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この人が好き(生物学者)

コロナ前・2019年の記事より。
今回の「好き」は、
福岡さんとドリトル先生。

8月の最終日、
生物学者の福岡伸一
さんの知的学校、
『動的平衡ライブ』
へ足を運んできた。

 コンセプトはこんな感じ。

福岡さんが、生命を
「科学」ではなく「物語」
として新たに解釈し、
科学の専門知識がなくとも
物語を読み進めるように
理解できるようになる講義。

 ただ本を読むだけでなく、
本が書かれた時代背景、
著者の意図、哲学、歴史
などもひっくるめて
より深く読み解いていく
ことで、「ただの本好き」
から「プロ読者」を目指す、
読書の復興イベントとのこと。

 今回の課題図書は、
「ドリトル先生の航海記」。
100年近くも前に書かれた
この物語を再読し、その
果てしない魅力に完全に
心を奪われた。

 ありとあらゆる生きもの、
年代、人種に対して公平に
向き合うドリトル先生は、
多様性を具現化する
ロールモデルだなと感じたし、
物事を注意深く観察する力
(集中力、持続力、
クリティカルシンキング)は、
知的にも精神的にも成熟する
うえで欠かせない要素だと
気づかされた。

 ドリトル先生も、
助手の少年トミーも、
Sense of Wonder
(自然の美しさや、
精妙さに対する純粋な
驚き)に充ちた人々。

 以下は、講義で
印象的だったこと。

 「生物学的に考えて、
10年前後の長い子供時代
(非生産的な時間が許されて
いる期間)をもつことが、
人を人たらしめており、
この時期に培われた
Sense of wonderこそが
人間を豊かにし、文明や
文化を作り、脳を鍛える。」

 英語教室の生徒には、
「昆虫博士」くんや、
「生物学者」さんや、
「植物図鑑」さんが
わりとたくさん
いて、大人の私の中に
眠るSense of wonder
をたびたび呼び覚ま
してくれている。

「『知る』ことは、『感じる』
ことの半分も重要ではない」
というレイチェル・カーソン
(Sense of Wonder の著者)
の言葉が、ふたたび心に
突き刺さる。

「ドリトル先生」のような
児童文学が、この先も
子どもと大人に永遠に読み
継がれていくことを心から願う。

また、福岡さんのおっしゃる
「人を人たらしめる期間」
についても、多方面から
深く考えていきたい。

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