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明智光秀の子は、有名クリスチャン!?

 NHK大河ドラマ「麒麟がくる」が2021年2月7日が最終回を迎えた。本能寺の変にて、主君である織田信長を裏切った謀反人のイメージが強い明智光秀(以下、光秀)を主人公に据えるという意欲作に、放送前から話題となっていた作品だった。メインキャストの不祥事による降板や新柄コロナウィルス感染症による撮影の遅れなど、数々の災難に見舞われたものの、平均視聴率14.4%と前作を大幅に上回る数字を残した。

光秀の子、「明智 玉」とは?

 さて、光秀には子どもが3男4女いたとされる(※諸説あり)が、中でも有名なのは、3女で戦国大名 細川忠興(以下、忠興)の正室となった「明智 玉(あけち たま)」だろう。ドラマでは女優の芦田愛菜が演じており、その天真爛漫な姿が、主君に翻弄される光秀の癒やしとなっている場面が印象的だった。
 実は彼女は、ドラマでは詳しく語られていなかったが、光秀の死後に「ガラシャ」の洗礼名をもらうクリスチャンとなる。そして、後述の出来事から「明智 玉」より「細川ガラシャ」の名称で多くのクリスチャンの模範として、日本よりも海外での知名度が圧倒的に高くなっている。
 彼女がクリスチャンとなった背景には諸説あるものの、はっきりとした理由は現在でもわかっていない。同時期、高山右近や大友宗麟などクリスチャンに改宗した大名は少なくなく、夫に従って妻やその家族や家臣もクリスチャンに、というのは、ままあったことだが、彼女の夫、忠興および細川家は禅宗であり、改宗は彼女だけというのだから、理由は分からずとも、そこには父親譲りの強い意志や覚悟が感じられる。実際、バテレン追放令発布の折、夫、忠興が棄教を迫るも、頑なに言う事を聞かず、ついに忠興が折れたと言われている。

細川ガラシャの数奇な運命

 そんな彼女の逸話は数々伝えられているが、特に有名なのは、その悲劇的な最期だろう。細川家に敵対する石田三成(以下、三成)により、関ヶ原の合戦を前に捉えられたものの、夫の命に従って人質となることを拒絶し敵兵に囲まれる中、屋敷とともに爆死をするのである。この時代、敵方の大名家族を人質にとる策はしばしば行われていたが、その壮絶な死を目の当たりにし、以降、三成がこうした作戦を実行することは無くなったと言われる。一方、彼女の非業の死は、その数奇な運命とともに宣教師達によって海を渡って伝えられ、書物や説教などによって語り継がれることになる。特に、彼女をモデルにした戯曲は大きな反響を呼び、かの有名なハプスブルク帝やマリー・アントワネットも観劇をしたことが伝えられており、「細川ガラシャ」はキリスト教圏の国々において、誰もが知る有名人となるのである。

2021年NHK大河ドラマ「青天を衝け」も乞うご期待!

 新しくはじまった大河ドラマ「青天を衝け」は、日本における資本主義社会の父とも言われる渋沢栄一を主人公とする物語だが、渋沢栄一もまた、キリスト教会への支援や、新渡戸稲造や新島襄などとの交流など、キリスト教とは深い縁のある人物だ。ドラマ内でそれがどのように描かれるのか、2021年の大河ドラマも宗教目線で楽しんでみたいと思う。

(text しづかまさのり)

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