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「佐伯祐三 自画像としての風景」展

 先日、東京ステーションギャラリーへ「佐伯祐三 自画像としての風景」展の鑑賞に行ってきました。

 佐伯祐三という画家については、経歴や画風について多少知っている程度で、体系的に作品を鑑賞したのは今回が初めて。展覧会の概要については、リンクした公式HPに詳しく書いてあるので、ここでは自身の感想を記すことにします。

 まず、生涯を通じて画風が暗い、というのが第一印象です。ここでの「暗い」とは、テーマが陰鬱であるとか、悲劇的であるというよりも、単純に色調が暗い。おおよそが鼠色をベースとした作品であり、明るい色調の作品というのはついぞ見られませんでした。とはいえ、ただ暗いだけで終わらないというのが面白いところで、第二次パリ時代に街角のポスターにフィーチャーした作品を多く発表するようになると、元来の画風である暗さが作品にクールさを与えることで、作品がグッと魅力的に。さらに最晩年は、代表作である「郵便配達夫」など傑作を次々に生み出し、個人的にも第二次パリから最晩年の作品群に最も惹かれました。早逝故に最晩年が全盛期だった、という面は否めないですが、その悲劇性が佐伯祐三という画家の印象を強めているのでは、と感じました。

 蛇足となりますが、会場である東京ステーションギャラリーのレンガ造りの壁面は、佐伯作品と実にマッチしていてよかったです。何といっても、作ったレンガ調ではなく、実際に使われていた本物のレンガなのが良い。名前の通り、東京駅丸の内口にあって都内の美術館でもトップクラスの好立地なので、思い立ったらすぐに行けるのも良いですね。



東京での開催期間は4/2までと、割と長めです

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