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コロナが生む、勝者と敗者

新型コロナウイルスの感染拡大により、米国ではデジタル格差が広がりつつあります。

米経済の一角で進んでいた、こうした潮流変化はコロナウイルスとの戦いによって加速し、危機が過ぎた後も長く続くと一部のアナリストは指摘しています。

求人情報ウェブサイト運営会社インディードのチーフエコノミスト、ジェド・コルコ氏は、

「われわれが置かれているのは、より長期の緩やかなトレンドが、突如として激しい動きに変化した状況だ」

と語る。

実店舗を展開する小売店はここ何年も、ネット通販との競争に晒されて客足が落ちていたが、今や店舗は閉鎖を命じられ、対照的にオンライン小売業者の売上高は急拡大してます。

そこで、オンライン事業に長らく抵抗してきたセクターも、ここに来て足を踏み出し、医師やセラピストはオンライン診療を、ヨガなどフィットネス関連ビジネスはリーモットセッションを提供し始めました。

また、教育機関はオンラインクラスへの移行も見られてきています。

ニュースメディアでも、以前からの傾向が加速しており、新型コロナの感染拡大はニュースサイトの訪問者数を押し上げている一方、すでに苦しい立場にあった地方紙は広告収入の減少に悩まされています。

こうした変化は、労働市場にも大きな地殻変動をもたらしていて、オンラインで働ける人は引き続き稼ぐことができるが、対面形式の仕事に依存していた労働者は苦境に追い込まれているのです。

エコノミストらは、こうした唐突で強制的に生まれた変化が、新型コロナ感染が抑制された後も恒久的に続くか、どうかが大きな問題だと指摘しています。

また、続けば米国の経済構造が一変し、新たな業態やプロパイダーが登場する道を開く事になるだろうとも言われています。

小売業界ほど、そうした変化が鮮明になっている業界はなく、小売業界の就業者数は3月時点で1570万人と、米国でも有数の雇用セクターとなっており、ウイルス感染の拡大阻止を目指した州や地方当局が不要不急の事業の閉鎖を命じたこことで、実店舗の経営は揺らぎ、オンライン小売が一気に優位を高めています。

米百貨店チェーン大手メーシーズやギャップなどの小売業者は今週に入り、何万人もの従業員を一時帰休にすると発表しています。一方、ウォールマートやアマゾン・ドットコム、CVSヘルスをはじめとする大手十数社は、向こう数週間で合計50万人近く雇用する計画があり、その多くは宅配やオンライン注文配送の分野で、感染流行で急増する注文に対応します。

現在、感染拡大を受けて、ソーシャルディスタンス(人と人との距離の確保)措置や、ショッピングモール、デパートの不要不急の事業閉鎖は、感染リスクが高い高齢者など、ネット通販を使用した事がなかった人を含め、さらに多くの消費者をオンラインへ向かわせています。

日本でも、同じような現象が起こっており、在宅でも可能な活動や仕事が注目されて行くでしょう。

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