#6 ひつじとチル・ジャズ
ひつじはハーモニカを吹く。へたくそな演奏であるかどうかというよりも、穴を抑えることができないところでつまづいていた。ひとつの音ばかりが妙に技巧的なリズムをとろうとするも、うまくいくはずもなく響き渡っていた。
「やあ、もじゃ公。今日の仕事はお休みかい?」
「ええ。わたしもたまにはお休みでもしようかと思いまして」
「つって、ものがたりなんざどこにだってあるだろうが」
「ええ。わたしにはお仕事もお休みもあまり違いがありませんから」
「何言ってるか自覚ないだろ。休みじゃねえじゃねえ