見出し画像

フィンランド在住の児童民生員が教える、思春期の子どもとの穏やかな関係の作り方①



私はソーシャルワークを勉強していて、日本で、

  フィンランド式で育てたいのですが、どうしたらいいのですか?

とよく聞かれます。そこで、私が学んできた内容を使って日本で同じように思春期と関わり合う人たちにフィンランドではこうやっているんだというのを伝えることが出来ればいいなと思います。フィンランドでほぼソーシャルワーカーで現在児童民生員として働く私が今回から連続で思春期の子どもと対話で穏やかな関係を作る方法をお届けします。

画像1

イジメられてはいないだろうけど、うちの子は、学校でうまくいっているのかしら?と心配になることもありませんか?

子供に質問しても"まぁまぁ"や"普通"などのよくわからない返事しか返って来ず、結局よくわからないとなることもありませんか?

学校いじめではなくても、思春期の時代の交友関係は繊細で脆いものも多く昨日はよかったけど今日は微妙なんて言うことも多々あります。それに加えて将来に対しての漠然とした不安や、学校の勉強する内容が難しくなり焦りや苛立ちも出てきます。

ソーシャルワーカーは問題を見つけなくてはいけないので、子どもに悩みを話してもらえなければ仕事が出来ません。
1回目の今回はフィンランドでどのようにこの繊細な思春期たちと信頼関係を作るかを紹介します。読者の方で恋愛相談を受けたりするし、信頼関係は出来ているよと思う人もいると思います。ここでは話しやすい子の陰に隠れてしまう引っ込み思案、大人を信頼していない、攻撃的な若者と信頼関係を築いて悩みを話してもらえる関係を作る時に活かしてもらえたらと思います。

画像3

子どもへのリスペクト

思春期の子どもは大人と子どもの間にいます。大人から見ると危なっかしくて、ついつい口を出したくなる場面がありますよね。

画像3

フィンランドでは高校生はもう大人と変わらないと社会的地位があります。前回のイベントで現役高校教師のヘリさんは、高校生はもう大人と何度も言っていました。もちろん助けが必要な子もいるし、その時はすぐに助けるとも話しています。つまり、教師は高校生たちが自分で考えて行動出来る、自立しているという前提で接しています。

"Emme kerro sellaisille, jotka eivät arvosta meitä ihmisenä, ja jotka eivät usko selviytymiseen. " -Kirsikka 40v *1
訳》私たちのことを人間として尊重してくれなくて、立ち上がれると信じてくれない人達には話さない

これは、フィンランドで性的被害に遭った人の語った言葉です。
ありのままの自分を受け入れてくれるという安心感と自分は失敗しても立ち上がれると信じられている感じる気持ちを相手が感じなければ対話は始まらりません。相手がその気持ちになるまでは私たちはまだ対話の舞台にすら上がっていないのです。

思春期の子どもたちと仲良くなるためにはフィンランド人高校教師のヘリさんのように、まず思春期の彼らを彼らは大人がコントロールしなくても自分で考え行動出来る人間だと私たちが信じるところから始まります。私も前に17歳の女の子に"あなたは私をちゃんと尊敬して対応してくれるからあなたには怒鳴らないし、侮辱した言葉は使わない"と言われたことがあります。この関係が築けてからやっと対話が始まります。フィンランドではこの関係作りを一番のポイントだと考えています。

関係の作り方

相手を信じることが出来たら次はあなたが信じている内容を声に出して伝えて下さい。その時にバブルバインドに気を付けてましょう。
つまり大人が子供に期待する内容と子どもの行動は同じでなくてはなりません。あなたは友達思いの人だと思うと伝えながら、あなたも頑張ればテストの点数で〇〇ちゃんよりいい点数を取れるんじゃない?と競争をさせるアドバイスをするとどっちが正しいのかわからなくなってしまいます。

友達思いでありながら、テストでいい点数を取ることは同時に出来る内容です。フィンランドは教育現場に競争をいう価値観は避ける傾向にあります。子ども同士を競争させないという理念を強く教師・学校側が持っています。

上にある例の場合だと、大人の子どもに対する声掛けは...
"〇〇ちゃんって数学が得意なんだね、
あなたは苦手ならわからないところを教えてもらえばどう?
その代わりにあなたの得意な社会で大切なポイントを分かりやすく話して一緒に勉強してみたらどうかな?"となります。

信頼関係を作る土台作りのまとめ
1. 相手の成長の伸びしろを信じる
2. どんな伸びしろなのかを相手に伝える
3. 一貫した価値観を持って、声をかける



参考文献
*1 Kuusikallio,V. & Kuusikallio,K. Hyväksikäytetyt Selviytyvät kertovat. 2012. Helsinki. Minerva 

https://www.ac-illust.com/main/detail.php?id=1513839&word=%E5%AD%A6%E7%94%9F%EF%BC%88%E3%83%96%E3%83%AC%E3%82%B6%E3%83%BC%E7%94%B7%E5%AD%90%EF%BC%8901

▼次回のワークショップ案内▼

ヘリ (1)

https://www.workshop-omena.com/movie

7月31日・8月2日に高校をテーマにした2日連続ワークショップの開催します。悩みが多い思春期のフィンランドの子どもたちがどのような環境で生きているのか、大人はどのように接しているのかを高校教師の視点から紐解いていきます。

詳細・お申し込みはこちらから
http://ptix.at/91mbhj




最後まで読んでいただきありがとうございます! もしこの記事が良いと思いましたら スキをいただけると「また更新頑張ろう」というパワーになります^^