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むかし書いた韓国コラム #56

 最高気温が20度を上回るようになるとそろそろコングクスの出番だ。今年の初コングクスはどこで食べようか。訪れた地方都市でカルグクス店を見つけたので入ってみた。幸いコングクスも始まっているという。もちろんそれをオーダーする。

 待つことしばし。テーブルに運ばれてきたコングクスをひとくちすすったら頭の中に「?」の文字が浮かんだ。これはなんなのか。見た目は確かにコングクスなのだが、味付けが甘いのだ。聞けば全羅道地方ではコングクスの味付けは塩ではなく砂糖でするのだそうだ。訪れていたのは群山。全羅北道なのでコングクスは甘いのだろう。

 予備知識もなく食べたので最初は面食らったが、決しておいしくないわけではなく、しっかりと完食した。同じ料理で見た目も同じなのに味だけが正反対というのはそうそうあるものではない。なかなか面白い経験だった。

【解説】
 所変われば品変わるというがコングクスの味が地方で違うとはそれまで知らなかった。決しておいしくないわけではないし、もともとコングクスは好きな料理なので、コングクスの季節に全羅道地方を訪れる機会があればぜひまた食べてみたいもの。そういえば北海道では赤飯に砂糖を入れるという。食べたことはないが、知らずに食べたら砂糖入りコングクスと同様の衝撃を感じられることだろう。

(初出:The Daily Korea News 2016年4月8日号 note掲載に当たり解説を加筆しました)

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