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スタートアップが創業融資で借りられる金額の目安は?

スタートアップの融資を支援しているINQの若林( @wakaba_office )です。
 
創業融資の相談に乗っているといろいろな質問を受けますが、特に多いのが「創業融資っていくらぐらい借りられるんですか?」という質問です。

創業期の融資に代表者の連帯保証をつけなくていい制度が始まって、益々創業融資で資金調達したいという起業家が増え、このご質問も増えるかと思います。

そこで今回は、創業融資で借りられる金額の目安を、次の3つのパターンに分けて解説します。

✅ 創業間もない企業
✅ 創業1期目を終えた企業
✅ 期中(*1)に急成長したスタートアップ

*1) 会計年度・事業年度の途中

創業融資に1度失敗すると、2回目以降の審査が厳しくなるともいわれています。創業2期以内でまだ創業融資を利用していない経営者の方は、今回のnoteを参考に準備を整え、経営に必要な資金をしっかり確保しましょう。

このnoteは若林によるポッドキャスト「INQ若林のDebt and Alive」をテキストコンテンツとして再編集したものです。
ポッドキャストでは、起業家の方や起業準備中の方に向けて、デットファイナンスに関するTipsやノウハウを毎回5分程度にまとめてお送りしていますので、ぜひフォローしてください。

創業間もない企業の場合は自己資金が融資金額に影響する

創業して間もない企業が創業融資を利用する場合、準備した自己資金の金額が借りられる金額に大きく影響します。

「自己資金がなくても、創業融資は受けられますよ」といったことを言っている人や、そういったことを書かれている記事を見かけたことはないでしょうか。

確かに制度上、自己資金が無くても申し込みはできますし、一定以上の経験を持っている人であれば、受け付けてはもらえるでしょう。

しかし審査においては、自己資金を準備していないと、行き当たりばったりの起業だと見られてしまう傾向があるため、満足のいく融資を受けるのは難しくなってきます。

しかし自己資金をしっかり準備していれば、その2〜3倍の融資が受けられる可能性があるのです。

創業融資では、

  1. 自己資金

  2. 代表者の経験

  3. 事業計画

この3つで融資の可否と金額が決まりますが、創業間もない場合においては、特に自己資金と代表者の経験が重要視されます。

自己資金の金額で、代表者自身が起業に向けてどれくらい準備してきたかを見ているのです。そのため、例えばVCから1,000万円の出資を受けていたとしても、自己資金を準備していなければ、十分な融資は受けられないといっていいでしょう。

日本政策金融公庫の新創業融資制度の場合、支店で決裁できる金額は1,000万円までです。

もし満額である1000万円の融資を受けたい場合、起業する事業と関連の深い経験を7年以上持っている代表者が、自己資金を300万円以上準備して、堅実な事業計画書を作成すると満額の融資を狙える、とイメージしてもらうと分かりやすいかと思います。

創業1期を終えた企業は平均月商を元に融資金額が決められる

創業1期目を終えた企業が創業融資を受けるケースでは、決算書の内容が鍵を握ります。

1期目を終えると決算書を提出しているはずですが、融資の可否と金額は、主にこの決算書に書かれている売上金額を元に審査されるのです。

具体的には、決算書に書かれている年商を12で割った金額の2〜3倍が融資金額の目安になります。 例えば、前期の年商が3,600万円の場合、平均月商は300万円です。その2〜3倍、600〜900万円が創業融資で借りられる金額の目安になるとイメージしてください。

厳密に言うとこの金額は創業融資の中の運転資金の目安になりますので、この金額に妥当な設備資金を上乗せした金額が創業融資の総額になります。

ちなみに上記の融資金額の目安を出す方法は、借入金月商倍率(借入金額の総額が月商の何倍かを表す指標)という考え方を元にしていて、一般的に「3倍以内は安全だけど6倍以上になると危ない」とされていますので、参考にしてみてください。

期中に急成長したスタートアップは、前期の年商に注意

最後は、期中に急成長したスタートアップが創業融資を利用するケース。

例えば1期目はひたすら開発や検証をしていたため売上が立たなかったが、2期目に入ってPMF(*2)して急激に売上が伸びた、というようなシチュエーションは、スタートアップの世界では決して珍しくありません。

*2) マーケットに適した商品やサービスを提供できている状態

このような場合、事業をさらに成長させるためには追加の運転資金が必要になります。

そして少し先にはエクイティ(株式発行による資金調達)を控えているが、エクイティだと経営権が希薄化するため、デット(融資による資金調達)でつなぎたい、と考えている。

こういった場合でも、融資金額は前期の年商か今期の3カ月〜半年の平均月商の2〜3倍が1つの目安になります。

急成長したので直近の月の売上が突出しているかもしれませんが、私の経験上、直近3カ月〜6カ月の平均売上から融資金額を決めたいという融資担当者が多い印象です。

さらに注意すべき点として、いくら急成長していても、前期の年商以上は貸せませんと言われてしまうケースがあること。

例えば創業1期目の年商は500万円だったが、2期目から事業が急成長して直近の平均月商が1,000万円になったとします。

直近の平均月商が1,000万円なので、その3倍である3,000万円の融資を申し込みましたが「前期の年商である500万円までしか出せません」と言われてしまうようなケースが多々あるのです。

急成長したスタートアップが創業融資を利用する際は、前期の年商が上限金額になる場合もありますので、注意しましょう。

まとめ

今回のnoteでは「スタートアップが創業融資で借りられる金額の目安」について、3つのパターンに分けてお伝えしました。

創業間もない企業が借りられる金額の目安は、自己資金の2〜3倍です。

1期目を終えた企業の場合は、平均月商の2〜3倍が運転資金の目安になり、これに設備資金を上乗せした金額が創業融資で借りられる金額の目安になります。

期中にスタートアップが急成長した場合も、平均月商の2〜3倍が目安になりますが、前期の年商が上限になるケースも見られますので、注意が必要です。

融資を申し込む際は、ぜひ本記事の内容を参考にしてみてください。

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