見出し画像

worksTokyo 代表 Hiroshi Kajimoto

グループの力を信頼し、学んでいる理由の一つを書いてみます。

9年前、3.11の後、東京都のスクールカウンセラー(SC)に被災地支援SCの募集があった。ゴールデンウィークの休日であれば数日いけると考えて申込み、事前講習を受けた。臨床心理の専門職として気負い、ときおり不安を感じる自分のことは、ひそかに恥じていた。

そのころ、ちょうど、神戸でグループがあった。コンダクターされていた方の一人を頼り(キッカケ)に、思い切って、神奈川県から参加した。

そこで学んだことは文字にすると「被災地に入るのは、不安になるもの」という誰にでも分かること。しかし、この内容を自宅で文字で読んだとして、あの日の自分に変化が生じたとは考えていない。落ち着きを取り戻し、不安を感じる自分自身を受け入れられるようになったのは、そこに「グループ」があったからだと体験している。つまり、無理に(という自覚すら十分にはなく)埋めようとしていた自分を、そのままに感じられる場があった。

もっと忘れられないのは、帰宅した後、僕の変化を感じとったのであろう、まだ幼かった娘に言われた言葉だ。僕に、余白や余地がなくなってしまえば、周りは話さなくなる。幼い子であっても。

この時の体験は、グループの力を信頼し、学ぶ理由の一つになった。

グループ経験は、いつもポジティブなわけではない。難しさ、怖さもある。なので、無邪気に信じてばかりはいられない。
だが、グループで生じている作用(もしくは生じていないこと)を理解し、工夫して対処していくことで、グループに参加した人が、その人らしく存在できるようになる可能性は十分にある。
だから、グループを学び、広めていきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?