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橋めぐり&下町散策【8】新神谷橋・新田橋 / 十条

コース:十条~神谷~新神谷橋~新田橋~豊島~王子 (2011年1月29日)

十条の商店街

埼京線に初めて乗ってやってきた十条駅は、こぢんまりとした素朴な駅だった。渋谷・新宿・池袋と巨大駅が続いた後だけに、その素朴さが一層際立っているように思えた。しかし、そこが良いのである。

駅舎を出ると目の前にロータリーがあり、その向こうにアーケード商店街「十条銀座」の入口が見えた。先ずそこに行ってみることにする。
 全覆型のかなり長いアーケードで、左右にもアーケードが伸びている。さらに北の「富士見銀座」や西側の「十条仲通り商店街」などもあり、全体的に相当規模の買い物エリアだ。

どこを歩いても活気があって楽しい。
昔ながらの瀬戸物屋さんを覗くと、ナイスなご飯茶碗があった。しかも500円とリーズナブル。う~ん、買いたいけれど散歩はまだまだ続くので我慢する。
 
踏切を渡って駅の東側にある「十条中央商店街」も歩く。
車が1台やっと通れるぐらいの細い道に商店が賑やかに並んでいる。
チェーン店が殆どないためレトロ感が楽しめるのも魅力だ。
 
しばらく行くと演芸場が現れる。カラフルなのぼり旗や時代劇の看板。
おおお、としばし見惚れてしまった。

昭和26年開業の「篠原演芸場」
「篠原演芸場」の時代劇看板

旧岩城街道と十条富士塚

 「中央商店街」から旧岩城街道に出ると、どこか懐かしい感じの風景に出会った。
2階建ての古いビルが連立し、その先に緑が少しばかり見えるだけなのに、何故か和む。路幅が狭いのと、空の広がりが感じられるからだろうか。

旧岩城街道

緑のところまで行ってみると、鳥居と急な階段があった。
横には大小の石造物や記念碑が立っている。
階段を上ると小さな祠があるだけの、ほんの数十メートル四方の小さな高台だった。

十条富士塚の鳥居

木の枝を通して文具店が見えた。面白い角度なのでスケッチをし始めたら、熟年男性が2~3人階段を上がってきた。
と思ったら、続々と上がってきて総勢十数人になった。ウォーキンググループのようである。

十条富士塚から見た「木下晴書堂」

街道をさらに進んでレトロな街並みをもう少し味わった後、細い通りに入った。東十条駅を目指しているのだが、なんとなくここから行けるような気がしたのだ。この通りはラーメン店、おにぎり屋さん、カフェなどたくさんの飲食店が並んでいる。通りの最後は急な下り坂となり、くだりきると線路沿いに出た。

東十条商店街と神谷の不思議カフェ

連絡通路を通って線路の反対側に移動し、「東十条商店街」に入る。
お昼を回ったのでそろそろ何処かで食事をしたいなあと思いながら歩く。しかし、チェーン店が多くて入りたくなるようなところがなかなか見つからない。結構長い商店街だが、見つからないまま商店街が終わってしまった。
 
環七を渡って神谷界隈に商店街がないか探してみるが、住宅街ばかりだった。
これから隅田川沿いを歩くので飲食店があるとは思えない。
しょうがないので東十条商店街へ戻り始めたら、いきなりかわいいカフェを発見。
 
中に入ると不思議なものがあっちこっちに積んであり、1つのテーブルには作業中のものが広げられていた。ミニチュアグッズ、ドールハウス、活版印刷の活字、古い英語のガイドブック、羽ペン、鉱物、古時計のパーツ……見たいものが多すぎてなかなか席につけないほどだ。

こだわりアイテム満載の「きらら舎」

ランチはオムレツセットのみということで、それを頼んでやっと席に着いた。
 
カフェの人にこれから新神谷橋へウォーキングと話したら、この辺の見所をいっぱい教えてくれた(昔、北区の観光案内ウェブページを作っていたとか)。
そして展示してあるグッズを紹介してくれたり、ドールと小道具を持ってきて「プチ撮影会」をしてくれたりして面白かった。
定期的にイベントを開催しているらしく、作業中のものはその準備のためのようだった。

ドール撮影会@「きらら舎」

新神谷橋と新田橋

カフェを出て環七に戻り、しばらく歩いて新神谷橋のふもとに到着した。
隅田川の最上流にかかっているこの橋は、プレーンな桁橋形式で、装飾的な要素の一切ない地味なデザインだ。

地味な新神谷橋

この辺りの隅田川は蛇行しているため、橋の上から見ると川はゆるやかにカーブしている。
やはり上流となると川幅が狭く、景観は下流のような雄大さに欠ける。
 
橋を渡り切り、下流に向かって川沿いの道を新田橋まで歩く。
 ここの川沿いの道は塀が高く、川を見ながら歩くことができない。
塀の上を覗くとクレーン車や工事船などが並んでいる。隅田川テラスの工事が進められているようだ。
 
新田橋もフラットな桁橋形式だが、桜モチーフの欄干がかわいい。
これまでの隅田川の橋よりもだいぶ幅が狭く、歩いていて川に吸い込まれそうな感じがしてビクビクしながら渡った。

A型の橋脚が特徴的な新田橋

今日の橋めぐりはここまでとし、隅田川を離れて王子へと向かう。

豊島の商店街

地図を見ながら裏通りを進んで「豊島仲通り商店街」に行く。
両側の歩道上がアーケードになっている比較的長い商店街だが、昼下がりという時刻のためか、買い物客はまばらでわりと静かだ。
途中で焼き鳥を1本買って食べ歩きする。
 
再び住宅の並ぶ裏通りを経て「いなり通り商店街」に入る。
ここは低層ビルと店舗が混在している感じで、商店街としてはあまり存在感がない。
 
この後は大通りを一直線に王子駅まで進み、広い飛鳥山公園の向こう端にある「紙の博物館」へと急ぐ。
最終入館時刻ぎりぎりのところで飛び込み、展示物をすべて見て回ることができた。紙の歴史とか印刷物の見本とか、結構おもしろかった。
 
だいぶ薄暗くなっているなか、王子駅近くの王子神社でお参りをしてから家路に着く。

<振り返ってひとこと> 2022年春
十条駅の西側エリアが再開発されるとのニュースを読みました。既存の商店街は殆ど残るようですが、すぐ傍にタワーマンションと複合施設が建設されるとのことです。町がどのように変化するか、完成後はぜひ訪問してみたいものです。

※お店の情報は訪問当時の情報なので、最新の営業情報等は変わっている可能性があります。

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