良かったのではないかと思った。アインズの回想でアルベドとデミウルゴスとの打ち合わせシーンはあったのだから頼み事などとぼかさずにルーン武器宣伝の旨を明言させるべきだったと思う。まあ、初めから原作既読勢のみを想定していたのかもしれないが。
これは初回視聴で自分が間違った事なのだがレメディオスがカルカの残骸を掻き集めているシーンを最初這いつくばって無様に逃げようとしているように捉えてしまった。片手ずつ動かすのではなく両手で掻き集める動作も加えればその辺り誤解しにくくなるかもしれない。
オーバーロードは他のラノベと比べても設定と心理描写がとても多いうえ、その心理描写がキャラクターの行動を語るのにとても重要な為、相対的にアニメ化の適正が低い側面がある。しかしやはり好きな作品のキャラクター達が声を得て動く様を見る事ができるのはやはり嬉しい事に違いがなく、アニメも4期まで続き今回劇場版が上映される程に多くの同志から愛されている。原作も完結まで残り少ないがアニメ共々最後まで駆け抜けて欲しいものだ。