ぬくみ
スマートフォンの充電が二十パーセントを切り
そこからさらに加速度的に減っていくのを見ていると
思うのだ
自分の命も
このまま静かに終わっていってくれないだろうかと
手のひらのなかで熱を帯びてくると
まるでこの科学の結晶のなかにも
血が流れているみたいにあたたかい
今日も誰かが不倫をしていることだろう
それは大層いけないことだろう
だが
ぼくのこの血がどこにも行けず
体の中に留まっていることのほうが
よほどいけないことのように思える
爆発しよう
飛び散ろう
血の雨のぬくみ
空の青さが
どこまでも薄情で仕方がないから
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