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旅の思い出

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旅の記録のつめあわせ
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#小説

The one where the Indians-ライ麦畑でつかまえて-

ニューヨークでは、「それ何日間で?」と訊かれるほど多くの予定をこなした。 これは私の旅のスタイルとはちょっと違うのだけれど、なにせ短い日程で、当初思っていたよりずっと多くのやりたいことが見つかったので、結果的に相当詰め込み型の強行スケジュールとなってしまったのだ。 世界最高峰のコレクションが収められた数々のMuseumはニューヨーク観光の目玉の一つだが、ただ、Museumめぐりには時間がかかることが難点だ。 広い館内を観てまわるだけで数時間必要だし、入館するまでの長い行列も

一つの部屋-神様のボート-

ふくらはぎが痛い。 普段ほとんど歩かない生活なので、ちょっと長い距離を歩くとすぐ筋肉痛。 日頃の運動不足を、激しく反省。 ヒールを脱いで、フラットなサンダルを履く休日。 繰り返し打ち寄せて引いていく、波の音。 果てしなくマイペースな父と母との旅は、こちらもマイペースを決め込むに限る。 下手に合わせようとせずに、一々干渉しない、好き勝手な旅の楽しみ方をする。 うちの親子は全員B型。 ちなみに、弟二人も。 子供の頃、私が一番好きだった時間は、土曜日の夜。 夕食の後、両親と

アグリジェントにつくまで-西の魔女が死んだ-

Hotel Baglio Conca D'oroを発ったのは、Natale(イタリア語でクリスマス)の朝だった。 朝食室でカプチーノを飲んでいると、ジョジョとルイージが現れて「Buon Natale」と声をかけてくれた。 「私は今日チェックアウトするんです」と言うと、「日本に帰るんですか?」と尋ねるので、「アグリジェントへ行くんです。それからカターニアに行って、ミラノに寄って、それから日本に帰ります」と今後の行程を説明する。 ああ、シチリアの見どころをまわるんだね、といった