見出し画像

現職地方女性議員の「選挙と妊娠」#6

こんにちは!
台東区議会議員の本目(ほんめ)さよです。「届きづらい女性の声を政治につなぎ、一つずつ実現していく」ことをミッションとした団体・WOMAN SHIFTの代表も務めております。

「選挙と妊娠」について、選挙3ヶ月前に第二子を出産した私と選挙2ヶ月前に双子を出産したうすいさんの経験をリアルタイムで記録に残している本企画。

今回は2023年2月、本目が産後1ヶ月、うすいさんが産後約2週間の頃の記録をお届けします。

産後の体調や自治体の妊娠中・産後の支援について、また今後の仕事の見通しについても話し合いました。


■2023年2月の記録(本目 産後1ヶ月、うすいさん 産後2週間)

―(インターン)今回もよろしくお願いいたします。まずはお二人とも無事ご出産されたということで、おめでとうございます!
お二人の出産前後の状況について、お話を伺えますでしょうか?

(本目)私は先月1月中旬に出産しました。今日でちょうど生後1ヶ月ですね。13日に陣痛が来たけど、丸二日と半日ぐらい5分間隔より進まず、子宮口も4.5㎝が最大で進まなくて、結局帝王切開になりました。まるまると大きく髪がふさふさとした息子が誕生しました。

(うすい)私の方は12月末ぐらいから体調が芳しくなくて、ずっとふうふう言ってたし、体重もどんどん増えていって苦しいなと思っていました。あとむくみもすごくて。
1月に入って最初の週はまだ大丈夫だったんですけど、その3日後くらいには尿蛋白がいきなりガンと上がっちゃって。

尿蛋白とむくみの他にも高血圧とかいろいろな症状が重なって、体重も元々より20キロも増えちゃったので、本当にもうつらくて。最初は37週目、つまり今日産む予定だったんですけど、一週間前倒しにしないと母体が持たなそうとお医者さんから言われて。

その話をしているうちに、やっぱり尿蛋白の値と血圧と本人の体調的に37週まで待つのは難しそうだという話になって、結局帝王切開が2月頭に決まりました。それでも母体がもつか先生方も心配していましたが、その日までは身体ももって帝王切開で無事双子が生まれました。

エコーの時点では2000gはありそうだったんですが、実際は二人とも2000g以下で。ただ産声は上げてくれたので、なんとかNICUの病院搬送はされず産院の保育器に入っています。

私自身は産後1週間くらいで退院しましたが、赤ちゃんたちはまだ保育器にいて往復2時間かけて毎日面会に行っています。

(本目)結局、何か月で生まれた?

(うすい)35週です。

(本目)だいぶ大きくはなっていたんですね。お疲れ様でした。
私も産後すごい浮腫んでました。足が象のようになってて「何、私の足!象!」みたいな。

(うすい)びっくりしますよね。私は産前が一番浮腫んじゃってて、息するのも苦しかったのもあのせいだったんだなというのはよく分かったんですけど。

体重も一週間で18キロくらい落ちたんですけど、看護師さんたちが「え、うすいさん?」と驚いてて。まだちょっと浮腫んでますけど、私自身も久々に自分の顔を見てるなっていう感じがします。

(本目)仕事はどうしてますか?休んでる?

(うすい)休んでます。ただ、本当に緊急で対応しなきゃいけないものは2、3件対応したんですけど、やっぱりまだ難しいなと思って。

今ちょうど議会としては全員協議会とかが始まっているので、資料見ようかなと思ってたんですけど、やはりまだきついですね...
体力的にもそうですし、やることが何時間おきと決まってるとこんなにバタバタなんだって痛感してます。

(本目)昼間は3時間ごとに搾乳しつつ、病院に行って届けつつ、赤ちゃんたちの顔見て、みたいな生活ですよね?

(うすい)そうです。1時間ぐらい面会時間があるので、1時間かけて行って1時間面会してミルクあげて、1時間かけて帰ってます。

―お二人ご自身の今の体調はいかがですか?本目さんはそろそろ一か月健診でしょうか?

(本目)おとといが一か月健診でした。無事順調に回復していて、一応産後6週で復帰してもいいよと言われてるけど、ただ自分の体感的に微妙なのでどうしようか今ちょっと悩み中です。産後6週で復帰するか、8週で復帰するか。

―うすいさんはいかがですか?

(うすい)私は血圧がまだ高いままで、耳鳴りもあって...でもまだ産後2週間しか経ってないので、もうしばらくは様子見かなという感じです。

―帝王切開の場合、産後どれくらい経つと痛み止めを飲まなくても普通に過ごせるようになるものですか?

(本目)私は一週間ちょっとですかね。入院中はカロナール朝毎回2錠ずつ飲み、それが過ぎたら1錠ずつになったのですが、まだ痛かったので追加で処方してもらって。でももう今は余っているけどほぼ飲んでないです。

たまにまだお腹の中の方が痛かったり、あと表面がピリピリするときや動いて痛みが出ることもあるので、そういうときには飲んでます。でも一か月健診のときに「傷じゃなくて、傷の上の方がピリピリするんです」って言ったら、「それは切れた神経が戻ってきた証拠なので、回復しているということだよ」と言われました。

―本目さんは第一子のときも帝王切開だったんですよね。

(本目)そうですね、でも今回の方が楽です。
前回は膿んじゃって傷の治りも遅かったので、回復が遅くて。上の子の時の新生児期って、本当に記憶がないんですよね...
全然覚えていなくて、たぶん夜中も夫がほぼほぼやってくれてたんじゃないかと。

お腹が痛くて抱っこもできないほどでしたが、今回全然抱っこはできてます。ただ、やっぱりちょっとでも動くとまだしんどいですね。
おととい朝10時に家を出て自分と赤ちゃんの健診で、家に帰ったのが3時半くらいだったのですが、もう夕方以降はダウンしてました。なので、体力は本当にないなっていう。

―一か月健診は病院でされたと思うんですけど、この後区からの働きかけってあります?

(本目)あります。来週「こんにちは赤ちゃん」訪問の予定です。保健師さんか助産師さんが自宅にくるものですね。

―うすいさんは今住民票がない所にいらっしゃると思うんですが、里帰り先でも「こんにちは赤ちゃん」のような保健師さんの訪問はあるんですか?

(うすい)もともと区の方に「里帰りをする」と話をしていて、あと里帰り先の病院も多胎なので心配してくれて、区に問い合わせも入れてくださってたので、そのおかげで東京に戻ったら訪問がある予定です。一ヶ月は過ぎてしまいますが。

―うすいさんは単身でまず東京に帰られて、ご両親が赤ちゃんを北海道で見られる見込みなんですよね。何か月くらいで赤ちゃんは東京に戻られる予定ですか?

(うすい)赤ちゃんを東京に戻すのは選挙終わってからと思っているので、早くて5月入ったあたりに迎えに行く予定です。

―ご両親も今病院で赤ちゃんと対面することはできているんですか?

(うすい)はい。両親がお世話をする期間があるからということで病院側が判断してくれて、本当は一人しか面会できないんですけど、別室で三人で世話をするのもやらせていただいてます。

―柔軟な病院なんですね。

(うすい)本当にそう思います。だから仕事のことも言ってよかったなってつくづく思っていて。さよさんたちにも感謝です。

(本目)結局言ったんだ。

(うすい)言いました。言ったら「なんだ。そういうことか」みたいになって、それで両親にもお世話できる時間を作ってくださって。
担当の看護師さんもすごく親身に相談に乗ってくれて、「こうしたらいいんじゃないか、ああしたらいいんじゃないか」といろいろ提案してくださって本当にありがたい限りです。

(本目)それは良かった。

―その病院はどうやって探されたんですか?

(うすい)もともと多胎を受け入れているところも少なかったので、その中から探す形で、あとは母の知り合いの口コミも参考にして決めました。

―特にうすいさんの場合、双子ちゃんなので妊娠中も大変だったと思うんですが、生まれてからお世話に苦労することもありますか?

(うすい)双子だと大変だなとも思うんですが、ただ私は妊娠中の自分の体調が一番しんどかったので...
今も「回復しきった!」とまではいきませんが、徐々に回復している実感はあります。一方で「赤ちゃんのお世話が2倍なんだな」と思うと、大変だなと感じるときもあります。授乳が何時間おきというのにもまだ慣れずで。

(本目)胸の痛さは大丈夫ですか?

(うすい)めちゃめちゃ張って石のように硬かったのは出始めの3日間くらいで、ありがたいことにその後はスムーズにいっています。

―うすいさんご自身の一か月健診も2週間後くらいにありますか?

(うすい)そうですね。赤ちゃんが病院にいるときの方が楽でいいよねということで、双子の退院時に一カ月健診も私の健診も行う予定です。

(本目)ちなみにそれって、お金かかりますかね?自費で?

(うすい)お金かかります。

(本目)そうですよね。実は一か月健診は自費なので、都議会の厚生労働委員会の委員長に「なんでチケットがないんですか?」って聞いてみたんですよ。
そしたら「妻や周りの人に聞いたけど、一か月健診でお金を払った記憶がない」みたいに言われちゃって。

もし愛ちゃんの方で、いくら払ったか分かったら後で教えてください。

(うすい)今回の妊娠〜出産で、お金がいくらぐらいかかったっていうのはこまめに記録しているので、ぜひ共有できたらと思います。

あと私は赤ちゃんが今ずっと入院している状態じゃないですか。そうした状況についての補助に関する問い合わせ等も今は病院がやってくれているので、本当に感謝してます。

(本目)「子ども医療費助成」とか乳児の保険証や医療証で、たぶん後で償還払いしてくれるのかな。
子どもの分はおそらく無料になりますよね?

(うすい)子どもの分は、2000g以下で生まれた子が対象となる「未熟児養育医療費助成」を使えそうです。

(本目)なるほど。

―税金は勝手に取られるけど、補助はこちらが知っていないと申請もできないので病院が教えてくれるのはありがたいですね。
ちなみに私は一か月健診で5000円くらい払った記憶があります。一か月健診って受けて当然な感じなのに、ここかかるんだってちょっとびっくりしましたね。お金払うのが嫌だとかではないですけど...

(本目)そうなんですよ。「切れ目のない支援」と言いつつ取るんだ、みたいな。
でも一応病気ではなく健診なので、というふうに都の担当の方は言っているらしくて。

―妊婦健診もチケットは「●回まで」と決まってますもんね。

(本目)14回までですね。ちなみに愛ちゃんは足りたの?健診のチケットは。

(うすい)それも病院側がやってくれていたので、もう一回確認しないとわからないんですが。「安くなるようにはするね」とは病院側に言われてて、確かに安かったんですよね。

―妊婦健診っていろんな理由で、1ヶ月や2週間に1回でいいところを毎週来てくださいとか、明日も来てくださいって言われる方も多いと思うんですけど、やっぱりそういうのもお医者さんの指示で行っているんだったら、本当はカバーできるといいですよね。
お金が出ないからって受診を控えちゃって、危険な状態になることもあるかもしれないので。

(本目)江戸川区はたしか多胎妊娠にプラスで補助出しているんですよね、チケット。プラス5回だったかな。
自分で払って後で請求してねっていう償還払いですが、もらえるだけ全然いい気がします。

やっぱりそれって区の独自の制度になるんですね。

(本目)そうですね。今は東京都内23区26市で統一で健診のチケットを出していて、そこで協議して共通でこうしましょうっていうのが14回と決まっているんですよ。

で、それにプラスで江戸川区だと償還払いしましょうねとか、あとはたしか新宿区でも超音波検査を3回分くらいプラスで出してくれるんだったかな。
※2023年7月追記:都内では2023年4月1日から、超音波検査について4回分助成が追加されることになりました。

そういう形で個別で区でやる、追加するっていうのもできなくはないという形です。

―さよさんも予定日超えてから毎日のように病院に行かれてたってお話でしたが、その足が出た分は自腹だったんですか?

(本目)自腹切りました。予定日を超えるとこういうことが起こるんだなと思いながら払いました。

―本当にギリギリのところで踏ん張っているご家庭は、例えば第一子がそういう状態になると、予定外のお金がかかるから第二子は諦める、ということになり得ますよね。
今それこそ「異次元の少子化対策」を掲げるのであれば、そこを埋めればもう一人産めるって人も増えるのではと思ったりするんですけど。

(本目)本当そうなんですよね。今ちょうどこの時点では、国の方で5万円ずつを2回もらえる対象に私も愛ちゃんのところも入ってると思うので、そこで多少はカバーできるけどって感じですかね。

―生まれてからの手続き関係は、さよさんの場合はご主人がやってくださった?

(本目)基本的に夫にお願いをしたかな。子どもの4月からの保育園に関してとかは。
あ、愛ちゃんは保育園は?4月から?

(うすい)6月からにしようかなと思ってます。

(本目)じゃあこれから入園申込をしないといけないんだ。
私は4月からだったので申込自体は出生前に私が済ませておいて、生まれてからは夫にお願いしました。

―それってやっぱり第一子を産んでいて、「こういう手続きがある」というシミュレーションがある程度できているから、準備もできるし配偶者の方も滞りなくできるところもあります?もしくは母子手帳を読めば全部網羅されていて、ある程度わかる?

(本目)母子手帳には載ってないですね。各自治体ごとに手順が違うはずなので、出生届を出しに行けば「あそこに行ってください」と説明されるんじゃないかと。

乳児医療証などについてもいろいろ説明は受けたと思うんですけど、やっぱり難易度高いですよね。しかも5年前とかなので忘れてることもあります。

―しかも、お母さん自身が行くんじゃなくて、基本的には配偶者やパートナーが行きますもんね。

(本目)そうなんですよね。

■次回予告

以上が2023年2月、本目が産後1ヶ月、うすいさんが産後2週間の頃の記録となります。

次回はついに最終回。選挙後の2023年5月に、生後まもない赤ちゃんの育児をしながら二人がどのように選挙戦を戦い抜いたのか、お話します。

聞き手:小林美保(本目さよ事務所インターン)
編集:平理沙子(WOMAN SHIFTプロボノメンバー)

▼本企画のバックナンバーはこちら


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?