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Life Cinematic 2004-2010

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2004年から2010年にかけて書いていた映画エッセイをnoteにお引越し。 不定期更新。時間があるときにまとめて載せていきます。
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#一人旅

惚れた腫れたの島暮らし-ナビィの恋-

島の気分をどんなものかと言い例えるならば、この映画を見てみるといい。 どこからともなく音…

田中優子
3年前
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ダーウィンへの質問-植物のひみつ-

どんな小学校の図書館にもあっただろう「学研まんが ひみつシリーズ」。 その中の「植物のひ…

田中優子
3年前
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狼が横切るとき-コラテラル-

雨そのものは音もなく降るが、ブルゾンのナイロンにぶつかればパラパラとやわらかく鳴る。 今…

田中優子
3年前
4

ちゅら海のそば-ボーリング・フォー・コロンバイン-

音がないのは宇宙のようで、ちゃんと空気があるかどうかを繰り返し確認してみたくなる。 プレ…

田中優子
3年前
2

タイムスリップギャップ-12モンキーズ-

薄曇り、北風の朝。 モーターの音、島の唄。 この島に来て4日目なのだが、もしかしたら随分長…

田中優子
3年前

証人-Shall we dance?-

リメイク映画というのは嫌いでない。 同じテーマも作り手が違えば、どんな作品に仕上がるのか…

田中優子
3年前
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旅先での相談事-最後の恋のはじめ方-

「一秒ごとに表情が変わるね」 まじまじと顔を覗き込みながら言う。 だったら、その一秒ごとの表情を見逃さないでね。 海の表情も、くるくると変わる。 昼過ぎまではあれほど穏やかだった水面が、今はざわめきたっている。 垂れ込める雨雲が何度となく断続的なスコールを呼んでいる。 移り変わる表情を見逃したくないから、飽くこともなくただ海を眺める。 変化することは楽しい。 変化するものを眺めるだけでも楽しい。 何もない島なので、何もせずに過ごしている。 むしろ、ちょっとした風や光

始まりと終わり-菊次郎の夏-

中国へ渡る船旅の終着は、天津港。 陸に着くと入境審査と税関があって、彼らが一言たりとも英…

田中優子
3年前
4

大陸が見えたとき-八十日間世界一周-

オフィスに立ち寄った際、少し前の記事にも書いた「以前に一度だけお会いしたことのあるうちの…

田中優子
3年前
6

心待ちにする未知のもの-ターミナル-

少しさかのぼるが、イタリアへ旅立つその日観た映画の話。 まだ冬休みには幾日かある。 成田…

田中優子
3年前

15番ゲートの待ち時間-グッドナイト・ムーン-

天気の良し悪しが、その街の印象に与える影響は大きい。 8年も前になるけれど、初めて訪れたロ…

田中優子
3年前
2

新婚旅行の鉄則-ジャスト・マリッジ-

その巨大な建築物はいかにも見晴らしの良い爽やかな場所に立っていて、ギリシア人たちがなぜこ…

田中優子
3年前
1

アグリジェントにつくまで-西の魔女が死んだ-

Hotel Baglio Conca D'oroを発ったのは、Natale(イタリア語でクリスマス)の朝だった。 朝食…

田中優子
3年前
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シチリアの結婚式-ゴッドファーザー-

モンレアーレは、盆地の肌にはりつくように築かれた、小ぢんまりとした田舎町である。 この町のハイライトは12世紀に建てられたというノルマン様式のドゥオーモ。 「回廊付き中庭」と訳されるキオストロは静まり返って柱の影を落とし、一組の熟年夫婦が寄り添って歩く姿が絵になっていた。 ガイドブックによれば、モンレアーレのもう一つの見どころはクローチフィッソという名の巨大なマヨルカ焼の壁画。 本には正式な名前さえも載らない、教会の外壁に描かれているらしい。 もてあますほど時間があったの