自分の心がコタエを知っている。
私は、昨年3月、夫とマンションを購入して引越しをした。
その決断をする前に、我々夫婦の間で沸き起こったのが、「賃貸か持ち家か、どちらが損しないのか」かという論議。
特に、うちの夫は、知らない状態で何かを決断することができない性分。
家探しをしている時期はひたすらyoutubeで「賃貸vs持ち家」の動画を見まくっていた。
私も、普段「考えるよりまず行動」で無鉄砲さがウリなのだが、家を買うともなると話は別だ。後戻りのできない、大きな買い物。さすがに、夫と一緒になって調べていた。
結果的に、我々は「持ち家」を選択したわけだが、そうなった理由は、「いずれ資産になるから」などといった最もらしいものではない。
「住みたい家がたまたま持ち家だった」という、それだけだった。
家探しをするときは、大体いくつかの条件に基づいて探していくだろう。
私たち夫婦の「絶対に譲れない条件」は、住む場所であった。
私たちは、今の家に引っ越す前、極狭1LDKの賃貸アパートに住んでいたのだが、今の家から自転車で10分ほどとかなり近場に住んでいた。
このエリアは、もともと夫の実家があり、夫が35年間住んできた場所だ。(厳密に言うと、2年ほど一人暮らししていた期間があったらしいが)
元々は、夫が中学の同級生と草野球チームを組んでいるので、地元から近い場所がいいからと2人で住み始めた。しかし、気づけばすっかり私も気に入ってしまっていた。
学校が多い街なので、静かで、緑が多くて、人も穏やかで、とにかく「気」が良い。
私はこれまで、「引越し好き」と公言していて、数年単位で家を点々としていた。短い時は、9ヶ月で引っ越したこともあったくらいだ。
そんな私が、「ここに定住したい」と自然に思えた、本当に珍しい場所だ。夫と結婚してよかったことベスト3に、この地に出会えたことが間違いなく入る。
だから、引っ越そうとなったときにも「このエリアで探そう」というのはブラさずに、最初は賃貸で探していた。
なぜなら、私たち夫婦は、あまり貯金がないからだった。よく言えば、貯蓄するより「今を楽しむ」スタイル、悪く言えば単なる浪費家夫婦。そんな我々には、「家を買う」なんてハードルが高くて、眼中にもなかった。
しかし、賃貸で探したものの、何せ気に入る家が全くなかった。このエリアが学生街なので、賃貸は1人暮らし向けの家がほとんどだったのだ。
そんな中で、転機が訪れた。
知人から「実はマンションはそこまで頭金が多くなくても購入できる」と聞き、冷やかし半分で売り出し中のマンションの内覧に行くことに。
そうしたら、賃貸ではピンとくる家に出会えなかったのに、持ち家だったら広くて綺麗なマンションが次々と出てくる。こんなところに住めたら、と胸が躍った。
私の中では「持ち家」に完全に気持ちが固まり、ほどなくして場所も値段も間取りも申し分ない、今のマンションに運命的に出会ったのだ。
夫も私も、ほぼ即決だった。
この家に住んでから、もうすぐ10ヶ月。
本当に、毎日この家に住めて幸せだな、と心から感じる。夫とも、よく「こんないい家に住めるなんて有難い」と話しているが、これぞプライスレスだ、と思う。
「賃貸か持ち家か」と言う議論は、合理的に考えて「損か得か」という話だ。
だが、私たちのこの「幸せ感」は、そんな計算では算出できなかったんじゃないかと思う。
ただただ、心が動いた方を選んだ、ただそれだけだ。
きっと専門家から見たら、危なかったしい決め方なのだと思う。
でも、私たちは十分に幸せなのだから、それでいいのではないだろうか。
・・・まぁ、もしかして、10年後に「やっぱり賃貸にしておくべきだった!」なて言ってる可能性もあるけれど。
その時は、笑って許してくださいね。人間の意見なんて、変わりやすいもんです。
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