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解離の備忘録

解離性同一性障害を発症してしばらく経ったが、症状を体験していく中で個人的に役立つと思ったことをまとめていこうと思う。

1.健忘について

多様な解離の症状の中で最も困ったのが健忘だった。僕はもともと記憶力がかなり良い方でメモを取る習慣がなかったのだが、解離してから常にメモを持ち歩くようになった。なにしろ健忘は歩行中であろうと会話中であろうと容赦なく襲ってくる。飛ぶ記憶の長さも直近5分から年単位と幅広く、10年飛んだ日にはかなり錯乱した。
そこで、見える場所にメモを置いておく行為がとても重要になってくる。自分の症状と人生、現在の目的を軽く説明すれば過去の自分は「今の自分」を演じきってくれる。記憶が戻るまでそう長い時間はかからないので、健忘を起こした自分に戻るまでの繋ぎを依頼する意味でメモ作戦は有用だと思う。

2.遁走について

健忘の次に厄介なのがこの遁走だった。ふと気が付いたら知らない場所にいる。スマホ(奇跡的に持っていた)の地図アプリで確認すると着の身着のまま徒歩で10km近く移動していたこともあった。
遁走対策で大切なのが説明だろう。同居人、いれば家族や恋人に説明して遁走が起こった時に迎えに来てもらう必要がある。
遁走中は体力のリミッターが壊れているので、普段なら交通機関を使わないと移動できない場所まで財布や携帯を置いて徒歩で行っていることも多い。場所を確認して携帯があれば迎えを頼む、なければ交番に飛び込んで連絡してもらうといった行動を取ることになるが、この時同居人に遁走について説明していないと事故に遭った、自殺しに行ったと思われて必要以上に大事になっている可能性がある。
自力で帰れる場所にいたとしても報連相を怠らないことが大切だろう(1敗)。

3.人格交代の仕方

あなたがフラッシュバックを起こした時、自分では対処できない問題に遭遇した時は人為的に人格交代を起こすことで解決できる場合がある。
数人に説明してみたが、すぐにできる人とできない人がいるようだった。以下に方法を説明してみるので、できる人は何かあった時の保険として覚えてみてほしい

1.自分が誰なのか、どんな人格なのかを思い出す
2.座って落ち着く、落ち着けなくても落ち着こうとする
3.目を瞑り、後頭部のあたりに集中する
4.精神世界(あれば)に入ってそこにいる別人格の肩を叩き、「交代して」と言う
5.次の瞬間自分が内側にいれば成功

僕の体感では内側にいる方が記憶から来る痛みは軽いように思う。ただし交代しすぎると体力を消耗するので、短時間で繰り返すのは避けた方がいいかもしれない。

4.内側について

分かる人には分かると思うが、僕らの脳には「内側」がある。
内側には空間があり、人によってさまざまな部屋や小道具が設置されている。(自分が落ち着ける空間を模している?)
解離の特に同一性障害の人は内側に他人格がいて、自分が意識に出ていない間は内側で過ごしているといった体験をしている人も多いだろう。
これは僕のごく個人的な体験による連想だが、内側の空間と心理状態は連動しているように思える。
僕の内側の部屋が荒れている(壁が薄黒く汚れていて小道具の本がボロボロ)日はどの人格が出てもフラッシュバックを起こしやすい。逆に部屋が綺麗な日は気分が良かったりする。
ストレスを知覚しづらい防衛人格としては目に見える目安は本当にありがたいので重宝している。
参考になる人は参考にしていただければ。

5.その他

上述の人為的な人格交代ではなく、疲れて自然に交代した時は健忘を起こしやすいので寝る前、作業の後にはメモを残す習慣をつけるといいかもしれない。
こんな記事を書いておいて申し訳ないが解離について考えすぎると解離するので普段は控え目に悩んでおくのがいいと思う。
また僕個人の意見として、解離しているということは解離が必要なほどの何かがあったということなので、克服するまでは無闇に統合しようとせず協調していくのが大切だと考えている。

それではよい解離ライフを!