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「じょっぴんかけたか?」

山の苗木畑で働いている。


この時期、畑はにぎやかだ。

ヒバリがあちこちで、ホバリングしながらずっと「チュピチュピ」鳴き続けている。「ピーピー」騒がしいのはヒヨドリ。「ビービー」はヤマガラ。ほかには「ツツピーツツピー」のシジュウカラツツドリは「ポポポポポ」。キジバトには「デデーッポッポー」と「デーデッポポー」の2タイプがいる。

まだまだいるけど、以下略。



↑近くの森から声が聞こえる。

仕事仲間のおじさんが「ウグイスだよね?」と言いだした。「いやいやいやいや、あれはホトトギス。おじさん、去年も同じこと言ってたよ」

みんなが大笑いしたので、ちょっと申し訳なく思ったとき、ベテランのおばちゃんが、こんなことを言ったのだ。

「○○さん。今朝うち出るとき、カギかけて来たかい?ホトトギス『じょっぴんかけたか?』って聞いてるよ」

「じょっぴん」……北海道弁で「錠前」のことだ。最近はあまり聞かないが、昔、年配の人がよく言っていた。ドアじゃなく、引き戸に南京錠だったからね。

「そうか。『じょっぴんかけたか?』って言ってるのはホトトギスね。わかったわかった」


よかった。救われた。


なのに「わかったけど、またきっと忘れるから、もし来年同じこと言ったら、また教えてちょうだいね」だって。



遠くからカッコウの声が聞こえてくる。

カッコウはわかりやすい。自分で「カッコウ」と名乗っている。



北海道の青空、爽やかな風、カッコウの鳴き声。

こんなことを書くとまた「カッコウは托卵するよ」とか「無責任な鳥だよ」とか言うんでしょ?


カッコウにだって都合があるんです。

プライベートは、そっとしといてあげてくださいな。

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