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#107 尊敬される教師(先生)とは

 「尊敬される教師とは」どのような先生でしょうか。

「子どもの話をよく聞く先生」と言われる場合があります。でも、尊敬される医者は「患者の話をよく聞く医者」と言われることがあります。さらに、一般的に尊敬される仕事人のほとんどが、お客の要望をよく聞く人であるように思います。そう考えると、「話をよく聞く」というのは、どの職場にも通用することであり、教師に限ったことではないことがわかります。したがって、「子どもの話をよく聞く」というのは大切な事ではありますが「尊敬される教師」の条件ではないことがわかります。
 学校の先生に限って言えることが条件でなくてはならないはずです。

 大学生に質問調査をした結果があります。

問 やる気をおこさせてくれる先生タイプとは、
 ・励ましてくれる先生
 ・ほめてくれる先生
 ・厳しい先生
 ・熱心に教える先生
 ・授業に工夫がある先生
 ・わかるまで教えてくれる先生
 ・授業が楽しい先生
 ・教え方がうまい先生

反対にやる気をなくさせる先生とは、
 ・えこひいきする先生
 ・けなしたりばか扱いしたりする先生
 ・無関心な先生
 ・しきりに否定ばかりする先生
 ・他の者と比較する先生
 ・無気力な先生
 ・いいかげんな先生
 ・子どもとの約束を守らない先生
 ・口先だけで実行力がない先生
 ・先生らしい会話がとれない先生(すべてがため口)

上の「やる気をおこさせてくれる先生」の項目の中で、先生だけに限ることは何でしょうか。励ましたり褒めてくれたりするだけなら友だちや親と同じです。
 では、先生だからできることは、

授業を工夫して、わかるまで教えてくれる先生
教え方が上手で、授業が楽しい先生

 この二つになるのではないでしょうか。
さらに、子どもの気持ちに寄り添って、子どもの気持ちに共感できる先生

 では、子どもたちは、どのような時に先生を尊敬するのでしょうか。
・わからないことをわかるようにしてくれたり、できないことをできるようにしてくれたりしたとき。
・先生の授業で計算が前よりよくわかって速くできるようになったとき。
・先生のアドバイスで跳び箱がとべるようになったとき。
・先生の指導によって音読が上手になったとき。
 子どもたちは、自分の成長を実感したとき、初めて、先生を「自分とは違う」「さすが先生だ」と感じたその瞬間に尊敬するようになるのだと思います。

 友だちのような先生だけでは、親しみを持たれますが子どもたちから尊敬はされません。それははっきり言って先生としてのプロ意識がないからです。それだけでは、子ども会のおじさんやおばさんと変わりないのです。

 先生方は、特に新学期は子どもたちと気心を通わせようと子どもたちの遊びの輪に入ります。出会ったばかりの子ども集団に参加します。2~3日ぐらいは、子どもたちも新鮮なので先生につき合います。しかし、一週間も過ぎると、子どもは先生から離れていきます。先生が主導権を握っている遊びは、子どもたちにとってはつまらない退屈なものなのです。子どもたちだけで自由に遊んだほうが楽しいのです。でも、悲しいかな、先生の方は、子どもたちと遊んでやっているというおそろしい勘違いをし始めます。

 一方において、休憩時間に一人教室に残って、次時の授業の準備をしている先生がいます。子どもたちとは、遊んでいる様子はありません。もちろん、そんな忙しそうな先生を見て、子どもたちも遊びに誘いません。

 子どもはどちらの先生に惹かれるでしょうか。
 表面的には、子どもと一緒にいる先生に惹かれているように見えます。
子どもを遊びで引き付けようとする先生VS子どもを学習において引き付けようとする先生
遊びで子どもと仲良くなろうとする先生VS授業で子どもと仲良くなろうとする先生

 もうお分かりだと思いますが、言うまでもなく授業において、子どもを魅了する先生の方が子どもとの心の距離は狭まっていきます。子どもにとって、一緒に遊ぶことが楽しくても、授業になったらつまらないと思えるようでは、子どもたちは先生から離れていきます。授業がつまらないのに、わからないことを責められたり、多くの宿題をだされたりすると、その先生から離れていきます。学習で子どもを魅了すると、子どもたちの方から「先生、遊びませんか」と誘ってきます。子どもたちは、尊敬する先生に心を寄せ始めると、いろいろなことをその先生と共有したいと思えるようになるからなのだと思います。

 「教師は授業で勝負」とは、こういうことなのです。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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