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【長編】冬の魔術師と草原竜の秘宝

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異界に繋がる迷宮の館――館に響いた音の調査に向かったウィルとカナリアは、列車が走る草原の世界に閉じ込められてしまう。襲撃を受けた列車を救ったウィルは、やがて竜の秘宝を巡る鉄道会社…
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#ファンタジー小説

【小説】冬の魔術師と草原竜の秘宝 ㉙

第29話 「こうして悪い魔法使いは……」 「本当に行ってしまうのか」  杖を持ったトウカが…

【小説】冬の魔術師と草原竜の秘宝 ㉘

第28話 残された人々  咆哮が響き渡ると、仕事を終えた竜はその翼を広げて、広い、広い空へ…

【小説】冬の魔術師と草原竜の秘宝 ㉗

第27話 冬に至る 「かつて我々は、竜とともにありました。この世界そのものである竜と……」…

【小説】冬の魔術師と草原竜の秘宝 ㉖

第26話 アンシー・ウーフェン上層 「ああ、もう……」  ウィルはカナリアの背に掴まりなが…

【小説】冬の魔術師と草原竜の秘宝 ㉕

第25話 竜の行方  ――ああ、よく生きて、よく働いた!  ――とても、とても長かった。  …

【小説】冬の魔術師と草原竜の秘宝 ⑱

第18話 ほんの少しの休息  ウィルは『空っ風とホイルスの旅籠』に戻ってくると、マントも脱…

【小説】冬の魔術師と草原竜の秘宝 ⑰

第17話 狼煙 「お前たち、よく聞いておきなさい」  父は最後の出撃の前、二人の兄弟を前にして言った。  一家のテントの中。炉の前であぐらを掻いた姿は、いつも通りだった。出撃前とは思えないほど、まじめで穏やかだった。まだ集落の男としての訓練をはじめる前。母が腐れ谷の深部に飲み込まれて以来、二人に寝物語をしてくれたそのままの顔だった。  父は横に置いてあった杖を手にして、それぞれじっくりと二人に見せた。先端に石がはめ込まれた杖だ。代々の首領だけが受け継いできた杖。 「この

【小説】冬の魔術師と草原竜の秘宝 ⑯

第16話 迎えの約束  最後に樹から降りてきたキラカは、一本ずつホチキスの針を外した。  …

【小説】冬の魔術師と草原竜の秘宝 ⑮

第15話 アンシー・ウーフェン:中層  夜も更けた頃。  ウィルは紙切れに示された店へと足…

【小説】冬の魔術師と草原竜の秘宝 ⑭

第14話 アンシー・ウーフェン:下層  アンシー・ウーフェン行きの列車は専用のレールが通っ…

【小説】冬の魔術師と草原竜の秘宝 ⑬

第13話 新人バイトは楽じゃない  夜の駅舎に、ぞろぞろと人が集まり始めていた。  夜十時…

【小説】冬の魔術師と草原竜の秘宝 ⑫

第12話 新人作家キラカ・ペチカ 「電話の方はどうだ?」 「ぜんぜん駄目だ」 「そうか……」…

【小説】冬の魔術師と草原竜の秘宝 ⑪

第11話 再び、駅長室 「……」  翌朝、ウィルは泥のような眠りから目覚めると、重たい体を…

【小説】冬の魔術師と草原竜の秘宝 ③

第3話 盗賊団:無銘なる黙示団  最後の個室からトカゲが出てきた後、当然のように彼は二人へと視線を向けた。 「お客様」 「すまない、添乗員か車掌か……」  ウィルはできるだけ困ったような雰囲気を醸し出す。  こんな事態になったのは俺たちのせいじゃないと言う雰囲気だ。 「車掌はわたくしでございます。何か問題でも?」 「あー、切符だよな。わかってる」  落ち着いて聞いてほしい、と言いたげに両手を前に出す。 「すまない。その肝心の切符を無くしてしまったようでな」  ト