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⑥「出てけ!怒」と言ったら本当に出て行ってしまった雪の日(後半)(2023年2月)

「T―!M―!」
私は実は声がかなり大きいのだ。

電車で友達と話をしていても声がデカすぎると言われ、一人暮らしをしている時に電話で話をしていた時に隣人からうるさいと苦情が来たり、最近ではコワーキングスペースの電話をして良いスペースなのに「あなたの声が大きすぎて、私が話をしている通話に声が入ってしまい、会話にならなくなってしまうので、お話をする時は隅の方でお願いします」と言われるくらいだ。

その声を活かしてさらに大声で二人を呼んでも全く反応がない。
雪は音を吸収すると聞いたことがあったが、そんなことは気にせず声を張り上げ二人を探した。

もしかしたら二人の友達の家に行っているかもしれないと思ったが、いかんせん子供たちの友達の親の連絡先や家もさっぱり分からない。

その時に住んでいた家は高台の中腹にあり、もしかしたら駅の方(下の方)に行ったかなと思い、駅方面に通じるメインの通りに向かった。

そこでは普段は見たことのないシャベルカーのような重機が道路の雪かきをしていた。
私はその重機に近づき運転手さんに声を掛けた。

「小学6年生の男の子と小学3年生の女の子の二人組なんですが、パジャマ姿で、私が怒って『出て行け』って言ってしまったら、本当に出て行ってしまって、今探しているのですが見ませんでしたか?」

(そう、この話を後日友人に伝えたら「B(私の名前です)はそういうとこも正直だから伝えちゃうよね」と呆れられていた。私は馬鹿正直に伝えてしまうんですよね…。)

しかし運転手さんは「いや、そのような二人は見てないね。」とのことだった。
「もしいたら連絡するよ」と言ってくれて私の連絡先をお伝えした。

その後、また家の近くまで戻り探し続けたが、二人は見当たらない。
なにもこんな雪の日にパジャマ姿で出て行かなくても良いのに。
(私が出て行けと言ったのだが…。)
寒くて死んじゃうよと思い、家から連絡もないし、もう警察に連絡するしかないと決心して、警察に電話をしました。

最初は学校に電話をして二人の仲が良い友達の家に電話をしてもらおうと思ったのですが、5時を過ぎると留守番電話になってしまい、もう学校は通じないのだ。

警察に電話をしたら警察の方は
「分かりました。それでは警察官を家に向かわせますのでお父さんは一度家に戻ってください。」と言い、私は家に向かって歩き始めました。

こりゃ元妻にも連絡せにゃあかん。
怒られる。
というか、そういう問題ではないのにそんなことを考えていたと思う。

その時、私の携帯が鳴った!
長男からか次男からかもう忘れてしまったが、二人が家に帰って来たという連絡だった。

私は警察に見つかりましたと連絡しようと思ったが、自分の目で見て二人の無事を確認してから連絡しようと思い、大急ぎで家に戻った。

二人は家に戻っていた。
私はすぐに警察へ電話をして二人が家に帰って来た旨を伝え、お礼を言って電話を切った。

怒りなんかよりも安堵の方が大きかった。
良かった…。
無事に二人は帰って来た。
そして私は二人に伝えた。

「ごめん。お父さんは怒ってしまって二人が嫌がるだろうなと思う言葉を言ってしまった。本当に出て行った欲しかった訳ではないのに。もうこの言葉は言わないからね。ごめんなさい。」と。

「ただ、お手伝いをお願いしても二人がやらなかったことに対しては怒っていたのだから、そのことは反省してね。」と最後に付け足した。
そしてよく見たら二人ともパジャマの上にフリースみたいなものを羽織っていた。

「お父さんは二人を探しに行ったけど、全然見当たらなかったけど、どこに行っていたの?」と聞くと、三男が「友達の家に行っていたんだよ」と言った。

高台の上の方に家があり、そこに行っていたとのことだった。
そしてその友達のお母さんが二人にフリースを貸してくれて、家に連れて来てくれたのだった。

二人を連れて来てくれた友達のお母さんはもう帰ってしまっていて、私はすぐに二人を連れてその家に借りたフリースを返すと共に謝りに行った。

三男の友達の家に着いて、いきさつを説明した。
ちゃんと私が二人に言ってしまった言葉もお伝えした。
それが原因で二人が出て行ってしまったことを。

私はその時そのお母さんから叱責されると思っていたが、甘んじて受けようと思っていた。
しかし、そのお母さんから言われた言葉はこうだった。

「そんなことはよくあることですよ。お父さん、大丈夫ですよ。」と。
私はフリースを貸してくれたお礼を言って3人で家に戻った。

私は思った。
母は偉大だ。
そして子育てってこんなにも大変なんだと。
勉強になること満載だと。

家に戻ると重機で雪かきをしていた運転手さんに二人が見つかったことの報告とお礼をしに行った。

「無事に見つかって良かったですね。」と声を掛けてくれた。




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