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【長編】冬の魔術師と草原竜の秘宝

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異界に繋がる迷宮の館――館に響いた音の調査に向かったウィルとカナリアは、列車が走る草原の世界に閉じ込められてしまう。襲撃を受けた列車を救ったウィルは、やがて竜の秘宝を巡る鉄道会社…
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#魔術師ウィル

【小説】冬の魔術師と草原竜の秘宝 ⑧

第8話 駅の街オースグリフ  駅の外へ出ると、先ほど上から見下ろした街が広がっていた。  …

【小説】冬の魔術師と草原竜の秘宝 ⑦

第7話 ドラゴニカ・エクスプレス本社  窓の外にそれが見えてきた時、カナリアは身を乗り出…

【小説】冬の魔術師と草原竜の秘宝 ⑥

第6話 首領の帰還  テントの中では老婆が一人、首領たちの帰りを待っていた。  老婆は濃い…

【小説】冬の魔術師と草原竜の秘宝 ⑤

第5話 カフェ室の一人と一羽 「……困ったわね」  最果て迷宮、カフェ室。  シラユキは真…

【小説】冬の魔術師と草原竜の秘宝 ④

第4話 新聞記者ヘイウッド・ペグ  ウィルが車内に戻ると、乗客たちが拍手で出迎えた。  こ…

【小説】冬の魔術師と草原竜の秘宝 ②

第2話 異界:列車走る、草原の国  タイを締め直し、黒灰色のスーツに袖を通す。  ソファに…

【小説】冬の魔術師と草原竜の秘宝 ①

第1話:最果て迷宮の日常  どこまでも続く雪の世界。  しんと静まりかえった、常冬の世界。  そこは、最果てと呼ばれていた。  生き物の気配さえ感じられなかった。雪を振り払うように、うなだれた木々から積もった雪が落ちていくだけ。  いまは穏やかな沈黙に満ちた世界にただひとつ、灯りのついた屋敷が建っていた。  最果ての館、最果ての迷宮、迷宮館――館はそう呼ばれていた。なにしろそこは世界の歪みが寄り集まり、次元の裂け目となったものが、見知らぬ廊下や扉となって、異世界と繋がるのだ