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私の終活奮闘記-3


 この「終活奮闘記」も三回目になった。いつまでもエンディングノートにだけ時間をかけてもいられない。エンディングノートに関しては、今回を最後にしようと思う。
 
 
 さて、エンディングノートの種類がたくさんあることは、前回のページで書いた。そしてこのエンディングノートは、「遺族にとって形見にもなる」という考え方をする人もいるのだろう。形見として残すことを考えた場合、「筆跡から故人をしのぶことができる」ということから、手書きの方が適していると案内しているものも多い。
 
 
 だが、私は前回にも述べたように「家族や周囲の人にあまり負担を掛けず、自分の希望を実現してもらいたい」という思いだけで、エンディングノートを書くことにしたのだ。形見にされるなど、まっぴらごめんである。ということで手書きは却下とした。
 
 
 では、どうするか?
 
 私は Microsoft が提供している Word 用のテンプレートをダウンロードし、その中から自分に必要な項目だけを抜き出し、入力してクラウド上に保存する方法を選んだ。パソコンは私個人のものだし、パスワードでロックしているので、誰かが誤ってファイルを開いてしまうこともない。何より、そんなに早く死ぬとは私自身思っていないので、年に一度くらいは書き換えが必要となると考えたのだ。
 
 
 書いてある内容が変わる可能性は十分にある。預金や保険などは変わることを前提にして書かなければならないだろう。そう考えると、書き換えが必要な項目だけ入力し直し、〇〇年版という形で保存した方が手間はかからないし、自分自身の変化にも気付きやすいと考えたのだ。
 
 
 ロック解除のパスワードは、長男にだけ伝えようと思っている。長男は同じ市内に暮らしており、万が一の場合は、たぶんいち早く駆けつけてくれるだろう。
 
 なにより、私のパソコンをすぐに開けることができるのは、今のところ長男だけだ。連れ合いではダメなのだ。重度の機械オンチのため、取り扱いを教えても無駄だということは、十分すぎるほど身に染みてわかっている。
 
 
 さて、そんなこんなでなんとか方向性が決まり、いざ入力作業開始である。
 
  
 簡単にできるだろうと安易に考え入力作業を開始したのだが、これが思っていた以上に手間がかかる作業になった。一番手間取ったのは必要書類を探す作業だった。おかげで何度も挫折しかけた。
  
 
 ま、ここに関しては、普段からものを整理整頓していないことが、最大の原因なのだが……
 
  
 そんなこんなでそれなりの日数が過ぎ、なんとかエンディングノートも九割くらいまで進んだ。生命保険の内容など、すぐにも見直ししなければならないことにも気づくことができ、やっただけの収穫はあったと思っている。
 
 
「やればできるじゃないか、たいしたもんだ」と自画自賛である。
 
 
 残り一割は何かというと、感謝の気持ちをどう書くかである。このエンディングノートを家族が見るということは、「私自身が、もうこの世に存在していない」ということだ。もしくは、「自分の意思表示ができない状況にある」ということを意味する。自分がそんな状況にあることを想像して何かを書くということは、普段の生活ではほぼ無いことだ。
 
 
 こんな天邪鬼の私でも、やはり家族には感謝している。いや、「感謝している」などという言葉ではとても言い表せないくらい、申し訳ない気持が心に満ち溢れているのだ。これをどう書き残すのか、まだまだ苦悩する日々は続きそうだ。
 
 
  
 それはそれとして、取り急ぎ取り組まなくてはならないことがある。
 
 
 実はエンディングノートを書くためにあちこちから引っ張り出した書類を、机の上に放置したままなのだ。こちらは、いつまでたっても手付かずの状態が続いている。
 
  
 このまま放置していれば、やがておてんば娘のおもちゃになってしまうのは、火を見るよりも明らかだ。これをどう整理するかが、今の私の最大の悩みである。
 
  
 いや、悩んでなどいられないのだ。ことは急を要している。
 
 
 なぜかといえば、いつも部屋をキレイに掃除してくれる連れあいの目が日増しにキツくなっているからだ。爆発事故に発展する前になんとかしなければならない。
 
 
 終活よりもこちらの方が、今の私にとっては切実な問題となっている。
 
 

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