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「いいよ」 そんなゆるしてくれる声をまた聞きたかった。気の弱い彼女がすっかりわたしに言い…
「さて、積もる話もあるでしょうけど、救わなければいけない子たちがいるみたい」 「わたしは…
「それにしてもお久しぶりね。あの頃と全く変わってないじゃない。少し変化をもとめたりしない…
「あなたがいたら、あの方の悲しみをわかってあげられたのでしょうか」 ひつじはそうつぶやき…
「ラクダのこぶを持っていたなら、あるいは頭上の雲は、わたしに同情するように日陰を作らなか…
「ねえ、たおしい?」 「ええ、楽しいですよ」 指先は砂で汚れ、羊毛はすでに黒ずんでいた。…
空の魚は落ちていく。 薄れゆく意識の中、光が現れ自分を呼んだ気がした。 雨上がりの昼下がり、ひつじは木の枝で作られたバリケードを見つけた。 食後の運動にと散歩をしていた時のことだった。厳重なバリケードはまるで要塞でも築かんとする勢いで、中を覗き込んでみると水たまりがあった。そこには何かが隠されているかもしれないという自らの嗅覚を頼りに、ひつじはしげしげと観察をする。 「ああ、完結するまでにそこまで動き回ってはいけません」 ふと、水たまりから弱々しく光るものがたりが姿を現
ひつじはハーモニカを吹く。へたくそな演奏であるかどうかというよりも、穴を抑えることができ…
原風景のなかにひとつの自販機。 青い空にさらされて、汗ひとつかかない自販機をひつじは探す…
ひつじは写真を撮りながら、あたりを歩き回っていた。 家を出てしばらく、腹が減れば草をたべ…
気付けば、男は自分が原風景にいた。 どこまでも続いていると思える原っぱ。 巨大な影をうみだ…
「早く済ませてくれませんか。こっちは羽を休めているわけじゃなくて、待たされているんだから…
ひつじはつたない手で影遊びをしていた。 「あんまり明るい夜だから、こういうあそびがしたく…