雨の午後、オムトレをしてみむとす
空から舞い降りた雨粒が、屋根の上で軽やかにダンスを踊っている。
雫たちの奏でる旋律で、ゆっくりと夢から呼び戻された土曜の朝。
……すいません嘘つきました。雫たちの奏でる旋律っていうか、雫たち完全に屋根とか窓とかブン殴りに来てた。曲者か?!であえーであえー!!って戦国武将の気分で叩き起こされました。うちのすぐ近くを流れてる川も、いつもの楚々とした風情はどこへやら、ものすごい勢いで踊り狂っております。トイレで大きいのキめた直後に爪研ぎへと駆け付けるねこみたいなテンションで水が荒ぶってる。あれが全部コーヒー牛乳だったらすてきなのに。
あ、堤防からかなり深い所を流れている川なので、氾濫の心配はないと思います。
拙宅に遊びに来てくださる皆さまは、ご無事でしょうか?
そんな雨模様の昼下がり。このところずっと心の片隅に命題として掲げていた、アレをやってみることにした。
オムトレである。
noteでお会いした凄腕料理人のお一人、ケイチェルおじ上殿。この素晴らしきクリエイターさんの提唱する「オムトレ」を、自分もやってみたい……否!やらねばならぬ!とここ半月くらい、ずーーーっと思っていたのだ。
何しろ私はオムレツが大好きなのだけれど、オムレツを作ろうとすると、決まって「紅蓮の業火に焼かれし絶望と悲哀の羽衣」が生まれてしまう(BGM:鬼束ちひろ『月光』)という、聞くも涙・語るも涙な忌まわしき呪いに長年悩まされている。
(恥を忍んで晒します、過去の惨劇の様子。『こんなもののために生まれたんじゃない』という阿鼻叫喚が聞こえてくるようで胸が痛い。記録は2021.1)
いつも「食べれば味は同じ、食べれば味は同じ……」という呪文を一心不乱に唱えることでやり過ごしてきたし、なんならもうオムレツとかオムライスは「誰かに作ってもらうもの」フォルダに入れて永久凍結しちまおうか、とさえ思っていた。でもね、やっぱり自分でも上手に作れるようになれたら……って気持ちを捨てきれないじゃない。日々の暮らしの中で、いつでも好きな時にオムレツを楽しめるなんてすてきじゃない。つやっつやのピカピカまで行かなくても、やさしいたまご色がまず目においしくて、口に入れるとふんわりトローリするような……そんなオムレツ、作ってみたいじゃない?(意識高いイイ女系の口調を使ってみたいお年頃)
そんな私に、林家ペーパータオルを手にしたおじ上殿がやさしく微笑みかけてくだすったわけですよ。
「オムトレしような。」
ということで、聖典で紹介されていた動画をガン見しつつ、夜な夜なイメトレを重ねて……いざ尋常に、勝負ッ!
(動画に登場する妹さんが可愛くて何度でも見れちゃう、の分かりみすごい)
果たして結末やいかに?!(ドドン)
焼き上がってから林家ペーパータオルで整えてみたものの、形が悪い。つやもない。ましてやピカピカ感など皆無。黒こしょうがなんだかまがまがしい存在感を放っている。
でも焦げてない。
焦げてない……!!!!!!
2つ折りにしたたまごを、フライパンでトントントンってしながら返してくるのが、やっぱり超難しかったです。たまごの端っこがなかなかクルンッてしてくれないし、やっとクルンしたと思ったら反対側が「ピギィ!」って裂けたりするし……動画見てると、本当に簡単に出来そうなんだけどなー。
それでも、それでも!私が今まで作ってきたオムレツの中ではいちばんの出来映えです!私の中の全ベジータも「お前がナンバーワンだ……!」って言ってくれてる!
今回も紅蓮の業火に焼かれし絶望と悲哀の羽衣が爆誕する可能性を鑑み、少しでも己を慰めるべく動員された王族ウィンナー・ジョンソンヴィル様(チーズ味)。
いつも思うけれど焼き目がめちゃくちゃ格好良い。溢れ出る肉汁がセクシー。そしておいしい。あまりに魅力的すぎて、食べるたびにまっさらな気持ちで恋に垂直落下させてくるるのスゲー。
肝心の焼き加減はってーと、ふわふわとろりには程遠く……(笑)。おじ上殿にならってぺろんちょを試みたんですが、そもそもぺろんちょしなかった。でも食べてみたら、なかなかのしっとり具合!いつものパサパサ感は皆無で、もうそれだけで感極まってしまう……。
オムレツ作りのキモは、とにかく油をケチらず・手早く・ビビらない!これに尽きるわな、と思いました。もたもたしてると、どうしても火が入りすぎちゃうからなー。ガーッとしてトンとしてホイ!のリズムを大切に、引き続きオムトレ頑張ります。そしていつかは、大正義・森高千里大明神のあの名曲を歌いながら作れるような……そんなオムレツ上手に、おれは、なる!(どんっ!!)
あとオムレツ用に普通のこしょうも買ってきます。
いつかこんなの作ってみたーい!な、意識高い系OLごはん。パン生地を捏ねるところから始めるってどういうことだってばよ……(困惑)。
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