【掌編】胡蝶蘭は中間管理職(第1話)
「うん、待ってるぅ」
電話を切ると、なぜか、あの子がいつも付けているEscadaの香水の匂いがした。
夜の8時半になると、毎週のように電話がくる。
あの子にとって自宅を出てからお店につくまでの30分はとても大切な時間なのだ。
なにせ、その日一日の仕事の内容が、その結果で変わるのだから。
うちの会社にも貼り紙をしよう。
他人の事をとやかく言う前に、客に電話をかけろと。
いつも遊びに行くと下らない話をして笑いあったり、愚痴を聞いてもらったりするのだが今日は少し違う。