「じょっぴんかけたか?」
山の苗木畑で働いている。
この時期、畑はにぎやかだ。
ヒバリがあちこちで、ホバリングしながらずっと「チュピチュピ」鳴き続けている。「ピーピー」騒がしいのはヒヨドリ。「ビービー」はヤマガラ。ほかには「ツツピーツツピー」のシジュウカラ。ツツドリは「ポポポポポ」。キジバトには「デデーッポッポー」と「デーデッポポー」の2タイプがいる。
まだまだいるけど、以下略。
…
↑近くの森から声が聞こえる。
仕事仲間のおじさんが「ウグイスだよね?」と言いだした。「いやいやいやいや、あれはホトトギス。おじさん、去年も同じこと言ってたよ」
みんなが大笑いしたので、ちょっと申し訳なく思ったとき、ベテランのおばちゃんが、こんなことを言ったのだ。
「○○さん。今朝うち出るとき、カギかけて来たかい?ホトトギス『じょっぴんかけたか?』って聞いてるよ」
「じょっぴん」……北海道弁で「錠前」のことだ。最近はあまり聞かないが、昔、年配の人がよく言っていた。ドアじゃなく、引き戸に南京錠だったからね。
「そうか。『じょっぴんかけたか?』って言ってるのはホトトギスね。わかったわかった」
よかった。救われた。
なのに「わかったけど、またきっと忘れるから、もし来年同じこと言ったら、また教えてちょうだいね」だって。
…
遠くからカッコウの声が聞こえてくる。
カッコウはわかりやすい。自分で「カッコウ」と名乗っている。
北海道の青空、爽やかな風、カッコウの鳴き声。
こんなことを書くとまた「カッコウは托卵するよ」とか「無責任な鳥だよ」とか言うんでしょ?
カッコウにだって都合があるんです。
プライベートは、そっとしといてあげてくださいな。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?