「薬剤師が不妊治療専門クリニックの漢方外来を担当するって、、何するの?」

ウィメンズ漢方代表の住吉です。現在ウィメンズ漢方では、都内4件、神奈川1件の不妊治療専門クリニックでの外来を担当させて頂いています。

私が、初めて不妊治療専門のクリニックで、外来を担当させて頂いたのは、3年前。神奈川県鎌倉市にあります「矢内原ウィメンズクリニック」です。その後、ご縁があり、都内4つの不妊治療専門クリニックを、担当させていただくようになりました。

また、3年の間に、同じ志を持って、この活動に取り組んでくれる薬剤師の仲間も増え、現在は法人化し、この活動を行っています。

そんな中で、薬剤師の方から
「不妊治療専門のクリニックで、漢方薬剤師が外来を担当するって、どんなことをするんですか?」
というご質問をいただくことが増えましたので、ご紹介したいと思います。

「薬剤師外来」はいくつかの病院で取り入れられており、

(1) 外来患者に対する最適な薬物療法の実施による有効性・安全性の向上
(2) 疾病の治療・改善、精神的安定を含めた患者のQOLの向上
(3) 医薬品の適正使用推進による治療効果の向上と副作用の防止による患者利益への貢献
(4) 生活習慣等を考慮した服薬アドヒアランス維持への貢献
(5) 他の保険医療機関や保険薬局等との連携を通し、地域社会や医療環境の特性に応じた地域医療への貢献

このような役割を担っています。少し、ややこしいですよね。

ウィメンズ漢方が行う不妊治療専門クリニックでの漢方相談は、簡潔に書くと、妊娠に向けて治療に取り組む方の体調を、治療の効果が出やすいよう(つまり妊娠に繋がるよう)漢方を用いてサポートしています。
もちろん、治療に合わせて使用されるお薬もありますので、そのお薬の効果の説明や、飲み合わせのチェック、サプリメントや食事の指導も行っています。

なぜ、私たちが専門家として、不妊治療専門クリニックでお仕事をさせて頂いているかというと、実は「医師」「薬剤師」には、国家資格が必要ですが、漢方にはそれがありません。
漢方を処方するには、漢方を専門に学ぶ必要があり、また不妊治療に向けての処方を提案するには、先端の西洋医学の不妊治療、東洋医学の不妊治療の両方を学ぶ必要があります。
私たちはどちらかの医療に優劣をつけるのではなく、それぞれの良いところを融合させることで、患者様により良い医療を提供できると感じ、勉強を重ね、実践してきました。

・不妊治療と言う赤ちゃんを授かるための大切な期間に、「漢方を取り入れて自身の体調を整えたい。」と仰る患者様の声
・「西洋の医療だけではなかなか効果が出ない方に、提案できる一つの手段として、漢方を提案したい」というドクターからの声

そのような声に応え、クリニックの先生方の治療方針を理解し、チームとなって、患者様の心身をサポートし、妊娠に向けての体作りを伴走しています。

また、「漢方」は、「漢方薬を飲むだけ」と考えていらっしゃる患者様も多いのですが、効果を高めるためには、患者様に合った「養生」を実践していただくことが大切です。「養生」は、患者様の体の気血水(漢方医学では、体内にある気・血・水という3つの要素により、臓器や各組織が働き、これらが整うことで、心身の活動が正常に営まれると考えています。)を整える生活習慣です。

漢方薬は、人の弱いところを補い、その方がもっている本来の力を引き出します。でも、患者様の生活習慣が、「体を弱らせる生活習慣」になっていたら、それを見直さないと、漢方薬も効果を発揮しづらいです。
そして、養生も「添加物はいっさいダメです!」など、あまりに生活からかけ離れたアドバイスの場合、続きません。私たちはご相談の中で、その方が継続できる体作りの提案を行います。

そして、不妊治療は、体だけではなく、心にも負担のかかる治療となります。漢方相談では、お体の状態とともに、「気(エネルギー)」の状態も参考にするので、ストレスの状況についても伺っていきますが、多くの方が「先の見えない不安」「本当に赤ちゃんを授かることができるのか、という不安」を抱えて過ごしていらっしゃいます。

漢方には、「心身一如」という考えがあります。これは「心と体は、繋がっている」という考えです。いくら「体にいい事」をしても、頑張り過ぎて、ストレスになったら、「体に良くない事」になります。

そして、強い不安を抱えた心を置き去りに、体だけを良くしようとしても、どんどん心が苦しくなっていきます。

「自然に涙が湧いてくる」「未来が考えられない」そんな症状のご相談も多く伺いますが、そのままにしていると、妊活を継続することが難しくなることもあり、漢方薬でこれらの症状を緩和することも大切な取り組みだと考えています。

このように、妊娠に向けての体作りとして「体質」「生活」「治療状況」「不安な心」「継続しやすい内容」まで含めて、患者様のニーズに合わせた漢方相談を行っています。

そして、患者様ご自身の体に自信を持って治療に取り組んでいただき、その後に続く、出産、育児に対しても、不安に思わず、楽しみに変えて頂けるよう伴走していきたいと思っています。

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