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むかし書いた韓国コラム #50

 MBCのドラマ「チング 俺たちの伝説」は2001年公開の映画「友へ チング」をリメイクしたもの。映画は70年代後半から80年代後半の釜山を舞台としており、釜山なまりのせりふに加え、懐かしい風景への郷愁からか、当時の興行記録を塗り替えるほどの大ヒットとなった。

 その映画版「チング」のオープニングでは、消毒剤を噴霧して走る車を追いかける子どもたちの姿が印象的だ。韓国人に言わせると懐かしい風景であり、一気に映画に引き込まれる効果があったという。姿を消して久しい消毒車に幼いころを思い出したとか。

 ところが筆者の住む町内ではいまでも夏が来ると消毒車が現れる。路地に面した1階の部屋に住んでいるおかげで、窓を開けておくと消毒剤の煙とにおいの直撃を受ける。いまだに衛生状態が悪いのかはしらないが、正直なところありがた迷惑で、郷愁などまるで感じられないというのが現実だ。

【解説】
 車が通れる道路は消毒車が薬剤を噴霧していくのだが、当時の自宅は車の入れない路地。こんなところには噴霧器を背負ったおっさんが現れる。薬剤は窓の隙間から室内にも入り込み、正直なところ噴霧器を背負った作業員には殺意が芽生えた。その後オフィステルの8階に引っ越したおかげで視界に入ることはなくなった。

(初出:The Daily Korea News 2009年7月6日号 note掲載に当たり解説を加筆しました)

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