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【株式投資型クラウドファンディングのイークラウドを展開する波多江さんと対談#01】株式投資型クラウドファンディングとは?

スタートアップの融資を支援しているINQの若林( @wakaba_office )です。

今回のnoteでは、私のPodcastイークラウド株式会社の代表取締役である波多江直彦(はたえ・なおひこ)さんをゲストに迎え、株式投資型クラウドファンディングについて話した内容をお届けします。

数千万〜1億円までの資金調達を検討している経営者や、ベンチャー投資に興味のある方は必読です。

波多江 直彦さん プロフィール
慶應義塾大学法学部卒業後、サイバーエージェントに入社。広告代理部門、スマホメディア、オークション事業立ち上げ、子会社役員等を経てサイバーエージェント・ベンチャーズで投資事業に従事。その後XTech VenturesでVRやSaaS、モビリティ、HRTech、シェアリングエコノミー、サブスクリプションサービス等への投資を担当。2018年7月にイークラウド株式会社を創業、代表取締役に就任。


クラウド株式会社 代表取締役 波多江 直彦さん

このnoteは若林によるPodcast「INQ若林のDebt&Alive」をテキストコンテンツとして再編集したものです。Podcastでは、起業家の方や起業準備中の方に向けて、デットファイナンスに関するTipsやノウハウを毎回5分程度にまとめてお送りしていますので、ぜひフォローしてください。

株式投資型クラウドファンディングとは?

若林:早速ですが、起業家やこれから起業したい方に向けて「そもそも株式投資型クラウドファンディングとは何なのか」を教えてください。

波多江さん:非上場企業が株式を発行して個人から資金を調達できる仕組みで、最大1億円未満まで集められます。

エンジェル投資家(*1)やベンチャーキャピタル(以下、VC)からではなく、主に個人投資家から少額の資金を集める手法で、1人が1社に出せる上限金額は50万円以下と定められています。

*1) 起業間もない企業に出資する投資家

1社が1度のクラウドファンディングで集める額は平均3,000万円ほど。100〜200人の投資家から、1人につき20万〜30万円を集めるイメージです。

若林:3,000万円くらいの調達ということは、スタートアップのラウンドでいうとシード(*2)やプレシリーズA(*3)くらいでしょうか。

*2) スタートアップの成長ステージのうち、創業前や創業後間もない事業アイデア段階の時期
*3) シードとシリーズA(事業を開始した段階)の間の時期

波多江さん:そうですね。ただ今年(2022年)法改正が実施された影響で活用の幅が広がり、もう少し後の成長ステージの企業にも利用してもらえるように変化してきました。

法改正によりクラウドファンディングだけで1億円調達可能に

若林:今年実施された法改正による影響について、詳しく教えてください。

波多江さん:法改正により、調達できる上限金額の通算方法が変更されました。

若林:これまで、通算上限金額が1億円でしたよね。

波多江さん:はい。これまではクラウドファンディングと他の方法による調達金額を合算して1億円までという縛りがありました。

例えば直近でVCから7,000万円調達していた場合、クラウドファンディングで調達できるのは3,000万円まで。クラウドファンディングでサポートしたくても、既に他の方法で調達していた場合、支援できる金額に限りがあったんです。

ところが法改正によりこの合算の壁がなくなり、クラウドファンディング単体で1億円まで調達できるようになりました。

具体例を挙げると、直近でVCから4億円調達していたとしても、クラウドファンディングでも1億円調達できるようになった、ということです。

若林:なるほど。5億円の調達を検討している企業に「5億円のうちの1億円分をクラウドファンディングで集めませんか?」という提案ができるようになったのですね。そのような企業からの相談は増えていますか。

波多江さん:はい。相談も増えていますし、最近では目標金額2億円のうちVCから1.6億円の調達が決まった企業に対して、残り4千万円分の調達を支援しました。将来的にユーザーになりそうな人へのマーケティングも兼ねた調達でした。

若林:マーケティングも兼ねているというのは、見込み顧客にアプローチして個人投資家=企業のファンになってもらうのが狙いでしょうか。

波多江さん:まさにその通りです。将来その企業の顧客になりそうな人たちに投資してもらい、一緒に企業やサービスを盛り上げてもらうのが目的です。

若林:VCと個人投資家からの調達で目標金額を達成し、見込み顧客も獲得できたわけですね。

1人あたりの平均投資額は500万円から20万円に「株式投資型クラウドファンディングはベンチャー投資の民主化」

若林:個人投資家からの資金調達の話を聞いて、波多江さんが以前「株式投資型クラウドファンディングはベンチャー投資の民主化だ」と言っていたのを思い出しました。

波多江さん:日本のエンジェル投資の平均額は約500万円。この金額を個人で出せるのは、上場企業を作ったような人や、外資系金融で働いていた人など、一部の人たちだけに限られると思います。

私たちはクラウドファンディングを活用してベンチャー投資の平均投資額を約20万円にまで下げました。この金額であれば、大企業に所属するビジネスパーソンや、中小企業の経営者など、幅広い層の人たちが投資できます。

若林:ベンチャー投資を通じて、チャレンジする人たちを応援しやすくなったのですね。素晴らしい世界観だと思います。

波多江さん:日本に眠っている金融資産は約2,000兆円。そのうち1,000兆円は現預金で、その6〜7割は地方にあるといわれています。このようなお金がほんの少しでもベンチャー投資に動くだけで、国内のスタートアップ支援にとって大きなインパクトがあると思います。

もともとベンチャー企業や成長産業に興味があった

若林:ここからは、波多江さん自身について聞かせてください。プロフィールによると、新卒でサイバーエージェントに入社したそうですね。

波多江さん:はい。新卒で入社し、十数年ほど働きました。後半はサイバーエージェント・ベンチャーズ(現サイバーエージェント・キャピタル)というグループ会社で、スタートアップに対する投資業務に従事していました。

その後、XTech VenturesというVCを経て、イークラウド株式会社を創業しました。

若林:VCでスタートアップへの投資業務に従事した後で、自らスタートアップを創業したのですね。昔からベンチャー投資に興味があったのでしょうか。

波多江さん:そうですね。もともとベンチャーや成長産業に興味があったので、就職活動でも老舗の大企業などではなく新興のIT企業を中心に受け、サイバーエージェントに入社しました。

入社後、さまざまな企業とやり取りする中で「やはり自分は新しい業界やベンチャー企業に関わるのが好きだったんだ」と気づいたんです。

そこでそのようなベンチャー企業を資金面で支援できればという思いで、ベンチャー投資に携わるようになりました。

ベンチャー投資も、IT事業もやりたかった

若林:クラウドファンディングは今でこそ知られるようになりましたが、数年前まではあまり一般的ではなかったと思います。クラウドファンディングを知ったきっかけを聞かせてください。

波多江さん:サイバーエージェントで働いていたときに、Makuakeというクラウドファンディング事業を行う会社がグループ内で創業したので、それで知りました。2013年ですね。クラウドファンディングによって実際にお金が動くのを見てきたので、よく覚えています。

その後、2015年の法改正によってクラウドファンディングを用いて株式投資ができるようになったので、注目していました。

若林:波多江さんの経験を生かせる舞台が整ったことが、イークラウドの創業に繋がったのですね。投資だけでなく、自社でIT事業もやりたかったのでしょうか。

波多江さん:そうですね。ずっとVCの仕事をしていたかったわけではなく、事業側としてサービスを提供したいとも思っていました。欲を言えば両方やりたかったです。

株式投資型クラウドファンディングであれば、ベンチャー投資とIT事業の両方に携わることができると思い、イークラウドを立ち上げました。

若林:波多江さんの経験を生かせる事業を立ち上げることができたのですね。イークラウドについては次回、詳しく聞かせてもらいますが、他社との差別化ポイントを教えてください。

波多江さん:イークラウドは株式投資型クラウドファンディングの中では後発組ですが、私自身のベンチャー投資の経験から得た知見も提供できるという点で、差別化できていると思います。

若林:実際にイークラウドで資金調達した起業家からも「波多江さんはVCでの経験が豊富で、フラットな立場から会社のことを考えてアドバイスをくれる」と聞いています。とても波多江さんを信頼している印象でした。

波多江さん:ありがたいです。会社のフェーズによってはクラウドファンディングよりも適切な方法があるケースもありますので、その場合は無理にクラウドファンディングを勧めることはしません。数ある調達手段の中から最適なものを勧めるスタンスで、起業家の資金調達を支援していきたいと思います。

まとめ

今回はイークラウド株式会社代表の波多江さんをゲストに迎え、株式投資型クラウドファンディングや、創業に至るまでの話を聞きました。以下に内容をまとめます。

✅株式投資型クラウドファンディングを利用すると個人投資家から1億円未満の資金を調達できる
✅2022年の法改正により、クラウドファンディングのみで1億円の調達が可能になった
✅個人投資家は1人あたり1社に50万円以内の投資が可能
✅株式投資型クラウドファンディングのマーケティング目的での利用も増加している

イークラウドを利用して資金調達を相談したい方はこちら、クラウドファンディングでベンチャー企業に投資したい方はこちらにアクセスしてください。

次回は株式投資型クラウドファンディング「イークラウド」について詳しく聞いた内容をお届けします。

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