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過疎ってる中山間地域を救う一手!|空き家と人口減少問題を食い止めるには

年間〇組の世帯が空き家に入れば、人口減少は食い止められる


笠置の名所。栃久保棚田


岐阜県恵那市笠置町というところで町の空き家対策・移住定住の委員会のメンバーとして活動しています。

私の住む笠置町(山間部)でも空き家はたくさんあり、例にもれず人口減少が進んでいます。

過疎地域は、人口減少による自治の難しさ・小学校中学校の閉校などが重なり、「数十年後、町をたたむか、たたまないか?いま決断を」と住民に選択が迫られる事態になっています。

町を存続させたい、という場合に鍵となってくるのが、Uターン含む移住定住対策です。

同時に空き家は昨今、防災の面でも問題になっていることは周知の事実。笠置町でも、活用されていない空き家がたくさんあり、みるみるうちにボロボロになっていくのが見えます。

そこで笠置町では有志メンバーで10年くらい前から移住定住委員会を立ち上げて、空き家対策・移住定住促進の活動をしています。

名古屋大学で中山間地域の研究をしていらっしゃる高野雅夫教授が、笠置町の移住定住委員会の顧問になってくださっていて、地元を愛する小池委員長はじめさまざまな方の努力のかいあって、笠置町では実際に、年間数組(特に子育て世代)が空き家に入り、定住してくれています!

わたしも長らく?子育てと仕事の合間を縫って移住定住対策に関わってきまして、その具体的なノウハウが溜まってきたので、そろそろnoteに書こうかな~などと考えていました。

と、時を同じくして(笑)
高野先生が移住定住対策・空き家活用の本を書かれました。

【中山間地域を存続させるための移住・定住・空き家活用取り組み実践ガイド】

↓kindleもあります~。リミテッドなら0円!

前半は人口グラフや空き家や移住定住の基礎知識が書かれています。高野先生が開発した人口予測ツールでは、その地域に何世帯が年間入れば、人口減少が食い止められるかを計算することができます。
人口減少のグラフの急降下がなだらかになって、やがてよこばいになる様子を住民皆で見ると、活動の見通しが立ち、空き家対策を進めるきっかけになり目標値も設定しやすいので、ぜひこの本のなかで紹介されているツール、使ってみてください。

後半は実践にのっとったノウハウが書かれています。実際に空き家を売買させようとか、地域のなかに入って取り組むと、いろいろな問題が起こります。それをどのように解決したらスムーズか、どんな考え方で取り組めばいいか、大学の研究と住民の努力の結晶がぎゅぎゅっと詰まっています。

これら情報は、空き家問題を食い止めたい地域のプレイヤーはもちろん、行政側の方にも役立ちますし、不動産関係の方にもかなり具体性があって良い情報だと思います。

移住定住対策プレイヤーとして追記したいこと

我が家の窓辺からの、昔と変わらない景色

本の中では高野先生が地域の人口減少はどのように食い止めるか、ということを社会科学的な側面から詳しく書いてくださっていますが、わたしはイチ委員会メンバーとして活動してきた視点から、空き家・移住定住対策について追記してみたいと思います。
被っている部分もあると思いますが、悪しからず。

|空き家・移住定住対策が成功する公式

いろいろな地域の事例やプレイヤーさんたちの話を聞く中で、空き家・移住定住対策がうまくいく地域と、すすまない地域にはやはり違いがあるなと思いはじめました。

移住定住する人の人数=
(①地域の物理的ポテンシャル×②社会関係資本×③プレイヤーの働き)×空き家の数

という式が思い浮かびました。

①地域の物理的ポテンシャルとは、インフラ(インターから近い/遠い、とか)・認知度(有名な地域であるかどうか)・行政の働き(空き家バンクの有無、住民から意見を吸い上げてくれる土壌があるかどうか) などがあげられます。そもそも秘めている力で、今後も大きくは変えられない点が特徴。

②社会関係資本とは、つながり資本ともいい、地域住民や市民団体、学校、行政などのつながりの濃さ・広さなどを表します。お祭り含む自治活動が生きているかどうか、住民同士がよく知っている同士か、など。つながりが濃すぎて排他的ですとまた話は違いますが、基本的には住民同士が「あそこの空き家は市川さんという人が持ってて、その人はいま岡崎に住んでて…」みたいな情報を交わし合っていると、空き家所有者とコンタクトが取りやすいです。測るのは難しいんですが、自治会が解体していたりする地域は基本的に社会関係資本は薄くなりがち。

③プレイヤーの働き…これも測りづらいところがありますが、実際に動いている日数だったり、発信しているSNSの情報量に表れます。移住定住対策専門の職員がいる地域は、担当者の熱量によるところが大きくなります。他の委員メンバーでカバーすることももちろんできます。

ちなみに社会関係資本が低い地域は空き家が増える傾向にあります。
また、取り組みによって空き家が無くなった!という地域では最後の空き家の数が0になるので、どれだけ頑張っても空き家に入るひとはいなくなる(新築は増えるかもしれない)。

①②③とカテゴリ分けしましたが、実際は互いに関係しあっている・補完できます。社会関係資本が低くても、プレイヤーの情熱でなんとかカバーすることもできると思います。同じくインターチェンジからかなり遠い地域だったとしても、なにか発信でずば抜けられれば起死回生もあり得るのです。

①②③をポイント化して目標値を設定すると、ある程度活動すべきことの計画は立てやすいかなと思います。それぞれポイントが低いところは長期的な目線で働きかけをしつつ、ポイントが高いところをまずは伸ばす戦略…などが考えられます。

|移住定住する人の属性について|発信する人、地域で活躍している人に寄ってくる

これは当たり前といえば当たり前なんですが、発信する人次第で移住する人の属性が決まるというセオリーがあります。
30代が発信すれば30代が増える。60代が発信すれば60代が増える。
また、わたしは移住者にはいくつかライフスタイル属性があると思っていて

・オーガニック系
・アウトドア系
・TEC系(リモートワーカーとか ノマド)
・アーティスト/作家系

こんな感じ。もちろんすべての方が分けられるわけではありません。
笠置は庭文庫さんという人文系の本屋さんがあるので、そこからの流入が一定数あり本が好きなアーティスト/作家系のかたが多く、お隣の中野方町は自然農法の農家さん(おかさげ農園さんなど)がいらっしゃるため、オーガニック系のかたが多いようです。

「どんな人に来て欲しいか」を移住定住対策チームで想定する必要もありそうです。

発信方法でも、属性が変わってくるので注意が必要です。Facebookなのか、youtubeなのか、など。
テクニカルな話になりますが、視聴/購読するのに時間がかかればかかるほど、受け手はメディア元を信頼しますので、余力があればyoutubeやブログなど、濃い~目のコンテンツがおすすめです。大変ですけどね。

|マーケティングファネルからみる、空き家所有者、移住希望者それぞれの動きとコツ

私はECサイト運営を本業としているのですが、そのかたわら移住定住委員会のボランティアをしています。
移住して来る人や空き家の所有者さんの、移住/空き家の売買に至るまでのプロセスをカスタマージャーニーとして捉えた時に、こんな共通点があるのでは、と思いました。

空き家所有者のマーケティングファネル
移住希望者のマーケティングファネル

実際はもっと細かいと思いますが、心の動きとしておおまかにはこんな感じ。

|大事な大事なSEO

前提として、SEO対策はかなり重要です。
これだけで1万字書けちゃいそうなので、詳しくは割愛しますが、いま移住で人気の地域と言うのは、検索でも上位にランキングするところがほとんどです。信州とか、いすみ市とか、徳島の神山町とか。

もしこの記事を読んでくださっているかたが移住定住対策のホームページ担当者さんであれば、SEO対策はしすぎることはありません、と言いたい。
ぜひSEO対策をして、「〇〇(地域名) 空き家」「〇〇(地域名) 移住」などで検索一位を目指してください!
ブログやyoutube、SNSをやるとき必ず地域名で検索がかけられるようにしておいてください。

|タッチポイントを増やす

空き家所有者さんは、お問い合わせをしてもらうところがかなりハードルが高いので、とにかくなんとかしてタッチポイントを増やすというところが重要。間口は広く。チラシをポストに投函しただけではお問い合わせは来ませんので、いかに所有者さん目線で問い合わせのハードルを下げられるか、が争点になると思います。

移住希望者も空き家所有者も、比較検討する際に「その後どうなる??」というところがかなり重要です。移住希望者からすると「移住した後、住民と仲良くなれるかな」とか。空き家所有者からすると「移住した人は家を大事に使ってくれるかな」などそれぞれに心配事が盛りだくさんあるので、そのあたりはアフターフォローをPRするのがポイントになってくるかと思います。
アフターフォローとしては、笠置町では最近、移住者さんと住民をつなげるバーベキューなんかもやったりしました。お困りごとを聞いて、適切に他の住民につないであげるのも委員の仕事です。

|儀式が大切、な空き家所有者さんに寄り添って


正月明けにしめ縄などを燃す、どんど焼き

空き家所有者さんのアフターフォローってなんぞや、という話。
空き家所有者さんの一番のハードルは、「実家じまいをしていいのか、どうか?」という感情の面。いくら仏壇は処分できたとて、先祖代々続いている家を自分の代で絶やしていいのか、という葛藤をみなさんお持ちです。自分の代で意思決定をするのは、リスクが伴いますので、意思決定は遅らせたほうが得策という心理かと思われますが、地域にとっては、なるべく早く賃貸や売買に移行するのに越したことはありません。

そこで。アイデアでしかないですが、実家じまいをする所有者さん向けに、親戚一同集まってもらい、実家の思い出を語ってもらうビデオをつくり、その思い出を新しい所有者さんにも大切にしてもらう、という流れをつくったらどうか?と思いました。(実家じまいの儀式)
いくら移住定住委員会が、お片付けを手伝ったって、思い出はなかなか合理性だけでは片づけられません。結婚式やお葬式みたいに、ホモサピエンスには変更の際に儀式が必要なのではないか、だったら実家を仕舞うのもきちんとみんな集まって、儀式をして、感謝と祈り、そして次の家族にバトンタッチする、というのはどうだろうか。

機会があれば、空き家所有者さんに「儀式&動画撮影&移住者さんへ引継ぎ」提案してみようと思います。


そんなわけで、わたしのいつもやっている移住定住委員会の活動の紹介をしがてら、本の紹介と、中山間地域を救う一手をシェアしました。

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笠置町の移住定住委員会のホームページ

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