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終止符は、打たなかった。だから器を大きくしたい# WORKINGFOREVER19

「いっそのこと、すべてに終止符を打ちに行こうか。 2015年8月20日」

引っこしにあたり荷物を整理していると、メモがパラりとプリクラに紛れて落ちてきました。

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2015年というと、当時の私は中高一貫校に通う中学3年生、バレー部所属。同じ学年の部内メンバーと噛み合わずに孤立していました。そして、その状況が噂で広がりクラスでも肩身の狭い思いをしていました。家では母と対立していました。

授業にも集中できず、成績はいつも学年TOP15位くらいにはいたところを、200位前後をさまようようになっていました。

それでも私は部活をやめませんでした。
「ここで辞めたら私は自分に負けるんだ。やめるときは死ぬ時だ。」
絶望感と、負けず嫌いな気持ち、そして寂しさで、誰もいない部室で一人、よく泣きじゃくっていました。

中高一貫に通っていたので、中学生最後の大会を終えると、高校生のチームに所属して一緒に練習をするようになります。私たちの代は弱小だったので、関東大会出場レベルの強い先輩たちの足を引っ張らないよう、まずはボール拾いから。下積み時代再開です。練習試合の日なんかは最悪。同期と連携しながらうまく立ち回り、同期や先輩のみならず、試合相手の学校にも気を遣わなければなりません。

「今日も始まってしまった。。。」

私は絶望感に浸りながらある練習試合の日の朝、体育館でストレッチをしていました。
すると顧問が入り口から大声で指示を出してきました。

「Yumiが今日から主審とお茶出し、他校の顧問の先生方とのやり取り担当だ。ほかの仕事は残りのやつらで話し合って決めること。」

主審もお茶出しも、大変だけど私個人としては好きな立ち回りだったので、急に指名されて戸惑うと同時に同期と話し合うことなく仕事を与えてもらえたことに対するありがたみを感じました。

顧問による命名のおかげで私はみるみる元気になっていきました。先輩の練習試合を主審の立ち位置から見ることができる。そしてそれは、私だけの仕事。嬉しくて私は改めて「バレーボールのルール本」を買い、「いい主審」になるべく学びを深めて経験を積んでいきました。

今まで部活の時間は人間関係や人の顔色をうかがうためだけの時間だったのが、主審やお茶出しをきっかけに、バレーボールと自分の仕事に集中するようになりました。

「あいつの対応はまともだ。」

しばらくして、先輩や顧問、他校の先生からお褒めの言葉をいただけるようになり、自分に自信を取り戻し始めたころ、部活やクラスから孤立することもなくなっていきました。

――
高校3年生の先輩の最後の大会を目前に控えた練習試合を終え、私は来校された先生方のコップを洗っていました。今度の大会が終われば、一つ下の代の子たちが入ってきます。もしかしたら主審もお茶出しも、引き継がなければならないかもしれない。

ちょっとした悲しさと不安を感じました。

ちょうど、通りすがりの顧問を見つけると、私はとっさに話しかけていました。

「先生、あの。。」

「どうした?」

「・・・私に主審とお茶出しっていう仕事を有難うございました。」

「おう」

強面の顧問の口が少し緩み目が優しくなったのを見て、すべて見通されていたんだな、と感じました。

「今度入ってくる後輩に、必要そうなときはお前がちゃんと教えてやれ。」

「ハイ!!」

腐らずに愚直に生きていたら、きっと見てくれている人はいる。
学生時代に得られた大きな気づきでした。

――

「目的」、そして「居場所」
これらの要素は社会人になった今でも大切だなってつくづく実感しています。この基盤がガタつくと心もガタつきます。

当時の私はありがたいことに人からのサポートをえられて、どうにか生き延びることができました。

まずは自分自身をしっかり満たせるように。
そして誰か迷っている人に対し、見守り、必要に応じて手を差し伸べられるような大きな器の人間になりたいと思いました。

引っ越しで偶然見つけたメモを通し、一人静かに物思いにふけた夜でした。

―――

執筆担当、Yumi*です。WORKING FOREVERコラムでは#生涯現役、#自分らしく、イキイキと『#しごと』をしている方のエピソードや考え方、その他諸々の出来事や感じたことを徒然なるままに更新しています。新型コロナウイルス感染症に罹患された皆さま、関係者の皆さま、台風などの天災の被害にあわれた皆様に、謹んでお見舞い申し上げます。もしよろしければ「スキ」、「フォロー」をお待ちしております♡

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