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Life Cinematic 2004-2010

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2004年から2010年にかけて書いていた映画エッセイをnoteにお引越し。 不定期更新。時間があるときにまとめて載せていきます。
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#小説

菊花抄-枯野抄-

わずかな刺激で崩れ落ちてしまいそうな白く細い花弁のかたまりを、両手のひらで注意深く包みな…

田中優子
1年前

男の幻想、女の幻想-サヨナライツカー

「僕、活字中毒なんですよ」 ぱっと見は、活動的で人懐っこく、いかにもやり手の営業マン。 け…

田中優子
1年前
6

The one where the Indians-ライ麦畑でつかまえて-

ニューヨークでは、「それ何日間で?」と訊かれるほど多くの予定をこなした。 これは私の旅の…

田中優子
3年前
3

耳の裏の世界-ホリー・ガーデン-

私は本を読むのが遅い。 今読んでいる文庫にしても、最初に手をつけたのは4月の終わりだから、…

田中優子
3年前
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嫌いな顔の気になる存在ー陰日向に咲くー

劇団ひとりに関して言うと、これは私が生理的に一番嫌いなタイプの顔をしている。 男のくせに…

田中優子
3年前
1

一つの部屋-神様のボート-

ふくらはぎが痛い。 普段ほとんど歩かない生活なので、ちょっと長い距離を歩くとすぐ筋肉痛。 …

田中優子
3年前
2

アグリジェントにつくまで-西の魔女が死んだ-

Hotel Baglio Conca D'oroを発ったのは、Natale(イタリア語でクリスマス)の朝だった。 朝食室でカプチーノを飲んでいると、ジョジョとルイージが現れて「Buon Natale」と声をかけてくれた。 「私は今日チェックアウトするんです」と言うと、「日本に帰るんですか?」と尋ねるので、「アグリジェントへ行くんです。それからカターニアに行って、ミラノに寄って、それから日本に帰ります」と今後の行程を説明する。 ああ、シチリアの見どころをまわるんだね、といった

誠は天の道なり-それから-

それから。 脈々と続くもの。それを区切る言葉。 連続性の中に、私たちは、あえて節目のよう…

田中優子
3年前
2

サザエさん症候群と表現のすすめ-小説家を見つけたら-

女友達から突然「今夜会えない?」とメールが来た。 今夜は仕事を抜けられないので「電話しよ…

田中優子
3年前
2

彼女がハタチだったときに-白仏-

恵比寿ガーデンプレイスにほど近いカフェでひとり、待ち合わせの時間まで本を読んでいた。 辻…

田中優子
3年前
9

本当の眠気をおぼえるとき-エズミに捧ぐ 愛と汚辱のうちに-

今日は映画の話ではなく、小説の話。 人間の回復力というのはすばらしい。 週末の落ち込み方…

田中優子
3年前
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