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ひとり親家庭に食料配布するボランティアがお金払ってでも行きたいぐらい楽しい話。

キッカケはYouTubeの広告。スキップボタンが表れるのを待って速攻で飛ばすアレです。

その日は家事をしながら耳視聴していて、デバイスから離れてたのでスキップ押せず、そのまま流してたんだと思う。

耳に入って来たのは、
「お腹が空いた」
「お母さんはいいから2人で食べて」
「給食のない夏休みはいつも空腹」
といったセリフを読み上げるナレーション。

広告は、「あなたの寄付でこの子達のお腹を満たしてあげてください。月に1000円で、4世帯の家庭を支援できます」で締められた。

そのままYouTubeの番組が始まり、戻った時は団体名も分からず、でも、気になって仕方がない、という気持ちになり、いろいろ検索して見つけたのが、グッドごはん。

ひとり親家庭に食品配布をしているボランティア団体で、企業には廃棄前の食料支給を、一般の方々には一口1000円からできる寄付を呼びかけていた。さっそく寄付の手続きをしようと思ったのけど、ふと、「お金だけじゃなくて何かできないかな」と考えた。

この時は、なぜ自分があのフレーズで「寄付しよう!」という思いに駆られたのかわからなかったので、その理由が自覚的にわかれば、自分が何に興味関心を持っていて、直接的な利がなくても行動したいと思うのか、もっとはっきり分かると思ったから。

調べると、企業などから寄付された食料品が保管されている倉庫に行って配布しやすいように仕分ける作業や、実際に食品を配布するボランティアも募集していることがわかった。前者は主に平日の昼間で、後者は土曜日が多い。東京、大阪(この冬からは福岡も加わった)。実際にボランティアとして関わることで、当事者意識を持ちやすくなるだろうし、そうすれば自分の心が動いた理由もわかるかもしれない。

土曜日の大阪なら行けるな。そう思い、まずは直近の土曜日の食料配布のボランティアに応募。以来、月に一度か二度、土曜日や有給休暇を取れた日などに配布ボランティアに行っている。

一度やってみて、これは自分にとって良いことしかない、と感じたので、興味のある人にはオススメしたいな、と思いました。

具体的に何をやってるかを書いてみます。

仕事内容は、まず配布準備として、

・会場の机や椅子のレイアウトを変えて配布の体制を作る
・食料を積んだトラックから食料品を荷下ろしし、会場へ運ぶ
・配布物の説明を受けて、机の上に種類ごとに並べる
・補充しやすいように、箱から出したり小袋からバラにしたりして整える
・ゴミをすぐにまとめられるよう整備する
・渡す時の説明を覚える(消費期限についての注意など)

と、こんな感じ。だいたい1時間ぐらいで準備は終わり。

配布10分ぐらい前になると利用者さん達がやってくる。配布時間はきっちり管理されてるので「11時まで待ってくださいね」とお話し、来た順がわかるように並んでいただく。暑かったり寒かったり、お子様づれだったりするので、椅子を用意したり冷暖房の効いた場所を用意したりする。

配布開始すると、

・利用登録メールを見せてもらい、その日の利用者リストに番号があることを確認する
・初めての利用者さんの場合は、利用に際しての注意事項の説明をするために、スタッフさんに伝える(説明はスタッフがする)
・利用者さんは、マイバッグと、冷蔵冷凍品がある時は保冷バッグ持参が必須で、重たいもの(お米)から配布していく。
・渡す時に、それぞれの注意点を説明して、例えば、冷凍品があるのに保冷バッグのない方にはお渡しできないので、スタッフに伝えてお渡しできないことを説明してもらう
・ひととおりお渡しできたら、「お気をつけて」「おつかれさまです」などと声を掛けてお帰り頂く

これが、11時〜15時の4時間。場所や日によって違うけど、だいたい150〜200世帯ぐらいに渡すので、行列ができる時間帯もあれば誰も来ない時間もあるけど平均すると1〜2分に1世帯に渡していく感じ。

スタッフが1名とボランティアは、利用者数によって1〜3名。
間に交代でお昼休憩を30分〜1時間もらう。外にランチに行ってもいいし、買ってきたものをパーテーションの奥で食べてもいい。私は外に出る派。

終了は、

・回収のトラックが終了30分前に一台来るので、既に空になった段ボールやパレットなどを予め整理しておき、運び込む
・終わりも時間厳守なので、15時きっかりに残りの食品をパレットに詰める
・回収品全てをトラックに積む
・原状回復。レイアウトを元に戻す
・机や使用した物をアルコール消毒
・忘れ物チェックして解散

こんな感じ。利用申込みはあったけれど何かしら事情があって受け取りに来られない利用者さんも数世帯出ることもある。そういう場合は残念だけどお渡しができない。撤収作業中に来てくれたら滑り込みセーフで、積荷からおろして配布したりもする。けど、来るで待つ、ということはしない。

トラックを待たせることはしたくないし、終わればサクッと帰りたい人が多いせいか、配布作業中にもどんどん片付けていく人が多いせいか、片付けの作業はだいたい10分程度で終了してしまう。

早ければ撤収は15:05という日もあったほど。
アッサリ帰りたい私にはちょうどいい。

1回目のボランティアに行ってみて、当事者意識も生まれたし、金銭的な負担も大きくないので、納得して寄付も申し込んだ。毎月1500円をクレジット決済で自動振込にしている(1500円で6世帯の家庭に食品配布できるそう)。

まず、「良いことしかない!」と思った理由について。

(1)一緒にボランティアをするのは、ほとんど毎回「はじめまして」の人たちばかり。なのに、主体的に申し込んできた人たちだからか、即席でチームができて共同作業がスイスイと進んでいく状態が気持ちいい。

(2)何度か経験している人は、「こうしたほうがやりやすい」という現場の経験則を持っていて、それが毎回増えていく感じが楽しい。

(3)自分も経験を重ねるうちに、「こういうふうにすると渡しやすい」というちょっとした工夫やコツが持てるようになった。上達しているようで楽しい。

(4)利用者さんが喜んでくれて、自分たちに何度もお礼を言ってくれる。恐縮するほどに、「ありがとう」と直接、何度も言ってくれる。お子様連れの利用者さんだと、子どもさんが言ってくれることもあるし、手紙を書いてきてくれたり、折り紙をつくってきてくれたり、びっくりするほど感謝される。それが、こんなにも自分の気持ちを上げてくれるんだな、と思った。

(1)〜(3)は、ちょっとしたイベントとか行事をやり遂げたときの達成感、「あー、楽しかった〜!」の感覚に似ている。重い荷物を運んだりもするので、私にとっては頭と身体を使ったゲームみたいな感覚。1回目はうまくいかなかったことが、2回目はできてたりとか。仲間に頼ったり頼られたりしたらうまくできた、みたいな。アスレチックのチーム戦みたいな感覚っていうのかな。そんな感じで楽しい。

(4)は、こういう言い方すると不謹慎かもしれないけれど、人に何かをして、それに対して「ありがとう」と言ってもらえる、「ご褒美をもらい続けるイベント」みたいな感覚。終わるとめっちゃいい気分になってるおまけ付き。お金払ってやりたいぐらい。

つまり、ボランティアに行ってるというよりは「楽しむために行ってる」感じで、サッカーの試合観戦や落語会に行くのと同じように、「今週は楽しい予定が待っている」っていう感覚。

次に、「なんで心が動いたのか」の理由。

これは、尊敬する友人とランチをしたときに、最近、何やってるの?の近況話をする中で、「ボランティアしてる」と答えて、「へー、ボランティアはいろんな分野がある中で、なぜひとり親世帯支援にしたの?」という質問をされて答えた時に、「あ、そうか」と自覚できた。

・世の中にはいろんな心が痛むような出来事や問題がある。
・それの原因のひとつに貧困があるんじゃないか。
・なぜ経済的に貧しい状態になってしまうのか。
・理由のひとつとして、女性が一人で子どもを育てていくことの難しさがあるんじゃないか。
・ひとり親世帯を支援することで、連鎖していろんな問題を解決できるのではないか。
・ボランティアも寄付もいろんな分野があるが、私は意識的にこの領域を支援していきたい。

みたいなことを、「それはどうして?」「なんでそう思ったの?」と質問を繰り返しもらって、答えていった。

この友人はコンサルタントとしても超優秀な人。
単なる雑談のおしゃべりなのに、さすがの質問力で、彼女の質問に考えながら答えていくだけで、自分の心が動いた理由にたどり着いた感じだった。

「自分はこういうジャンルを支援していきたい」というのを自覚できたおかげで、日頃、いろんな情報に囲まれている中でも、関連した記事や情報が目に止まるようになり、いろいろ深く考えるきっかけにもなっていて、彼女にも感謝だ。

ボランティアが手薄になってるらしいです。


1月1日に能登半島地震が起きて、さまざまな支援や寄付がそちらに集まっているのはとても良いことだと思う。私自身もふるさと募金の枠組みで、返礼品なしの5000円の寄付をしたし、今後もなにかできることは探していくと思うし。

ただ、そちらに様々なリソース(寄付金、食品、スタッフ)が集中することで、グッドごはんのような、継続的に支援活動を行っている団体でスタッフが手薄になっているらしい。今は、地震の被災者さんが優先されるのは当然のこと。だけど、ひとり親世帯の家庭が日々の食費のやりくりで困っているのも事実。
もし「グッドごはん」に興味を持った人がいたら、WEBサイトなどを見て、やれそうならやってみたらどうかな、と思います。何か質問があれば答えます。


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