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すしざんまいが3億円マグロから得たモノの「本質」

毎年超高額の落札でニュースになってますが、今年は破格でしたね。

一旦情報だけ整理すると
① 落札価格は3億3360万円
② 1万5000貫ほど作れる
③ 単純計算で1貫 2万5000円
④ でも定価398円で売る

これらの情報が真実かとか計算合ってるかとかは気にしません。
なぜならこれが「一般消費者が簡単に得られる情報」だからです。


3億の広告費?

高すぎる広告費だと言われていますが、これは立派な「ブランディング費」です。
もちろん、結果として広告にはなっていますが、これが広告として使えるのは「3億のこのマグロ」が売り切れるまでです。
このマグロが鮮度と量的にいつまで売れるのか分かりませんが、冷凍してあったとしてもせいぜい一週間くらいじゃないでしょうか。

簡単に言えば「1貫2万5000円のマグロが98%OFF!」という広告です。
98%OFFという破格だからこそお買い得感がありますが、これが売り切れて通常原価のマグロに戻ったらこの広告は終了です。

では何故ブランディング費だと言い切れるのか。
例えこのマグロが売り切れたとしても、
「すしざんまいは超高額なマグロを使っている」というイメージ情報だけが残ります。
これが全てです。

だけどそもそもの疑問として、
果たしてマグロは大きければうまいのか?実はまずいんじゃないか?
そもそも今回のマグロは大きかったから高かったのか?美味しいから高かったのか?品質が高かったのか?
何も分かりません。

マグロの大きさと味と値段の相関関係なんて大体の人は知りません。

判断できるのは「価格情報」だけです。
そもそも、今回のマグロと普段のマグロとの品質の差も分かりません。
もしかしたらいつもと同じ品質、大きさ、味の可能性すらあります。

全てのメディアをさらったわけではありませんが、普段との差について言及しているメディアはありませんでした。

そこ、一番大事じゃね?w


回転寿司の原価って?

1貫 120円の回転寿司の原価はいくらでしょう。
100円でも40円でも構いませんが、「120円よりは安いだろう」というのは容易に想像できますよね。

では1貫398円の原価は?
もちろん、皆さん398円以下だと思っているはずです。
すしざんまい以外の回転寿司では。


客は情報を食べている

ここにブランディング費だと言い切れる理由があります。
すしざんまいの寿司を食べる時は、
「もしかしたらこのマグロも原価割れしている高品質マグロかもしれない」
という可能性が残ります。
その憶測から、ただの寿司も美味しく感じるでしょう。
すると不思議とマグロ以外の寿司でもそう思えてきます。
なぜなら、「すしざんまいという会社は原価割れ上等で良いものを客のために振る舞う会社だ」と認識されるからです。
(正式には喜代村という会社ですが一般消費者はそんなこと気にしない)


例えすしざんまい398円のマグロと他社120円のマグロが同品質だったとしても、他の回転寿司の寿司は売価以下、すしざんまいは売価以上(の可能性)を常にイメージさせることができます。
ここにすしざんまいという会社ブランドが出来上がります。


マーケティングとしてここから学べること

「良い品お安く」では何も伝わりません。
だから「2万5000円を98%OFF」と定量的に伝えろという話でもありません。
「損したくないという欲求に応えている」のが今回の成功ポイントです。
これはすしざんまいのターゲット層の中に無意識的に存在しているもので、「損してでも満足出来るものを得たい」という層に対してだったらこのやり方では効果は薄かったでしょう。

自分たちがメッセージを届けたい適切な層に適切な方法でアプローチすれば、それはマーケティングとなりブランディングとなり広告となります。

「伝える」のではなく、「言外の情報」からブランディングを行う。
これからのマーケティングでは非常に重要になってきます。

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