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むかし書いた韓国コラム #46

 ドジョウのスープのチュオタンを食べてびっくりした人もいるだろう。スープにドジョウが入っていないのだ。いや、入っているのだが、骨ごと細かくすりつぶされてしまっているのだ。この料理の亜流というのだろうか、同様の調理法の料理を慶尚南道で見つけた。「オタングクス」なる料理で、チュオタン同様にナマズやフナなどの川魚をすりつぶしたスープにめんが入っている。また、「チャンオグクス」という料理はドジョウではなくウナギをすりつぶしたスープにめんが入っている。いずれの料理も共通点は川魚をすりつぶしたスープであるということ。川魚特有の臭みを取るためなのか、あるいは魚を骨ごとすりつぶすことで無駄なく栄養を摂取するためなのか。

 魚のスープでありながら魚の実体がないので「魚を食べた」という満足感は得にくい。どうせすりつぶすならツミレにでもしてくれた方が食べた実感もわきそうなものだが。いずれにせよ、ソウルではあまりお目にかかれない料理のようなので機会があればお試しを。

【解説】
 チュオタンは専門店ならば丸のままのドジョウが入ったタイプもあるのだが、オタングクスにはそういうのはなさそうだ。オタングクスは好みで山椒をたっぷりと振りかけるほか、チャンオグクスは「パンア」という香りの強い葉っぱが最初から入っていた。これは川魚の生臭さを取るためなのだろうか。いずれも慶尚南道昌原で食べたが、どこにでもある料理ではなさそう。ちなみに「この地方に来たなら絶対に食べるべき!」というほどの料理ではない。

(初出:The Daily Korea News 2014年3月28日号 note掲載に当たり解説を加筆しました)

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