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女子高生的読みやすい本、あつめてみました① ~本嫌いに読んでほしい~

ものすごく久々のnote投稿になってしまいました。。
コメント欄で「読みやすい本教えてください」と書いていただいたので、わたし的に面白い、読みやすい、と思う作品をご紹介します!
今回は第一弾。(続くかはわからない)
本があまり好きではない方が本に歩み寄れるきっかけになれそうな本をセレクトしました。


「はい、総務部クリニック課です。」 藤山素心



〇あらすじ

清掃用品会社「ライトク」入社7年目の松久奏己は、自分に自信がなく、地味に目立たぬように仕事をすることに全力を注いできた。しかしその苦労もむなしく、社長肝煎りの新部署”総務部クリニック課”に配属になった。
そこで同僚として働くことになったのは、変わり者でイケメンなハイスぺ医師の森硫吾とチャラ系ホスト顔のコミュ力激高薬剤師の眞田昇磨。個性豊かな面々と働くことになった奏己は、初日から緊張の連続で、いつもの困った症状がでてしまう_。


〇おすすめポイント

1.会話文の多さ

この小説のおもしろいところのひとつは、登場人物同士の会話がとても多いこと。しかもどのキャラクターもチャラ立ちしていて、チャーミング。どこか憎めない魅力があります。
彼らが織りなす会話のテンポ感が軽妙で、飽きることなくどんどん読めます!
中でも、森先生と眞田さんの掛け合いは凸凹がピタッとはまるような気持ちよさがあり、読んでいて楽しかったです。


2.地の文がカッコつけてない

小説特有の、地の文(=会話文ではない部分)のカッコつけた感じや、ところどころに入ってくる情景描写をおもしろがれない…という方もいらっしゃるかと思います。
(そういう作品を下げるつもりはありません!!主は難解な情景描写や伏線回収を読むのは大好きです!!今回は、本を読むのがあまり好きではない方向けのつもりで書いているのでご容赦ください)

そんな方にこそ、この本をお勧めしたいです。
なぜなら、地の文の大半は状況説明&主人公の独り言のようなテイストだから。ライトノベルのような文体の軽さが魅力です!
そしてその軽やかな文体を彩るのが、ユニークな語彙。
「インパラ・センサー」、「生き物として『弱』」、「魔女の爆撃」
などなど、ユーモアあふれるフレーズが多々出てきます。
主人公の奏己は妄想癖があり、人に対してあれこれ考えてしまうようで、そんな奏己が勝手に膨らませたトンデモ妄想も、読む人の力を抜く手助けをしてくれます。


3.一つ一つのエピソードが独立している

本嫌いの弟がこんなことを言っていました。
「漫画は話に区切れがあるけど、小説は区切りがなくて集中力が続かない」
なるほどたしかに、漫画の単行本は回ごとに区切りがありますが、小説(ショートショート等は別ですが)は区切りがありません。展開がゆっくりのものも多い気がします。こういった違いも、本が嫌いになってしまう要因の一つかもしれませんね。
_弟は、文字を読みたくないだけの可能性が高いですが。(白目)

この作品は第一話から第五話で構成されている一話完結型。
それぞれの話で別々の患者さんが出てきます。ある時は爽やかなワンコ系若手社員、ある時は中年のベテラン営業マン、またある時はクリニック課を創設した社長まで、バラエティ豊かな人々がクリニック課を訪ねてきます。


4.役立つ情報が満載

この小説の舞台は会社ですが、主人公の所属は「クリニック課」。物語の中で、医師の森先生や、薬剤師の眞田さんが患者さんの診察をするのですが、そこで体調不良への対処方法など、ためになる情報がたくさん出てきます。
日頃からできる口臭ケアや、ぎっくり腰になってしまったときの歩き方など、知っているとちょっといい情報を知ることができます。
物語を楽しみながら、ライフハックも知ることができるなんて、一石二鳥じゃないですか?

しかも、この作品の著者の藤山素心先生は、なんと医師でもあるのだそうで載っている情報の信ぴょう性はバッチリです!!


〇ちょっと元気になれる

今回は、本が好きではない方も楽しめる(であろう)作品をご紹介しました。主人公の奏己は自分に自信がなくていつもビクビク生きている人です。現代社会を生きる等身大の人間である、奏己の姿に共感できる方も多いかと思います。

新しい場所、新しい仕事、新しい人間関係にもまれながらも、少しずつ自信をつけていく奏己を見守りながらお話を読み進るうちに、最後には私たちもちょっと元気をもらえる。そんなあたたかい小説です。


この春、すこし前に進みたい、自分を好きになりたい、そんなあなた。


ぜひこの小説を読んでみてください。



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