話す時

自分が発した言葉聴けてますか?

私達がコミュニケーションを取るときの、言葉や会話を大切に研究してくれた、ノルウェーの精神科医トム・アンデルセン。「会話を通した平和活動」とも言われる「リフレクティング」の中で以下のように述べています。

僕らが話すとき、まずは自分自身に話すよね。僕が君に話すとき、まずは自分に話すわけだが、そのとき、これまで聞いたことのないことを突然耳にしているんだ。 おそらく君はその様子を見て、僕が自分が言ったことについて考える間を与えてくれる。 これが僕らの仕事のやり方の一部だと思うね。 僕らは相手に、当人が自分自身に言ったことについて考える機会を提供する。(トム・アンデルセン2007)

先日実際に体験しました

先日名古屋で小学生達に「みんなでおこなう会話を通した平和な活動」の体験プログラムを受けて貰ったときにこんな出来事がありました。

その日のカリキュラムの最後にワークがあって、子ども達がチームになってその日一日学んだことから制作物を創っていました。

すると男の子が一人やってきました。

彼:「ソッカのマークってありますか?」
私:「マーク!?...は、一寸ないなあ....」

ソッカというのは私の会社の名前です。見ると手には今作っている物があり、表紙に私の会社のマークを入れようとしてくれている様子でした。

彼:「じゃ、ソッカのスペルを教えて下さい。」
私:「S・O・C・C・A、です。」
彼:「ソッカってどういう意味ですか?」
私:「ん〜、例えば私があなたに、”これはこうでしょ” って答えを教えるのではなく、話している間にあなたの中で、 "なるほど〜"  なんて思って貰う事です。」

彼は、話を聞いて「ぽか〜ん」って感じでした。

彼の質問に答えを言ってしまっている私自身も不安でしたが、それに加えて、彼の理解できない様子を観て、更に不安になりました。

不確実性に耐える

慌てて、補足説明したり、問答をせず、様子を見てぐっと待ちました。すると彼はまだ理解が出来ていない表情と、弱い声で、

彼:「ふ〜ん.....そうか。。。」←自分で言っている

次の瞬間です

刹那。火が付いたように!!!

彼:「ソッカ!!!!」 ←内発的気付き

彼の表情も目つきもすっかり「人が変わった」様子でした。

人は話すとき、まず自分自身が自分の声を聞くんですね。その自分の声「ふ〜ん.....そうか。。。」で、Soccaの意味に「自分自身で気付く」

私:「そうか !(内発的気付き)が社名の由来なんです。」

彼は「ソッカソッカ!」といってグループに戻っていきました。近くで様子を見ていた大人の方に「なるほど〜いい社名ですね」と仰って頂きました。

まとめ

トム・アンデルセンは、私達が人の話を聴くとき、まだ話している途中や、話し終わった直後、間をあけずに自分の意見や思いを喋り出してしまっていることに気付かせてくれています。

話している相手が、「自分自身の言葉が何を意味しているか」「本当にその言葉が自分の思いを伝えるのに適切であったか」などを確かめる時間、「ま」をお互いに差し上げる事で、コミュニケーションは深まり、人と人とのつながりが、修復、回復され、接続されて、命が輝くのだと思います。つながった瞬間、彼の命は輝いていましたから。

相手が言ったことについて、一寸耐えて、相手に考える間を少し与えてあげて、聞こえてきた言葉を二人でしばらく眺めることができれば、平和な空気が漂い始めると思います。

#命とはつながりである
#みんなでおこなう会話を通した平和な活動


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