12月のシーズナリティ(節税売りとクリスマス・ラリー)

今年これまで良好に機能していたように見えたシーズナリティについて、12月についても実際のデータで確認してみたい。

まずはよく見る月別の平均リターン。過去95年間のデータを元に作成したものだが、よく言われるように12月のリターンは良好。そして下のチャートは、11月末を基準としてその20営業日先までの平均リターン。中旬頃に一度下げる形となっている。

この時期の下げは Tax Loss Selling(節税売り)が発生するためと言われている。そして個別銘柄レベルで見てもそうなのだが、S&P500等の指数が冴えなかった年は指数レベルでもこの時期に下げるような印象がある。ということで、本当にそうなのかを場合分けして調べてみたいと思う。

具体的に何を持って "冴えなかった" と判断するかだが、いくつかのパターンを試した限りではシンプルに "11月末までの年初来パフォーマンスがプラスだったか否か" で分けた場合が最も分かりやすい結果が出た。

青線が11月末時点での年初来パフォーマンスがプラスだった場合(95年のうち60回)の12月の平均パフォーマンスで、橙線がマイナスだった場合(35回)。

青線のケースは非常に良好に見える。中旬の下げは微風レベルでその後は年末にかけて順調に上昇。よく12月は中旬以降が良好(所謂クリスマスラリー)と言われるが、その通りの形となっている。逆に橙線のケースは中旬にかけて明確に下げていき、ラリーもなく冴えない状態で年末を迎えている。

実際に、昨年2022年は11月末時点での年初来パフォーマンスはマイナスであったため橙線のケースに当てはまるが、12月は下落基調が続く展開であった。

念のため12月の月間リターンを分布で見ると以下の通り。思っていたより中間値の差は小さいが、青線のケースは橙線のケースに対して上側に分布している事が分かる。

青線のケース単体で言うと、今年のように11月末時点での年初来パフォーマンスがプラスだった年は過去95年間で60回あったが、そのうち47回(78.3%)で12月の月間パフォーマンスはプラスだったということ。また、その60回全体の平均リターンは2.03%で、47回の平均は3.17%。

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