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385km

君が会おう、といった季節がまた巡ってきた。 弱い君は、縋るところがなかったのかな、私のところにふらっときた。 何も、思わないようなふりをしていたけれど、舞い上がるように嬉しかったの。 バレちゃったら恥ずかしいし、まだずっと忘れられないのを勘づかれたくない私の愚かなる最後のプライド。 画面越しでよかったな。 ふわふわ、どきどき、そわそわ、385km。こんなにも愛おしい385kmが。 早く早く、浮かれた速度で私は走った。 爽やかで平坦な今日みたいな日は、水の中でふわりと手を開い

    • 憧憬の君

      朝が来た。 私は清らかにさよならした。君を残して、さらりと私は去るつもりでいたから この時にはもう思い出になるはずだった。 でもずっと頭から消えなくて、私は巻き戻すかのように彼の元に戻った。 きっともうこの時から特別だったのだ。 同時に、私は、君の特別になった。 少しづつ、私の薄っぺらさが露見して、私は彼の特別ではなくなったけれど。 自分自身の痛いところをつかれて辛かったけど、私は彼のことがもっともっと忘れられなくなった。 限りなく憧れと、嫉妬に近い好意だったと思う。その想い

      • 真っ赤なはじまり

        20XX年、人生で初めての感覚に出会った。 ガンガン音が耳と頭を独占して、真っ赤な色が視界を支配している中、電気が走ったようだったの。心臓の動きがやけに生々しく感じるくらい大きくて、少し気持ち悪かった。お酒に酔っていたからかもしれない。 いつもは言葉なんて出ない私が 「今を逃したら未来の自分に怒られちゃうかも!」と少しの焦燥感と圧力を感じながら、その前にもう言葉が出てた。言葉が頭を経由しなかった。 人生で初めての出会が始まった。 小さくて控えめで、よく見ると綺麗な生き物だった

        • 4649

          私はきっと頭が良くなくて、だんだんと、すぐに忘れちゃう感覚がふと怖くなったから、こうして残しておくことにしようと思った。 おまけに言葉を口に出すことが、誰かに伝えることがとてつもなく苦手で、 「貴方は少し、言葉が足りないわね」と、2023年に耳にタコができるほど何度も聞かされたので、「ふむ、」と思い、練習をしようと思った。 新しいことを始めるのはとっても好き。真っ白から何かを作るのはもっと好き。 続けることと大きくすることは苦手だけど。 なんて、自分の弱さや見たくなくて目を瞑