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キャリアチェンジを考えるなら、まずやるべきこと。

先日、キャリアチェンジするための個人セッションを受けてくれているクライアントさんと、こんなやりとりをした。

「自分がどんな姿でありたいのか、理想を書き出してみましょうか。」
「それが、全然わからないんですよね・・・」


実際、書き出してもらったのだけど、数行しか書けなかった。しかも、その内容がこれまた控えめ。

「今より少しだけ築年数の浅い家に住みたい」「給料は今より少しだけ上がればいい」・・・みたいな。


言うても、別にこれが「足るを知る」的な境地に達していて、心から今の生活が幸せと思えているなら、それで良いと思う。
ただ、「わからない・・・」と言う姿は、どうもそうは見えないわけだ。

そこで、いったん「理想の姿」の深掘りは置いておいて、その方のこれまでのキャリア選択についてヒアリングしていった。

すると、頻出するワードが、「私これくらいしかできないので」「こうせざるを得なくて」みたいな、完全に後ろ向きなものばかり。

でも、彼女(女性のクライアントさんなので)は、そんな中でもすごく頑張っていたのだ。自分の業務外のことが降ってきても、ハイハイとしっかり対応する。忙しくても、文句言わず対応する。他の人がやらないなら私が・・・となんでも拾ってあげていたのだ。

しかも、その拾い上げるレベルが高いから、また新しいことをどんどん任される、そして仕事がいつの間にか増えていく・・・というループを辿っていた。


そこで、気付いて聞いてみた。
「〇〇さん、不感症になってませんか?いろいろ任されて頑張っているうちに、自分が何が好きで、何が嫌いか、わからなくなってないですか?」

彼女は、ハッとしていた。

そう、彼女は、他人の期待に応えるために仕事を頑張ることが当たり前になってしまい、自分の気持ちに目をむけることがなくなっていたのだ。

こうなると、仕事だけでなく、プライベートでも自分の好き嫌いがわからなくなる。結果的に、人生のあらゆる選択が「無難かどうか」「人から評価されるかどうか」になってしまうのだ。


彼女のような不感症状態になっている大人は、めちゃめちゃ多い。
かくいう私も、そうだった。

自分の存在意義を小学生時代から疑っていたので、「認められる」ということが私にとっては生きる上で必須事項だった。
特に、「真面目な頑張り屋」で通ってきていたので、勉強なりバイトなり、目の前にあるものはキチンと何でも頑張ってきた。

そのため、社会人になってからも、基本「仕事をサボる」という発想はなかった。たとえ休みがなくても、ものすごい残業時間になっても、私生活を犠牲にしてでも、任務をまっとうすべく働いた。

でも、こんなスタンスで仕事をしている最中で、ふと気づいてしまったのだ。
「あなたの好きなものは何?」と聞かれても、答えられないことに。



まぁ、言ってしまえば「好きなもの」なんて答えられなくても、生きてはいける。仕事上で評価されることもできる。

でも、自分の心の中の奥深く、「じんわり沁みてくる幸せ」みたいな部分がぽっかり穴が空いたように感じるのだ。

そこが埋まらないと、まだ仕事でうまくいっているうちはいいが、一度そのバランスが崩れた時、再起不能になりやすい。(これも私は経験済み)


だから、私は、キャリア支援のセッションをするときにも、まずは「自分が何が好きか・嫌いか」を答えられるようにリハビリをしていったらいいと伝えている。

それもわからないうちに現状を変えようとすると、とんでもないところに行きついてしまいかねない。何せ、自分の好き嫌いがわからないわけだから、選択ミスが起こり得るのだ。


キャリアチェンジを望む方は、まず仕事を探したり資格勉強をしたりとか、急に実務的なことに飛びつきがち。

でも、本当に満足するキャリアを歩みたいなら、まず自分の「好き嫌い」をよく知ることだ。

例えば、普段の生活で、ふと「これ好きだな」「なんか嫌な気分になったな」ということをどんどんメモしておく。
こうすると、自分の本音を聞くことが癖になり、どんどん自分の望みが明確になっていく。


これは、今すぐできる簡単なことだけど、とってもコスパがいい。

キャリアチェンジ先を考えるヒントになるのはもちろん、外部環境に左右されず自分を幸せにするための、揺るぎないデータベースになってくれる。

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