むかし書いた韓国コラム #932

 少し前まで日本で発行された韓国のガイドブックには、「困った時には筆談が可能」と書かれていた。同じ漢字文化圏に属することもあり、確かに以前は漢字での筆談は可能だったが、最近の韓国では読めても書けないという人が多く、漢字の筆談は成立しにくい。かろうじてこちらの書いた漢字を理解してくれても、返答が書けず一方通行になることもある。

 韓国語ができるようになるとあえて筆談をする必要もないのだが、時々韓国語での筆談に迫られることがある。こちらはまともに話しているつもりなのに、まるで相手に通じないときだ。発音が悪かったかと言い直しても通じず、メモとペンを取り出してハングルで書いて見せるとやっと相手は「あぁ、なんだ」と納得する。

 通じて良かった。ハングルが書けて良かったとホッとするが、よくよく考えると発音が全然通じていないというのは非常に傷つく現実でもある。

【解説】
 それでも筆談が通じるだけましだ。スペルを間違っているとそれすらも通じないことがあるからなぁ。

(初出:The Daily Korea News 2010年6月15日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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