【小説】冬の魔術師と草原竜の秘宝 ⑱
第18話 ほんの少しの休息
ウィルは『空っ風とホイルスの旅籠』に戻ってくると、マントも脱がないままベッドに倒れこんだ。
起きると既に日は昇りきって、時刻は昼の十二時を回っていた。マントのおかげでなんとか風邪はひかずに済んだようだ。横を見ると、カナリアと目があった。
「おっ、起きたか!? おはよう!」
第一声が耳をつんざいた。
死んだような目で見返す。
「……お前は、いつ帰ってきたんだ?」
「それは知らないけど、オレが寝た時はまだ帰ってなかったぞ?」
「……」