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コロナ流行中、ファーウェイをめぐる米中の対立は続く

中国の通信機器大手、ファーウェイを巡り、米中間で新たな緊張が、はしっています。

なぜ、アメリカと中国は対立したのでしょうか?

そのポイントは、3つあります。

・米政府は中国のIT(情報技術)製品の締め出しを図っており、2018年3月には、「中国の製品には不正なプログラムが組み込まれていて、スパイ活動に用いられる」、という安全保障上の懸念を理由に、中国製の通信機器を国内の通信網から排除する規制の検討を発表した事。

・カナダ当局は2018年12月に、米国のイラン制裁に違反した疑いで、米司法省の要請によりファーウェイ創業者の娘である同社幹部を逮捕した事。これにより、中国政府は「重大な人権侵害だ」と批判し、米中対立の激化に繋がりました。

・ファーウェイは、米政府によるスパイ疑惑を一貫して否定していました。3月には「米国は当社製品を制限する証拠は何もない」と主張し、米政府が同社製品を調達することを禁じる法律に「憲法違反」だとして訴えを起こし、中国政府も同社を支持した事。

上記3点が対立の理由となります。

ファーウェイが2020年3月31日に行った、2019年度決算についての電話会見では、今後起こるであろう地政学的な主導権争いを予感させました。

トランプ政権による同社サプライチェーン(部品の調達・供給網)への新たな制限措置についての可能性について問われると、輪番会長の徐直軍(エリック・シュー)氏は、

「中国政府はファーウェイが、まな板の上で殺されるのを黙って見過ごすことはない」

と、答えました。

その上で、新たな制限措置という、パンドラの箱が開けば、世界のサプライチェーンに破滅的な打撃が及ぶだろうと考えられます。

米政府は新たな制裁措置を検討しているとされ、台湾の半導体ファウンドリー(受託生産)最大手、台湾積体電路製造(TSMC)がファーウェイ 傘下の海思半導体(ハイシリコン)向けに製造する半導体の販売を阻止する可能性があります。

米中の対立はすでに、昨年のファーウェイの収益を圧迫しており、19年通期は19%の増収となったが、全体を押し上げたのは36%の伸びとなった国内市場でした。

米政府が昨年5月にファーウェイを制裁対象のリストに追加して以降、ファーウェイ製スマホはGoogleの人気アプリを利用することができなくなり、海外での訴求力が薄れました。

ファーウェイはこれに対抗して、自前の技術に対する投資を強化し、昨年の研究・開発費用は30%増の186億ドルと、アップルとインテルを上回りました。

今後、ファーウェイをめぐる戦いは、各国が次世代通信規格「5G」サービスの開始に伴い、激化する公算が大きく、5Gは覇権を争う主戦場となるでしょう。また、トランプ政権のファーウェイに対する戦いは、ファーウェイの海外事業を損なう一方で、同社の自給自足への試みを促す事にもなりそうです。






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