見出し画像

ソロキャンプ 2021.12.3-4③日の出とTKG編

6回目のソロキャンプ記録、前回からの続きです。



12/4土曜、朝5時すぎに起床。枕元の温度計はマイナス1℃を示していた。テントの向こう側はまだ真っ暗、バッチクソに寒い。

夜中に何度か目が覚めてしまい、あまり眠れなかった上に、とにかく寒くてなかなか身体が動かない。しばらく寝袋に入ったまま、コットの上で「蟲の呼吸・芋虫ノ舞 喪曾喪曾」を使い、こわばった身体をほぐす。ひどく喉が渇いていたので、昨夜寝る前に水筒に入れておいた蕎麦茶も飲む。やはり12月ともなると、空気の乾燥ぶりがすさまじい。こんなに喉カラッカラだもんな。昨夜あんなに水分補給したってのに、まだ足りなかったのかな……今回の反省点としてメモしておこう。

そんなことをしているうちに、ようやく身体が動かせるようになってきた。寝袋から這いずりだし、ストレッチなんぞもしてみる。

もたもたと防寒着に着替え終わったのが、午前6時。パリパリに霜で凍ったテントを開けて外に出てみると、素晴らしい景色が寝ぼけまなこを直撃した。



画像1

ああ。なんと、なんと。

今猛烈に「冬はつとめて」って提唱した清少納言さんに握手を求めてぇ!姉御、おっしゃる通りでありまっす!かしこみかしこみ。


夜明け前のうつくしい光景のおかげで、瞬時に覚醒完了。お手洗いを済ませたのち、急いでカメラと三脚をかついで湖畔へと走った。

キャンプ場の朝は早い。すでに湖畔サイトのあちこちから、焚き火の煙が立ち昇っている。早朝の澄んだ空気に、燃える薪の香ばしい匂い、パチパチと爆ぜる音が混ざりこむ。いいねえ。いいですねえ。


昨夜星シャー真を撮影したポジションにカメラをセットしたら、あとは日の出をひたすら待つのみ。本栖湖の日の出は6時45分頃と聞いていたから、あと30分は待たなくてはならない。


画像13

ぼーっと待つのも勿体ないので、ちょっと色味をいじくった写真を撮って遊んだりしつつ


画像14

少しずつ明るくなってゆく空を眺める。湖面にはさざ波が生じているけれど、風はほとんど気にならない。とてもとても静か。それなのに、目の前の景色のなんと雄弁なことか。

普段こんな寒さ(0℃)の中にいたら、当然首は亀のようにすぼまってくるし、背中も丸まってくるはずなのに、自然と背筋がまっすぐに伸びる。空も、大気も、湖面も、その向こうにそびえる富士山も、何もかもがあまりに清廉なうつくしさだからだろう。自分も居ずまいを正して対峙しよう、それがこの素晴らしい光景に対する最低限の礼儀だ、という気持ちになるのだ。鼻も垂れてくるけども。


画像12

空が明るくなるにつれ、湖面を水蒸気が渡ってゆくのが見えてくる。


画像15

対岸にもうっすらと白いもやが見える。うまいこと写真に撮れなかったけれど、神秘的な光景だった。


そして、午前7時頃。

かなり明るさを増した空に、ひとすじの光が射した。



画像2

おっ……!


画像3

キター(゚∀゚ 三 ゚∀゚)ー!!!!!!


すかさずカメラにかじりつき、生まれて初めてとなる日の出撮影をスタートさせた、のだけれど……


画像4

太陽まぶしすぎ。

フレア?だかゴースト?だかが発生しまくる。


画像5

んあああああんもぉおおおおお!!


画像6

おろおろしつつ、ぐんぐん昇ってくる太陽の速度に焦りつつ、カメラの設定をいじくって悪戦苦闘。


画像7

露出下げるとフレアだかゴーストだかは減るんだけど、富士山は真っ黒になるし


画像8

露出を上げるとこんなんなるし。海もないのになんでクラゲがいるのかな?


とまあ、そんな感じで。初めての日の出撮影は、あまりの難易度に土下座してもう許してくださいと言いたくなりました……(笑)ダイヤモンド富士とか撮影なすってる方々、すごいなあ。

いやしかし、難しすぎてムッキー!と鼻息が荒ぶりつつもとても楽しい数分間だった。また機会があったらチャレンジしてみたいと思う。次回はフィルターを工夫してみようかな


画像9

こちらはスマホ撮影。なんかスマホのがいい感じに撮れてて草。


日が昇りきると、周囲はすっかり明るくなった。ぐんぐん気温も上がってきて、寒さでバキボキにこわばっていた身体がほぐれてゆく。お日さまとは、かくもありがたき存在でございましたか……(拝み)



画像10

本栖湖の水はこんな感じで、かなり透明度が高い。


画像11

こちらが大人気の湖畔サイト・下段。湖に向かってかなり傾斜しているし、砂地もかなりやわらかめだ。こりゃあ確かに変な乗り入れ方すると、ドツボに嵌まりそうだな……。



起床から2時間以上が経過し、ようやく私の胃袋も目を覚ましたのか、若干空腹を感じ始めた。もともと朝食は食べない習慣で、ソロキャンプ時でもそれは変わらないのだけれど、今回は朝ごはんをいただくことにする。

自サイトに戻り、あらかじめ自宅でといできた米をメスティンに入れて、170ccの水を注いだら30分程度吸水タイム。個人的に、メスティン炊飯のキモはこの吸水タイムなんではないかと思っている。焦ってここで時間を短縮すると、芯が残ってるのにベタついた残念なごはんが炊き上がってしまう気がするんだよなー。

吸水が終わったら炊飯いたしまして、


画像16

この日の朝ごはんは、メスティンTKG!

たまごは、まず全卵1個+白身1個ぶんを溶きほぐしてからごはん全体にまぶして、そのまま蓋をして5分程度蒸らしておいた。こうするとTKG特有の、透明でヌルリ……とした白身にほどよく火が通るのだ。その後、真ん中にくぼみを作って黄身を載せたらできあがり。

この作り方は、私が敬愛するマンガ飯再現のスペシャリスト、梅本ゆうこさんのブログを参考にさせていただきました!



画像17

贅沢にもたまごを2個使用したので、これはもう貴族のたまごかけごはんと呼んでも差し支えあるまい。

炊きたてごはんにたまごと醤油、たったそれだけのシンプルな味なのだけれど、めちゃくちゃおいしい……。メスティンの熱でほどよく蒸されたたまごからは、白身のヌルリ……感が見事に消えている(あれが実はちょっと苦手)。半熟になったものと、生のもの、二種類の黄身が楽しめるのも尊い!吸水タイム中に淹れなおした蕎麦茶の香ばしさが、また、合う合う。今までの人生で最高のTKGだったなー。ごちそうさまでした。


この日はレイトチェックアウトをお願いしてあったので、朝ごはん後はのんびり一服したりお茶を飲んだりしながら、ゆるゆると撤収作業に入る。

前回の長野では、カッサカサに乾ききっている私を尻目に、ありとあらゆる物が夜露と朝露で潤いまくっいて拭き掃除が大変だった。けれど今回は湿度が低かったのと、前夜就寝前に焚き火台以外のキャンプ道具を車やテントに押し込んでおいたこともあり、片付けはスムーズに進んだ。お日さまも今や高々と昇り、テントに付着した霜を溶かして乾かし始めてくれている。昼くらいまでにチェックアウトできればいーや、という心づもりだったので、今回は完全に乾くのを待ってからテントを畳んだ。帰宅してからテント干さなくていいのって、気分的にものすごく楽だ。

テントがほぼ乾いたのが、午前11時半頃。この時間帯になると、新たなキャンパーさんたちが次々にやってきては、本日のキャンプ地を検討しながら場内を歩き回るようになった。

すぐ近くをそのような方が通りかかって目が合ったので、ここもうすぐ空けますけどよかったら……と声をかけると、こちらが恐縮するほど丁寧なお礼を述べてくださり、車を移動してこられた。車中からは大変人懐っこいトイプードルちゃん(激烈マブ)が出てきて、飼い主さんのご厚意で存分にナデナデさせていただく……というラッキーモフモフにもありついてしまった!今回のソロキャンプ、何もかも最高すぎる。


画像18

撮り納めに富士山を撮影。今日も実に、実に!美事な男前ぶりである。


画像19

くう~、格好良い。また逢いに来させてください!


帰り際に先述のキャンパーさんとトイプーちゃんが、設営中にも関わらず私の車を手を振って見送ってくだすった。めちゃくちゃうれしかったなあ!


12時ちょっと前にキャンプ場を出発し、途中道の駅に寄りつつ2時間程度で帰宅。ねこたち、今回もよゐこで留守を守ってくれていました。



ということで、6回目のソロキャンプも大・大・大満足で過ごすことができました!相も変わらず長ったらしい駄文と稚拙な写真を大量に晒してしまいましたが、お付き合いくだすった方、ありがとうございました。

そして今回、帰宅後に発覚した衝撃の事実。私が敬愛するクリエイターのおひとり、惑星ソムニウムさんこととほさんが、なんと同じ日程でこの浩庵キャンプ場でソロキャンプをなすっていたのです……!

よもや、よもや……!こんな偶然があろうとは!!!!!!

ご対面こそ叶わなかったけれど、思いがけない、そしてこの上なくすてきな偶然に、すっかり舞い上がって今週を過ごしている。日頃憧れている方と、同じ場所で一夜を明かし、同じ景色に胸を躍らせていたかと思うと……今回のソロキャンプにまつわる様々な記憶が、より一層その輝きを増して胸に迫ってくる。

ソロキャンプだけに限らず、いつかお出かけした先で……こんな僥倖に恵まれる日がまたやって来るのかもしれない。そんな甘やかな期待がほんのりと胸に灯った、6回目のソロキャンプでした。


いただいたサポートは、外で暮らすねこさんたちの生活が少しでもよきものとなるよう、関係団体に送らせていただきます。