儚い

昨日、BSで録画していたドキュメント72時間を見た。

地上波で見そびれたのでBSで録画した。
こういう時のBS1のありがたさたるや。

いつもなんとなく第三者の感じでドキュメンタリーを見るが、なぜか登場する人や出来事を考えながら見ているといつの間にか感情移入してしまう。

「真夏の大阪〜かき氷のメモリーズ〜」という回だった。

大阪・枚方にあるここの氷を目当てに遠方からやってくるお客さんも多いらしい。

なかなか取れない家族団欒の時間をここで取る家族や、息子と訪れていた最近夫を亡くしたという女性にかき氷は昔からの憧れであり続けるという男性など印象に残る方が多かったが、中でも印象深かったのが2日目のパートに出てきたこのかき氷屋さんに初めて来店したという73歳の女性だ。

そこだけ見るとごく普通の光景だが、なんとその方は治らないガンなのだという。
一見、取材するスタッフに「おごったるわ!」と気前の良い関西人という感じであった。

そんな女性がかき氷を食べながらふと一言。

きれいな色をしたふわふわの氷。
そんな氷が食べてなくなる様子が「儚い」と。

言葉が合っているかは分からないが、この時私はなぜだか深い感銘を受けた。
ドキュメンタリーではあまり受けたことのない類の感銘だ。

これまで23年生きてきた中で、さまざまな「儚い」を見たり聞いたりしてきたが、この女性のとっさに放った「儚い」という比喩表現が他のどんな「儚い」よりも特別なものに感じた。
さまざまといってもサンプルが少ないのかもしれないが。

放送を見ながら、どんな背景があり、どのような面持ちで普段過ごしているのだろうかと考える。

見る頻度は以前より少なくなったが、社会人になってから見るドキュメンタリーは深度が深くなった(表現として合ってる?)気がする。
なにかこう他人事として見ていたものがそうじゃなくなったような。

今回の回はより一層それを強く感じる回だった。

放送を見てかき氷が食べなくなったが、気づけばそうはさせてくれない気候になった後だった。


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