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天才へ捧ぐアダージョ《Symphony No.98 2nd mov》

ヨーゼフ・ハイドン
ロンドン交響曲集より
交響曲 第98番 変ロ長調 第2楽章

これも名曲に埋もれている名曲だろう
98番?愛称はないよ
最後のチャーミングなチェンバロパートももちろん最高だけども今回は緩徐楽章に着目してみる
これを聴いてモーツァルトの交響曲 第41番 第2楽章と似ていると思ったあなた!勘が鋭い!
いくつかの史料から読み解いていくとハイドンが亡きモーツァルトを思ってこれを作曲したという解釈が出てくる

その解釈で今回は納得していいと思う

確かにこの歌うような透き通った神秘的なアダージョはモーツァルトのそれに似ている気がする
それは決して悲しみに満ちたものではなく
最高の笑みで友を送る
遠くに行ってしまう友への勇気づけ
友を思う次元を超えた友情
自分を納得させる意思の表れ
諦めではなく
次の地で必ず会おうとの決意

この頃このアダージョとジュピターシンフォニーのアンダンテを聴き比べることで心を洗われている気がする
嫌なことや不愉快なことがあっても歌うようなアダージョがすべて包み込んでくれる

両曲とも透き通った宝石の輝きが永遠に続いているように思える

音楽に空間の概念があったならこの98番のアダージョは夢と現実の境い目、うっすらと先の天才の記録が浮かぶ
それを巨匠ハイドンが目にして笑みを浮かべながら旧友を思いおこしを涙を流す
次元を超えた出会い
二人の再会

どうか天上の世界でハイドンとモーツァルトが再会を喜び
二人で最高の音楽を作り続けてくれることを願いたい
たとえそれが地上に届くことがなくても
一瞬でもいい、流れ星のように瞬間で感じ取ることが出来たなら
人生の美しい瞬間で出会えたなら…  
夢か、まことか、
聴けるか、掴めるか
創造は何世紀経とうとも
天上の世界で続けられるのだ



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