385km


君が会おう、といった季節がまた巡ってきた。
弱い君は、縋るところがなかったのかな、私のところにふらっときた。
何も、思わないようなふりをしていたけれど、舞い上がるように嬉しかったの。
バレちゃったら恥ずかしいし、まだずっと忘れられないのを勘づかれたくない私の愚かなる最後のプライド。
画面越しでよかったな。
ふわふわ、どきどき、そわそわ、385km。こんなにも愛おしい385kmが。
早く早く、浮かれた速度で私は走った。

爽やかで平坦な今日みたいな日は、水の中でふわりと手を開いて魚を逃がすように、緩やかな解放をしてあげたい日だ。

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