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【能力】「ちがう」WrongとDifferent

今日は能力の中の、対人関係の構築・発展させる力について書きます。

日本人が使う「ちがう」は主に2つの意味がある

みなさんは人と話していて「ちがう」と言われたときにどのように感じますか?
これは話している場面によって受け取り方が変わってきます。

■シーン1

Aさん「いまの円安って、日本にとってはいいことなのかな?」
Bさん「いいことと悪いことがあるね」
Aさん「持っていた外貨があって、高く両替できるのはいいことだね」
Bさん「そうだね。持っていたのはアメリカドル?」
Aさん「ちがうよ。ユーロだよ」
Bさん「あぁそうなんだ。ユーロもすごい円安になってるから得だね」

これはどうでしょうか。普通の会話ですね。
ではこれはどうでしょうか。

■シーン2

Aさん「いまの円安って、日本にとってはいいことなのかな?」
Bさん「いいことと悪いことがあるね」
Aさん「持ってる外貨や資産が円建てで増えるからラッキーだね」
Bさん「ちがうよ。輸入品の価格が上がるから、そんなことも言っていられないよ」

「ちがう」はWrongとDifferent

辞書を引いてみましょう。


比べてみて同じでない状態を呈する。相違する。異なる。「見方が―・う」「習慣が―・う」「―・った角度から見る」
㋑両者の間に隔たりがある。差がある。また、他と異なってまさっている。「親子ほども年が―・う」「格が―・う」「おつむの出来が―・う」
2 前に考えていたことや取り決めたことが現実のそれと同じでない。「話が―・う」「約束と―・う」
基準となるもの、正しいものと一致しない状態である。まちがっている。「計算が―・う」「答えが―・っている」「『もしもし市役所ですか』『いいえ、―・います』」

デジタル大辞泉(小学館)

シーン1は、辞書の引用の「3」の意味で使っています。英語で言うWrongの意味です。正しいもの(Aさんが持っているのはユーロ)に対して、まちがっている(アメリカドル)から、「ちがう」です。

シーン2は、辞書の引用の「1」の意味で使っています。英語で言うDifferentの意味です。
”円安はラッキーだ”というAさんの意見に対して、”そうは言っていられない”というBさんの意見が異なるので「ちがう」です。

DifferentをWrongで受け取ると、ギクシャクする

同じ「ちがう」という言葉を使うこと、そして日本の教育のせいなのか、人は「ちがう」と言われると Wrong に受け取ってしまうことが多いような気がします。

ちがう(Wrong)= 間違っている という構図になると、言われた方は自分が間違っているのだと思います。さらには、否定されたように感じてしまいます。

実際に、Aさんが言っている「持ってる外貨や資産が円建てで増える」のは事実ですし正しいです。ここには、Wrongを言う余地はありません。
ただ、「ラッキー」というAさんの意見に対しては、Bさんの「そうは言っていられない」という意見も、真っ当な反論です。

このように「事実+意見」に対して「ちがう」と返してしまうことは、事実に対してもWrongを伝えることになり、Aさんは「いやいや、500ユーロ持ってるから、実際に1万円ぐらい得するよ。おまえに何がわかるんだよ」となってしまう可能性もあります。

「そんなつもりで言ったんじゃない」 というのは後の祭りです。

「私とはちがう」で、問題は解決

議論は本来は生産的な行為です。(それそのものが目的でなければ)
この生産的な行為の品質を落とさずに行うには、WrongとDifferentを使い分けた「ちがう」を伝える必要があります。

そのためには、「私とはちがう」という言い方でDifferentを伝えるといいです。意見が違うことは悪いことではありません。
「私とはちがう」は、意見が違うことをニュートラルに表明する言葉です。

Aさん「いまの円安って、日本にとってはいいことなのかな?」
Bさん「いいことと悪いことがあるね」
Aさん「持ってる外貨や資産が円建てで増えるからラッキーだね」
Bさん「私とはちがうね。買おうと思っていた輸入時計の価格が上がるから、ラッキーとは言ってられないよ」
Aさん「そう言われてみればそうだね。うちに、好きでよく使う外国産の調味料があるなぁ、あれも高くなるのかな。今のうちに買っておこうかな。」

相手が素直に受け止められるようになる、ちょっとした心遣い・言葉遣いでコミュニケーションの質は全然変わり、人との関係構築にプラスに効きます。


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